「横浜刑務所」矯正展に行って分かった、刑務作業の意外な実情

写真拡大

<横浜のココがキニナル!>
横浜刑務所ってどんなところ?(浅田真央子さんのキニナル)/毎年11月頃、横浜刑務所で矯正展がありますが、今年も開催されますか?どんな内容か、気軽に見学できるか知りたいです(suzukaさんのキニナル)

横浜刑務所&矯正展の写真を全部見る

※本記事は2012年12月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

■横浜刑務所は「B」「F」指標・・・その意味は?

京急本線「上大岡」駅から南に約1km、港南警察署と港南区役所のすぐ裏手に横浜刑務所はある。

横浜市営地下鉄「港南中央」駅からは100mもないが、ゲートは遠い。

敷地は、横浜スタジアムを含んだ横浜公園全体くらいの広さ。
関東大震災で倒壊した根岸・丸山の刑務所から、12年をかけてここに移転してきた。

収容定員は約1200名だが近年は下回ったことはなく、収容率が120%を超えると暴動が起きると言われている人員を超え、300人オーバーという時期もあった。

刑務所では、同じ特徴を持つ受刑者ごとに収容したほうが効果的な処遇が期待できることから、施設ごとに受刑者を新監獄法で定めた指標に基づいて分類している。

例えば「W」指標は女子、「Y」は26 歳未満の成人、「L」は執行刑期10年以上の者、「A」は初犯者など犯罪傾向が進んでいない者・・・など。
 

ここ横浜刑務所は、「B」指標(再犯者など犯罪傾向が進んでいる者)と「F」(日本人と異なる処遇を必要とする外国人)で、無期懲役受刑者を含む原則26歳以上の男性が中心。約1割が外国人、特に中国人が過半数という。

普段なかなか入る機会のない刑務所だが、調べると法曹関係者や法律を学ぶ学生が、研修として施設見学を行うケースはかなりあるらしい。

今回は、11月3(土)4(日)に開かれた第42回「矯正展」に行ってみた!

■横浜の刑務作業の名産は「うどん」

懲役刑とは、単に拘禁するだけでなく、罪に対する代価として刑務作業を強制される刑罰という意味。
受刑者は土日を除く週40時間、居室から毎朝通勤するように施設内の工場へ行き、作業着に着替え、外国人の区別なく様々な物を製造・加工している。

「矯正展」とは、全国の刑務所で互いにそれらの製品を一堂に集め、“地域社会とともに歩む矯正施設”というテーマで一般市民に販売するイベントだ。横浜刑務所では毎年11月上旬の週末、隣の公園で行われる「こうなん子どもゆめワールド」とあわせて開催される。

刑務所ごとに作る物がわかれ、横浜刑務所は「麺類」「中華鍋」「家具」「印刷」「洋裁(各種作業服等)」だ。印刷では官公庁の印刷物や年賀状も刷っている。

刑務作業には専門技術を身につける生産作業のほか、洗濯・掃除や毎日数千食の食事作り、社会復帰後に活かせる資格や免許取得のための職業訓練も含まれる。刑務所ごとに建設機械、板金、測量、情報処理技術、美容など取得できる技能が指定され、横浜は溶接技術。中華鍋の製作に役立つ技術だ。
 

何と言ってもここに来たら食べたいのは、横浜刑務所の名産「うどん」。

刑務作業で麺類を作っているのはとても珍しい。1杯150円。麺の塩加減が絶妙においしい。
 

■VTRと取材で知った刑務作業の実情

この日、第42回「矯正展」を手がけた横浜刑務所職員の、処遇部作業担当の矢鳴さんにお話しを伺った。

誰がどの作業をするかはどうやって決めるのだろう? 

「入所時に人物調査・身体と精神の状況・過去の職歴などをもとに一人ずつ会議して決めます」と矢鳴さん。

売り上げの一部は、矯正協会という財団を通して犯罪被害者の会に寄付される。そのほか「受刑者の労働は自分が犯した罪に対する刑罰なので、本来賃金は発生しないものの、少しでも就労意欲が上がるよう、また、出所時にお金を持たせて出所させるため、技能や作業時間に応じて作業報奨金として国の予算からわずかばかり支払われる」そうだ。
 

会場内にVTRのブースがあった。刑務作業の仕事を求めて企業巡りする営業の話が印象的だった。

「昔は待っていても仕事が来たが、世の中全体が不況で仕事がない。何十人分という受刑者の刑務作業が不足している。商談がうまくいくのは年に数回だけ」

VTRの中で、昔を知る受刑者は「今の作業は単純労働になってしまい、出たら職に就けるか不安だ」と言う。

不況による負のスパイラルは、隣接の横浜拘置所に100人以上が待つことにつながるのかもしれない。

■刑務所内の施設見学コースは必見!

人気なのは、「矯正展」の期間中のみ刑務所内に入れる施設見学。
見学時間は15分間、30人1グループで回る。

中に入ると荷物はすべてロッカーに。写真撮影はもちろん禁止。大勢の刑務官の目に、空気も緊張。

法曹関係の研修と違って、このコースでは受刑者の姿を目にすることはない。
所内の建物は、1階の廊下側を含むすべての窓に鉄格子がはまった高校校舎、というイメージ。

印刷、家具を作る木工工場を見たが、独立した建物ではなく、大きな理科室という感じだった。
印刷業務は30人。平成24年度ソフトボール優勝のトロフィーがあった。運動会は準優勝。
木工工場は45人で運動会は優勝。家具3点セットは昔の話で、今はドールハウスも作っている。
「競技大会などで競わせ、充実感を得させる」と技能の説明時に出た矢鳴さんの言葉を思い出す。
壁のパネルには、手や色付きの札による無言の合図方法が書かれていた。便所での交談も禁止とある。

建物と建物の間には、職員手作りの庭「洗心園」があり、石に「更生改善」と一文字ずつ刻まれていた。「真人間になってほしいという願いだ」とガイド役の刑務官は言う。

風呂は3ヶ所あり60人ずつ15分間。夏は週3回、冬は週2回だそうだ。蛇口には番号がふってあり、壁のパネルには“上がり湯2杯”“洗髪4杯”等々細かな規則が記されていた。“反した場合は不利益な処遇”という文字も。
 

刑務官は見学コースの最後に、公開の意味を「刑務所は受刑者を社会復帰させるための更生施設でもあります。刑務所の中で何をしているのか理解してもらい、もし周囲に刑期を終えた人がいても刑務所から来たのだという目で見ず受け入れてほしいからだ」と結んだ。

受刑者がいる気配をまったく感じなかったが、工場が休みの週末、みな何をしているかキニナル。
「一日テレビを見ている人もいれば、本を読んだり勉強をしたり」(矢鳴さん)だそうだ。
 

■取材を終えて

刑務作業の製品のクオリティはどれも非常に高かった。そして音楽が鳴り響く「矯正展」の明るい会場と、施設見学で見たシ〜ンと静まり返った刑務所内の差が印象的だった。

どれも貴重な経験でもあるので、ぜひ一度行かれてみてはと思う。
 

※本記事は2012年12月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。