【バイタルエリアの仕事人】vol.65 鈴木大輔|「まだまだ成長できる」自分のためだけではない。支えてくれる人たちに「恩返しがしたい」から
前編では17年ぶりのJ1昇格を果たした2025年シーズンとJ1百年構想リーグでの戦いなどを振り返ってもらった。後編ではまず、DFとして“ゴールを守る”場所でもあるバイタルエリアへの考え方を訊いた。
バイタルエリアは、自分が一番仕事をする場所です。ディフェンスで最も大事にしているのは人を動かすことで、予測と声で解決できることがほとんどだと思っています。本当はバイタルエリアにボールが来ないこと、より高い位置でボールを奪って、僕が力を発揮する機会が訪れないほうが、チームの守備としては上手くいっている印象です。
もちろん、バイタルエリアで力を発揮することも大事ですが、僕の特長は、守備陣を統率して、相手の立ち位置や逆サイドの状況などを見ながら、人を動かすこと。そういう意味では、守備では予測と人を動かすための声掛けを最優先に意識しています。
また、メンタリティの面でチームにポジティブな雰囲気をもたらして、前向きな気持ちや強い自信を植え付けることも大事にしています。勝負に挑む時に、「俺たちはできる」という雰囲気を作ることが、最も好きですし、得意にしていることです。なので、プレー中の声もそうですけど、リーダーシップも自分の強みだと思います。
一方で攻撃では、ビルドアップが求められるなかで、後ろからの組み立てが攻撃の第一歩だと思っています。いかにプレッシャーを最初にかいくぐれるかが重要ですし、そこはすごくトライしています。
今でも突き詰めていくと終わりがなくて、映像を見返しても「ここが空いていたな」という場面は本当に尽きないです。現代は分析のレベルもかなり上がっていますし、データもあって色々なことが見られます。僕が若かった頃にはそういった環境がなかったので、今でも伸びしろしかないなと思っています。
2010年にプロキャリアをスタートさせてから16年。36歳となった鈴木は数々の経験を重ねるなかで、ディフェンスへの考え方と自身の身体との向き合い方が変化したという。
また、その変遷を語るうえで欠かせないのが、スペインで過ごした3シーズンだ。2015-16シーズンから当時2部のヒムナスティック・タラゴナでプレー。異国の地で目にした光景とは――。現地での学びについても語ってもらった。
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僕は器用なタイプではないので、昔と今でプレースタイルはあまり変わっていないです。でも、やっぱり若い頃と同じようにプレーしているわけではないです。
ディフェンスの選手は、経験がものを言うとされていますけど、本当にその通りで、何度も同じやられ方を経験すると、免疫ができます。準備のスピードが上がって、予測ができるようになります。その感覚は年々感じています。
あとは、若い頃は「ボールを奪いたい」「目立ちたい」という気持ちが一番強くて、自分が優れたディフェンダーになることばかり考えていました。でも、年齢を重ねて経験を積み、戦術の引き出しが増えてきたなかで、「自分が仕事をしないようにするにはどうすればいいか」という考え方にシフトしてきている気がします。
僕は千葉に来てから、何度か半年ほどプレーできなくなる怪我をしましたし、若い頃も負傷が多かったです。その都度、自分の身体と向き合いながら、色々試してきて、今になってようやく、食事やトレーニング、ケア、睡眠はもちろん、どうすればストレスをためずに過ごせるのか、逆に何を削ればいいのかも分かってきました。
