――初回限定盤のDVDには3バージョンのPVが収録されますが、映像と合わさるともっとイメージが膨らみますよね。STUDIO 4℃の森本監督とはどんな話をしたんですか?

たむらぱん:original ver.は、自分がそのストーリーに沿った形で結構、歌詞というか内容が伝わりやすいものに作ってもらったんですけど、morimoto×tamura Remix ver.はSTUDIO 4℃の森本さんが“ちゃんとした”って言ってたけど(笑)、もしoriginal ver.が無かったら、曲の内容が分かるものにしなきゃと思ったけど、“ちゃんとした”のがあるからいっか?と思って好きにやった、とは言っていましたね。

――morimoto×tamura Remix ver.では、ブタとかのイラストを描かれたようで。何か監督からのリクエストはあったんですか?

たむらぱん:はいはい!森本さんが全体の構成を作っていて、その中で田村さんに何か描いて欲しいものみたいな感じで、止めの静止画と、パラパラアニメみたいな動画を1個ずつと、仏像を1体。止めの静止画で、何でもいいから100キャラ以上みたいな感じで、キャラの指定は無かったんですけど。植物を描いても、動物を描いても、人を描いても、何を描いてもいいんだけど、その中に仏像だけは描いてくれと言われて。それは何か1個のシーンで登場する用だったんですよ。パラパラアニメのストーリーは、「頑張ったら何かいいことがあった」みたいなストーリーにはして欲しいというのはあったんですけど、自分で考えていいと言われたので、ブタが何かを運んでいるストーリーを。動画をパラパラ作っていくのは初めてだったから、「自分が教えるし、そんなに上手くやらなくていいよ」とか言ってくれてたけど、すげぇ厳しかった(笑)。段々熱くなっていって、すげぇ細かい!でも、それはそれで、すごく面白かったですけどね。最後とか、どんどん仮で観ながら、私と森本さんとで「こうした方がいいね」とか言っていて、STUDIO 4℃のスタッフの人が「もうそれ以上、新しいことを思いつかないでくれ!」みたいな感じでしたけどね(笑)。

――以前、たむらぱんの曲はジブリ映画とマッチしそうな世界観だと話しましたが、やっぱりアニメとの相性は良かったなと。

たむらぱん:でも、私は今までそういうアニメという“観るもの”と、自分の曲とが繋がるのは、あまりイメージできなかったので、すごく嬉しかったですね。ああいうバイクみたいなものが走っている後ろで、ただ流れているだけでも、お話になっている感じが良くて。これは森本さんも言ってくれていたことなんですけど、「田村さんの曲は結構、怖い童話チックなんだ。普通に聴いた感じとか観た感じとか、曲調とかも楽しいんだけど、裏を返すとすごく真っ暗闇みたいなものが含まれていたり」って。でも、私は自分が曲とかを作る中で、結構そういうグリム童話とか、アンデルセン童話とかみたいな表現方法がしたいなと思っていたので、「流石だな」と思って(笑)。森本さんに「流石だな」って言うのも失礼なんですけど。

――森本さんの言う「怖い」と合っているかは分からないですけど、歌詞を見ていて、たまにドキッとするような核心を突いている一言を目にすることがあるので、痛いなと思う時は「ゼロ」の中にもありましたね。

たむらぱん:そうですか?(笑)。私さっき「爪楊枝を取ってくれ」と言われて。ハサミを人に渡す時、刃の方を自分が持って、持つ方を相手に渡すじゃないですか。それで、爪楊枝を取った時に、相手が持ちやすい持つ方を渡すと、自分が口に入れる方を触るから、どっちがいいんだろう?と思って。そういう所が多分、曲とか作る、色んなきっかけになっているのかな?と思って。

――そうなんですか?(笑)。

たむらぱん:相手を思いやるか、現実的な衛生面を考えなきゃいけないのか、という葛藤。それで中途半端に真ん中の辺を持って、この中途半端が良くないのかもな?とか一瞬、色々と考えたんですよね(笑)。