細かい記録だとは思うが、個人的には大好きなので紹介する。打席数4000以上のNPB打者のIsoDランキング。
IsoDとは、出塁率(OBP)-打率(AVG)。四死球による出塁率である。選球眼と、いかに投手から恐れられているかを示す指標。IBBは敬遠。なお昔の記録と比較するために、出塁率の分母には犠飛を算入していない。
ベスト40。

IsoD-Best40

1位はもうお約束。王貞治。これはどうしようもない。安打と四死球で5176。これだけ打席に立つのでも大変なのに。
ただ、2位以下は面白い顔ぶれだ。山田潔は松山商業で千葉茂、伊賀上良平らと同期の遊撃手。16シーズンの内、10シーズンで打率1割台だが、12シーズンでOBPは3割以上。安打数と四死球数がほとんど変わらない。昔は確かに投手のコントロールが良くなかったが、名人芸ではある。イーグルス、金星、大映と今はないチームで活躍しただけに、今や忘れられた存在だが、野球史に残る選手だ。
3位は清原。四球が多いが、敬遠はそれほどでもない。そのかわり死球=HBPが多い。歴代1位である。結局HBPは清原の命取りになったとは言われるが、それなりの偉観ではある。
4位は落合、5位は松井。その時代のリーグ最強打者である。
以下のランキングには、強打者と、戦前に活躍した古豪がまじっている。
中で特筆すべきは藤井康雄と大島公一か。
藤井はイチローがいたころのオリックスの4番。282本塁打を打っているがこの顔ぶれではやや見劣りがする。しかし王貞治の15本の次ぐ14本の満塁本塁打を打っている。チャンスにきわめて強かったのだ。投手陣が恐れていたことがわかる。


大島公一も近鉄、オリックスで活躍した内野手。昔、野球選手は目と目の間の長さ(眼間距離)が長い方が有利という説が流れたことがある。南海の蔭山和夫がその代表と言われたが、大島も同じ系統の顔だ。2番を打つことが多かったが、しぶとい打者だった。
ちなみに蔭山は4000打席に51足りないが、IsoDは.133と非常に高い。
このランキングはしぶとい打者の一覧でもある。
反対にワースト40も出しておこう。

IsoD-Worst40

鎌田は4000打席以上では、打率でも下から10番目だが、IsoDは最下位。昔は出塁率なんて誰も注目しなかったが、守備はともかく、貢献度は低いというべきだろう。
坂本文次郎は10打席連続安打や2試合連続満塁本塁打などを記録し、固め打ちが多かったが、早打ちでも知られた。長く近鉄の打撃コーチを務めていた。

以下、ランキングを見て行くと、現役選手が散見される。チームリーダー的な選手も多い。早打ちを「積極性」というようになって久しいが、四球も安打同様「出塁数1」であることを考えると、良いこととは思えない。
なおイチローはIsoD.071で128位と中の上。MLBでは.043で下位だから、NPBとMLBでは打撃が変わったことがわかる。