書店を一から作る過程が丸ごと書かれた、本屋好きには必見の書籍など、本読みの達人たちが教える選りすぐりの新刊本
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年4月号からの転載です。
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本読みの達人、ダ・ヴィンチBOOK Watchersがあらゆるジャンルの新刊本から選りすぐりの8冊をご紹介。あなたの気になる一冊はどれですか。
イラスト=千野エー
[読得指数]★★★★★
この本を読んで味わえる気分、およびオトクなポイント。

渡辺祐真
わたなべ・すけざね●1992年生まれ、東京都出身。2021年から文筆家、書評家、書評系YouTuberとして活動。ラジオなどの各種メディア出演、トークイベント、書店でのブックフェアなども手掛ける。著書に『物語のカギ』がある。

『ロシア宇宙主義全史 神化思想からトランスヒューマニズム・人新世へ』
死者の復活や不死を目指して宇宙開発をする人々
20世紀の宇宙開発では、アメリカとソ連が際限のない競争を繰り広げた。その目的は国家の威信と戦略の拡大といったものが主だったが、一方で後にロシア宇宙主義と総称されるような人々が独自の期待をかけてもいた。彼らは科学技術によって人間の限界を越えることを目論んでおり(全人類の復活、血液交換による不老不死など)、宇宙開発をその核に据えていた。例えばコンスタンチン・ツィオルコフスキーは、研究者として宇宙ロケットの開発なども手がけていたと同時に、宇宙へ移住することで人類の身体と意識はより進化できると考えていた。
一見、奇妙に思えるかもしれないが、今でもイーロン・マスクやピーター・ティールといったアメリカの大富豪たちは近しい考えを持つ。本書は、日本語で手軽に読める初のロシア宇宙主義の歴史にして、現代のロシア宇宙主義的な考えまで見据える。この思想はまだ死んでいないことがよく分かるだろう。
人文/歴史
不死を笑えなくなる度
★★★★★

『奥井の英文読解 3つの物語─分析と鑑賞[新装復刊版]』
伝説の予備校講師による名著が復活
駿台予備学校には伝説の英語教師が二人いた。英語指導の礎を築いた伊藤和夫、そして東洋大学教授で英文学者でもある奥井潔だ。伊藤が予備校英語の本流なら、奥井は深淵な英文学の世界を垣間見せる大学0年生の授業で、評論家の四方田犬彦は旧制高校の授業のようだと評した。私が駿台に通った頃には両名ともに鬼籍に入られていたので、以上は伝聞に過ぎない。だがその頃もなお両者の授業は熱く語り継がれ、授業の片鱗は参考書に残っていると言われていた。ところが、伊藤の参考書が現役なのに対して、奥井の本はいずれも絶版でしかも高騰。
入手は諦めていたのだが、近年待望の復刊がなされている。本書には約200ページに短い英文と解説が三つ収録されている。一文一文、一語一語に丁寧に解説が施されており、その内容は文法や語義だけではなく、文学論や人生論にも及ぶ。文章を丹念に読み込む喜びがここにある。
教養/英語
予備校っていいなあ度
★★★★★

前田裕太
まえだ・ゆうた●1992年生まれ、神奈川県出身。芸人。高岸宏行とともにお笑いコンビ・ティモンディを結成。数々のバラエティ番組に出演し活躍。著書に『自意識のラストダンス』がある。

『ぼくの本屋ができるまで』
本屋を愛するすべての人へお勧めの書店員本
著者が元書店員であるからこそ書けた、リアルな書店小説を紹介したい。書店を題材にした小説は数あれど、書店を一から作る過程が丸ごと書かれているものは比較的珍しいのではないかと思う。
棚をどう配置するか、発注する本の部数はどう決めるか、実際に考えるところから、出版社の営業など本来お客さんとして本屋に行くだけでは見えない部分まで主人公を通じて追体験できるのも良い。
出版、流通という馴染みのない分野を図解した、分かりやすい挿絵が入っていて、興味のあった世界を知れたところもまた面白かった。
専門用語の解説も付いているが、ただの実用書としてではなく小説として物語が進んでいくため読みやすい。本屋が好きな人間であれば、もしも自分の本屋を持ったら、と考えたことがあるだろう。そんな本好きに是非とも手に取ってもらいたい一冊だ。
文芸/小説
書店好きの読後満足度
★★★★★

