新人王とサイ・ヤング賞の2冠獲得の予想が高まる田中将大【写真:Getty Images】

フェルナンド・バレンズエラの再来なるか

 ヤンキースの田中将大投手が11日(日本時間12日)のマリナーズ戦に先発し、完投で今季10勝目を挙げた。

 13試合目の登板で早くも二けた勝利をマークした日本人右腕に関して、ドジャースなどで活躍した往年の名投手、フェルナンド・バレンズエラ氏以来、史上2人目となる新人王とサイ・ヤング賞の2冠獲得を予想する声が高まっている。地元紙ニューヨークポストが「ヤンキースのエース、マサヒロ タナカは自らバーを上げ続ける」という見出しの特集記事で報じている。

「かつてはフェルナンドマニアがいたが、今の時代はタナカマニアだ。もしもサイ・ヤング賞と新人王の両方を受賞した最後の投手を探せば、それは1981年のバレンズエラ。現状のペースなら、マサヒロ タナカはメジャー史でバレンズエラに並ぶかもしれない」と報じている。

 メキシコ出身の左腕は1980年から97年までメジャーリーグで活躍。20歳のメジャー2年目には開幕8連勝を記録するなど、13勝7敗の好成績を収めた。その年はオールスター先発投手となり、ドジャースをワールドシリーズ制覇へと導くなど大活躍。新人王とサイ・ヤング賞のダブル受賞を果たしたのはメジャー史上、バレンズエラ氏だけだ。

増殖する”タナカマニア”

 かつては「フェルナンドマニア」と呼ばれる熱狂的なバレンズエラ氏のファンが多く存在したが、現代は「タナカマニア」がニューヨークを中心に増殖している。田中はマリナーズ戦でメジャー2度目の完投勝利を挙げ、4-2勝利に貢献。今季10勝1敗とし、ヤンキースが最高の補強をしたことを改めて示した。

 6安打11奪三振で四球はわずかに1。楽天に支払ったポスティングの入札金を含め、総額1億7500万ドルを必要とした田中だが、28434人の観衆にその大金に相応しいことを証明したとも報じられている。

 9回一死までの圧巻の完封ペースに、記事は「マリナーズの打撃陣はロビンソン・カノの2ランホームランが飛び出すまで、田中のピッチングを攻略するよりも、サスカッチ(未確認生物の意)を発見する可能性の方が高かった」と伝えており、エースを打ち込むより、未確認生物の発見の方が容易というユニークな表現で田中のピッチングを賞賛している。

「タナカはずっとアメイジングだね。彼はそういう(新人王とサイ・ヤング賞)賞の論議に間違いなく入らなければいけない。我々のエースとして受賞候補にいてもらう必要がある」とマーク・テシェイラ一塁手は語っているという。

「彼は我々の勝ち星の3分の1を稼いでいる。ものすごくアドレナリンを出している。いつもエクストラの力を持っている。彼はいかに投げるか、いかに試合を締めくくるか分かっているんだ」とジョー・ジラルディ監督も話している。

 バレンズエラ氏に続く快挙はなるのか。大リーグ史にその名を刻みつつある田中の更なる躍進に期待したい。