韓国メディアの国民日報は10日、韓国社会における「カプジル(甲質)」により、MRESの感染予防として、マスクをしたくてもマスク着用を禁止された人々がいたという記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 韓国メディアの国民日報は10日、韓国社会における「カプジル(甲質)」により、MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスの感染予防として、マスクをしたくてもマスク着用を禁止された人々がいたという記事を掲載した。

 日本では近年、「パワハラ」や「モラハラ」といった言葉を目にする機会が増えているが、お隣の韓国でもパワハラに似た意味を持つ言葉として「カプジル(甲質)」という言葉があり、カプジルとは権力などの面で優位に立つ側の者を「甲」、弱者側の者を「乙」としたうえで、甲が乙に不当な行為を要求・行うことなどの概念を総称するもので、韓国のネット上では甲の力を表した、「スーパー甲」や「ウルトラ甲」という意味の言葉も登場している。カプジルを日本語で表現するならば、クレーマーやパワハラといった言葉が当てはまるだろう。

 記事によれば、韓国現地テレビ放送局・JTBCの番組である「ニュースルーム」は9日、これらの被害にあった事例を紹介。まず、韓国観光公社のイベントで3日間通訳のアルバイトをしたというAさんは、主催者側から「マスクを外すように」と指示をうけ、ひどい目にあったという。Aさんは主催者側からの指示を守らず予防のため、そのままマスクをしていたら、主催者側から「マスクを外さなければ、今すぐ解雇だ」と言い渡されAさんは猛抗議をしたものの、主催者側は「マスクをしていると海外バイヤーは違和感を覚える」と主張したとし、結果的にAさんは業務停止命令を下され、仕事を中断せざるおえなくなったとのこと。

 これに対し、韓国観光公社の関係者は「マスクをすると、通訳の妨げになり意思疎通がうまくできないかもしれないので、マスクを着用しないでもらえますか?」と丁寧にお願いしたと釈明したと伝えた。

 また、韓国・大邱にあるデパートで販売の仕事をしているBさんも同様の経験をしたという。マスクをして顧客対応をしていたが、デパートの責任者からマスクを外すよう指示をされた。Bさんはそれに対して、「むしろマスクをしていれば顧客が安心する」と主張しても、聞き入れられなかったという。

 最後に記事は、韓国国内ではMERS感染者が拡大している中、国民1人ひとりが予防意識を高めなければならないと報じた。(編集担当:木村友乃)(イメージ写真提供:123RF)