『一生枯れないセンスとデザイン術 誰も教えてくれない本質的なテクニック』
デザインは人の心理を操る芸術! そのテクニック本
AIがどんどん力をつけて、人間の力というものが不必要になっている分野が沢山ある。イラストなんて生成AIに任せてしまえばいいという考えの人もいるだろう。私もその一人だった。だが本書を読むと、認識が変わる。
デザインの本質は、絵を人間にどう解釈させるかというところにあって、ただ表面的なデザイン性のある画像を作ることとは違う。芸術性の高いものなのだ。
例えば、ペットの金魚と食卓に出てくる魚では、同じ魚でも見た者へ与える感情に差がある。それを本書ではストーリーや文脈を付加する、と表現しているのだけれどそれが人の心理に如何に作用するのかを考えた上で実際にデザインに落とし込む技術が書かれている。
他にもフォントや視線誘導など、人間の心理に訴えかけるための技術が分かりやすく記載されていて、学びに溢れた一冊だ。
実用/デザイン
デザインの幅が広がる度
★★★★★

村井理子
むらい・りこ●1970年生まれ、静岡県出身。翻訳家、エッセイスト。著書に『村井さんちの生活』『兄の終い』『ある翻訳家の取り憑かれた日常』など。訳書としては『ゼロからトースターを作ってみた結果』『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』ほか。

『作家で食っていく方法』
書く仕事をしている人は絶対に読むべき一冊
大ヒット作を次々と世に送り出している人気作家・今村翔吾氏。その今村氏が、作家で食っていくためにどのような心構えをして仕事を進め、出版社とつきあえばいいか、また、小説は実際にどのようにして書いていけばいいのかを、詳細に記した一冊。とにかく最初から最後まで面白い。時折登場するフレーズに大いに笑わされたし、的確なアドバイスにページをめくる手が止まらない。なんというサービス精神だろう。このサービス精神こそ、今村氏の活躍の秘密に違いないと感じた。これから小説を書く人、今現在、書く仕事をしている人にとっては、自分の仕事の進め方を省みる、良いきっかけの一冊となるだろう。私の感想としては、とにかく「かっこいい」! 億を稼ぐ直木賞作家、やはりひと味違う。マーカーで線を引きまくりながら読み終わったが、私の仕事のやり方は、この先、間違いなく変わると思う。読んでよかったと心から感じた一冊だ。
ノンフィクション/仕事術
全クリエイター必読度
★★★★★

『ひのえうまに生まれて 300年の呪いを解く』
丙午生まれの女は男を食い殺す
2026年は、60年に一度巡ってくる丙午。何度も聞いたことがある言葉ではあっても、その詳細を知る人はあまりいないのではないか。しかし、その丙午に生まれた当事者の女性たちは別だろう。なにせ、「男を食い殺す」と言われ、結婚や出産をあきらめてきたという悲しい過去があるのだから。
自らも丙午生まれの作家・酒井順子氏が、時代を遡りながら、丙午という迷信の正体を探る一冊で、これまで女性の生き方を書き続けてきた酒井氏ならではの視点が最後まで貫かれている。令和の現代であっても女性として生きるには面倒なことが多いのに、これまで丙午生まれというだけで苦しんだ女性が多かったことを、酒井氏が発掘したエピソードで知る。巻末にある、著者、俳優の鈴木保奈美氏、そして大阪大学大学院教授吉川徹氏で行った「丙午当事者鼎談 『スケープホース』と『負け犬』」が、あっけらかんと明るくて、とてもよい。
文芸/エッセイ
謎の迷信度
★★★★★

本間 悠
ほんま・はるか●1979年生まれ、佐賀市在住。書店店長。明林堂書店南佐賀店やうなぎBOOKSで勤務し、現在は佐賀之書店の店長を務める。バラエティ書店員として書評執筆やラジオパーソナリティなどマルチに活躍の幅を広げている。

