着用者を電子的に隠すマント CHBL Jammer Coat。金属繊維で電波を遮断

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オーストリアのデザイナー集団、COOP HIMMELB(L)AU (コープ・ヒンメルブラウ)が、「ユーザーの姿を隠す」とうたう衣服 CHBL Jammer Coatを発表しました。

といっても光学迷彩やメタマテリアルで人間の目から消えるわけではなく、スマートフォンなどを使ったトラッキングからユーザーを隠すことがコンセプトです。

内部には複数のポケットを備えており、複数の携帯端末を収納可能。生地には金属繊維を用いて、電波を通さない仕組みになっていることから、携帯端末からの情報流出や追跡を防ぐとしています。

​見た目にはゆったりしたクレイジーパターンのマントですが、表面には円や波の形をした模様を施し、複雑な形状をしており、どことなく有機的な印象を醸し出しています。なおCHBL Jammer Coatは市販向けの製品ではなく、ワンオフの非売品。6月末にミラノ・トリエンナーレで開催されるイベントに展示予定とのことです。

最近ではスキミングを防止する目的で電波を遮断する素材でできた袋やハンカチなども販売されています。また携帯端末の多くには、無線通信をオフにする機内モードもあります。

コープ・ヒンメルブラウが謳うような目的を達成するならそういったものを使えばいい気もしますが、奇妙な目立つコートを敢えて「姿を隠すコート」と称することで、現代人はもはや人の目だけでなく電子的にも常に見られていることを分かりやすく示すことが作品としての眼目のようです。作品解説に「着用者はGoogleから見えなくなる」といった表現もあります。

特徴的なマントの模様と形状は、説明文によれば『見る者に体の部位が複数あるような錯覚を与える』もの。しかし、顔認識を妨げるための CV Dazzleメイクのように、何か特定の認識技術に対してジャマーになるといった主張はありません。さながらノイズを纏っているかのような印象を与えるための遊び心とも解釈できそうです。