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 米TechCrunchが「Facebookがケータイを開発中」と報じたことを受け、FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏は誤解を避けるためにTechCrunchのMichael Arrington氏などをFacebook本社に招き、Facebookのモバイル戦略について自ら語った。それによると、FacebookはiPhoneやAndroidケータイに対抗するようなケータイを開発することが目的ではなく、モバイル環境の中でのソーシャルなプラットフォームを開発しようとしているという。(インタビュー記事。英文。日本語訳が出た時点で日本語の記事へのリンクに変更します)

 Facebookは電話を開発しているのか、していないのか。「『電話を開発する』という言葉の定義次第」とZuckerberg氏は言う。

 確かに「開発メーカー」の定義は過去20年くらいで大きく変わった。AppleはiPhoneをデザインした。OSも開発した。チップもデザインした。しかし製造自体は、専門の製造業者に任せている。自ら製造するわけではないので20年前ならAppleは携帯電話メーカーと呼ばれなかったかもしれない。しかし専門の製造業者へのアウトソースが当たり前になった今日では、「AppleがiPhoneを開発した」としてもまったく問題ない。

 一方でGoogleはAndroidケータイの次世代機種を開発する場合、ハードメーカー1社とスクラムを組む。密な協業を通じて次世代のケータイを作り上げている。この場合Googleは「開発メーカー」になるのだろうか。同じような時期に同じような協業体制で作られたAndroidケータイでも「Droid」はMotorolaが「開発メーカー」とみなされ、「Nexus One」は実際に製造したHTCではなくGoogleが「開発メーカー」とみなされている。違いは、Droidはモトローラがマーケティング、販売に責任を持ったこと、Nexus OneはGoogleが責任を持ったことぐらい。つまり定義次第で「Facebookがケータイを開発している」とも「していない」ともいえる、というのがZuckerberg氏の主張だ。同氏は、AppleやGoogleなどに比べて、Facebookの関わりは「より軽いものだ」としている。なので「ケータイを開発しているのではない」と同氏は強調する。ただ携帯電話プロジェクトを「Facebookケータイ」と社内で形容することもあるようだ。

 「より軽いもの」とはブランディングの面においてあまりFacebook色を強く打ち出すつもりはないという意味だろう。「iPhoneやAndroidに対抗するつもりはない」とZuckerberg氏は何度も強調している。対抗するのではなく、iPhone上でもAndroid上でもソーシャルな機能を提供していきたいという。パソコン向けウェブサイトに「いいね!」ボタンを設置することでそのサイトがソーシャル化する。「友人が『いいね!』をクリックしているから記事を読んでみよう」「彼が『いいね!』しているからこの音楽を聞いてみよう」というソーシャル化のメリットを受けることができる。同様の効果をスマートフォンのすべてのアプリに広める、モバイルのソーシャルなプラットフォームを作る、というのがFacebookの目指すところだとZuckerberg氏は言う。
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