『スノウマンの葬列 真々部律香の推理断章』
人間味あふれるニューヒロイン・真々部律香、爆誕!
主人公は、謎解きを請け負う「オフィスレイヴン」社長にして名探偵の真々部律香。彼女は精神疾患を患っている、メンヘラ系名探偵なのである。
躁状態にあるときは、鼻歌を歌いながら嬉々として現場に向かっていくが、うつ状態がひどければベッドから起き上がることも難しく、 安楽“ベッド”探偵として、事件解決に挑んだりする。謎解きパートでは……ここから先は是非本文で。斬新過ぎて思わず笑ってしまったのが第四話だ。
躁うつの波によって、食事・入浴などのセルフケアすらままならない彼女を献身的に支えるのが、ワトソン役となる古厩達希。律香と達希の絶妙な距離感から生まれる掛け合いも面白く、彼らの関係がこの先どうなるのかお節介にも気を揉んでしまう。肝心のミステリも一捻り効いていて、なるほど! と唸らされるものばかり。コレ次回作ありますよね!? 次の巻が楽しみな新シリーズが、また一つ増えてしまった。
文芸/小説
私も達希に世話されたい度
★★★★★

『償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って』
日本中を震撼させた事件。真の“その後”とは――
1989年3月に発覚した綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件。当時私は小学生だったが、自分とそう年齢の変わらない女性が受けたあまりにもむごい仕打ちに、その後数年は悪夢を見続けたほどだ。だが綾瀬事件に限らず、どんなに取り上げられていたニュースでも、その後についてはほとんど知らない。罪を償ったとされたあと、加害者たちは一体どのように暮らしたのか。また彼らはどのような人物なのか。
彼らを追い続けたのは、報道番組『ニュースステーション』の制作スタッフ・山粼氏。執念の記録は圧巻の一言だ。見知らぬ怪物のようであった彼らの輪郭が一人の人間として像を結んでいく。更生とは、償いとは。彼らの取材記録をたどりながら、読者である私自身も、考え続けた。
くしくも読んでいたのと同時期に、同番組の司会であった久米宏氏が亡くなられた。忘れられない一冊として、深く刻み込まれる体験となった。
文芸/ノンフィクション
番組制作の裏側も興味深い度
★★★★★
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本読みの達人、ダ・ヴィンチBOOK Watchersがあらゆるジャンルの新刊本から選りすぐりの8冊をご紹介。あなたの気になる一冊はどれですか。
イラスト=千野エー
[読得指数]★★★★★
この本を読んで味わえる気分、およびオトクなポイント。

渡辺祐真
わたなべ・すけざね●1992年生まれ、東京都出身。2021年から文筆家、書評家、書評系YouTuberとして活動。ラジオなどの各種メディア出演、トークイベント、書店でのブックフェアなども手掛ける。著書に『物語のカギ』がある。

死者の復活や不死を目指して宇宙開発をする人々
20世紀の宇宙開発では、アメリカとソ連が際限のない競争を繰り広げた。その目的は国家の威信と戦略の拡大といったものが主だったが、一方で後にロシア宇宙主義と総称されるような人々が独自の期待をかけてもいた。彼らは科学技術によって人間の限界を越えることを目論んでおり(全人類の復活、血液交換による不老不死など)、宇宙開発をその核に据えていた。例えばコンスタンチン・ツィオルコフスキーは、研究者として宇宙ロケットの開発なども手がけていたと同時に、宇宙へ移住することで人類の身体と意識はより進化できると考えていた。
一見、奇妙に思えるかもしれないが、今でもイーロン・マスクやピーター・ティールといったアメリカの大富豪たちは近しい考えを持つ。本書は、日本語で手軽に読める初のロシア宇宙主義の歴史にして、現代のロシア宇宙主義的な考えまで見据える。この思想はまだ死んでいないことがよく分かるだろう。
人文/歴史
不死を笑えなくなる度
★★★★★

伝説の予備校講師による名著が復活
駿台予備学校には伝説の英語教師が二人いた。英語指導の礎を築いた伊藤和夫、そして東洋大学教授で英文学者でもある奥井潔だ。伊藤が予備校英語の本流なら、奥井は深淵な英文学の世界を垣間見せる大学0年生の授業で、評論家の四方田犬彦は旧制高校の授業のようだと評した。私が駿台に通った頃には両名ともに鬼籍に入られていたので、以上は伝聞に過ぎない。だがその頃もなお両者の授業は熱く語り継がれ、授業の片鱗は参考書に残っていると言われていた。ところが、伊藤の参考書が現役なのに対して、奥井の本はいずれも絶版でしかも高騰。
入手は諦めていたのだが、近年待望の復刊がなされている。本書には約200ページに短い英文と解説が三つ収録されている。一文一文、一語一語に丁寧に解説が施されており、その内容は文法や語義だけではなく、文学論や人生論にも及ぶ。文章を丹念に読み込む喜びがここにある。
教養/英語
予備校っていいなあ度
★★★★★

前田裕太
まえだ・ゆうた●1992年生まれ、神奈川県出身。芸人。高岸宏行とともにお笑いコンビ・ティモンディを結成。数々のバラエティ番組に出演し活躍。著書に『自意識のラストダンス』がある。

本屋を愛するすべての人へお勧めの書店員本
著者が元書店員であるからこそ書けた、リアルな書店小説を紹介したい。書店を題材にした小説は数あれど、書店を一から作る過程が丸ごと書かれているものは比較的珍しいのではないかと思う。
棚をどう配置するか、発注する本の部数はどう決めるか、実際に考えるところから、出版社の営業など本来お客さんとして本屋に行くだけでは見えない部分まで主人公を通じて追体験できるのも良い。
出版、流通という馴染みのない分野を図解した、分かりやすい挿絵が入っていて、興味のあった世界を知れたところもまた面白かった。
専門用語の解説も付いているが、ただの実用書としてではなく小説として物語が進んでいくため読みやすい。本屋が好きな人間であれば、もしも自分の本屋を持ったら、と考えたことがあるだろう。そんな本好きに是非とも手に取ってもらいたい一冊だ。
文芸/小説
書店好きの読後満足度
★★★★★

デザインは人の心理を操る芸術! そのテクニック本
AIがどんどん力をつけて、人間の力というものが不必要になっている分野が沢山ある。イラストなんて生成AIに任せてしまえばいいという考えの人もいるだろう。私もその一人だった。だが本書を読むと、認識が変わる。
デザインの本質は、絵を人間にどう解釈させるかというところにあって、ただ表面的なデザイン性のある画像を作ることとは違う。芸術性の高いものなのだ。
例えば、ペットの金魚と食卓に出てくる魚では、同じ魚でも見た者へ与える感情に差がある。それを本書ではストーリーや文脈を付加する、と表現しているのだけれどそれが人の心理に如何に作用するのかを考えた上で実際にデザインに落とし込む技術が書かれている。
他にもフォントや視線誘導など、人間の心理に訴えかけるための技術が分かりやすく記載されていて、学びに溢れた一冊だ。
実用/デザイン
デザインの幅が広がる度
★★★★★

村井理子
むらい・りこ●1970年生まれ、静岡県出身。翻訳家、エッセイスト。著書に『村井さんちの生活』『兄の終い』『ある翻訳家の取り憑かれた日常』など。訳書としては『ゼロからトースターを作ってみた結果』『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』ほか。

書く仕事をしている人は絶対に読むべき一冊
大ヒット作を次々と世に送り出している人気作家・今村翔吾氏。その今村氏が、作家で食っていくためにどのような心構えをして仕事を進め、出版社とつきあえばいいか、また、小説は実際にどのようにして書いていけばいいのかを、詳細に記した一冊。とにかく最初から最後まで面白い。時折登場するフレーズに大いに笑わされたし、的確なアドバイスにページをめくる手が止まらない。なんというサービス精神だろう。このサービス精神こそ、今村氏の活躍の秘密に違いないと感じた。これから小説を書く人、今現在、書く仕事をしている人にとっては、自分の仕事の進め方を省みる、良いきっかけの一冊となるだろう。私の感想としては、とにかく「かっこいい」! 億を稼ぐ直木賞作家、やはりひと味違う。マーカーで線を引きまくりながら読み終わったが、私の仕事のやり方は、この先、間違いなく変わると思う。読んでよかったと心から感じた一冊だ。
ノンフィクション/仕事術
全クリエイター必読度
★★★★★

丙午生まれの女は男を食い殺す
2026年は、60年に一度巡ってくる丙午。何度も聞いたことがある言葉ではあっても、その詳細を知る人はあまりいないのではないか。しかし、その丙午に生まれた当事者の女性たちは別だろう。なにせ、「男を食い殺す」と言われ、結婚や出産をあきらめてきたという悲しい過去があるのだから。
自らも丙午生まれの作家・酒井順子氏が、時代を遡りながら、丙午という迷信の正体を探る一冊で、これまで女性の生き方を書き続けてきた酒井氏ならではの視点が最後まで貫かれている。令和の現代であっても女性として生きるには面倒なことが多いのに、これまで丙午生まれというだけで苦しんだ女性が多かったことを、酒井氏が発掘したエピソードで知る。巻末にある、著者、俳優の鈴木保奈美氏、そして大阪大学大学院教授吉川徹氏で行った「丙午当事者鼎談 『スケープホース』と『負け犬』」が、あっけらかんと明るくて、とてもよい。
文芸/エッセイ
謎の迷信度
★★★★★

本間 悠
ほんま・はるか●1979年生まれ、佐賀市在住。書店店長。明林堂書店南佐賀店やうなぎBOOKSで勤務し、現在は佐賀之書店の店長を務める。バラエティ書店員として書評執筆やラジオパーソナリティなどマルチに活躍の幅を広げている。

人間味あふれるニューヒロイン・真々部律香、爆誕!
主人公は、謎解きを請け負う「オフィスレイヴン」社長にして名探偵の真々部律香。彼女は精神疾患を患っている、メンヘラ系名探偵なのである。
躁状態にあるときは、鼻歌を歌いながら嬉々として現場に向かっていくが、うつ状態がひどければベッドから起き上がることも難しく、 安楽“ベッド”探偵として、事件解決に挑んだりする。謎解きパートでは……ここから先は是非本文で。斬新過ぎて思わず笑ってしまったのが第四話だ。
躁うつの波によって、食事・入浴などのセルフケアすらままならない彼女を献身的に支えるのが、ワトソン役となる古厩達希。律香と達希の絶妙な距離感から生まれる掛け合いも面白く、彼らの関係がこの先どうなるのかお節介にも気を揉んでしまう。肝心のミステリも一捻り効いていて、なるほど! と唸らされるものばかり。コレ次回作ありますよね!? 次の巻が楽しみな新シリーズが、また一つ増えてしまった。
文芸/小説
私も達希に世話されたい度
★★★★★

日本中を震撼させた事件。真の“その後”とは――
1989年3月に発覚した綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件。当時私は小学生だったが、自分とそう年齢の変わらない女性が受けたあまりにもむごい仕打ちに、その後数年は悪夢を見続けたほどだ。だが綾瀬事件に限らず、どんなに取り上げられていたニュースでも、その後についてはほとんど知らない。罪を償ったとされたあと、加害者たちは一体どのように暮らしたのか。また彼らはどのような人物なのか。
彼らを追い続けたのは、報道番組『ニュースステーション』の制作スタッフ・山粼氏。執念の記録は圧巻の一言だ。見知らぬ怪物のようであった彼らの輪郭が一人の人間として像を結んでいく。更生とは、償いとは。彼らの取材記録をたどりながら、読者である私自身も、考え続けた。
くしくも読んでいたのと同時期に、同番組の司会であった久米宏氏が亡くなられた。忘れられない一冊として、深く刻み込まれる体験となった。
文芸/ノンフィクション
番組制作の裏側も興味深い度
★★★★★
