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福島県いわき市の市立中学校で、3月11日の給食として予定されていた「赤飯」が、当日になって「不適切だ」と判断され、2100食分が廃棄された問題が物議を呼んでいる。

市の担当課によると、東日本大震災で家族を亡くしたとする人から「経緯を知りたい」に中学校に電話で問い合わせがあった。ただし、電話の主が廃棄まで求めた事実はなかったという。

その後、教育委員会の判断で赤飯は廃棄され、教育長が謝罪する事態となった。

背景には、赤飯は「めでたい場で食べる料理」というイメージがあるとみられる。しかし、赤飯の文化を啓発する業界団体は「赤飯は必ずしもお祝いの場面に限定される料理ではない」と説明する。

●「卒業お祝い献立」だった

中学校の献立表には、3月11日に赤飯が提供される予定と記されていた。あわせて「卒業お祝い献立」「3年生のみなさんは、給食を振り返って、どんな思い出がありますか? 今日と明日の給食も、みんなでおいしく食べてください」とのメッセージも添えられていた。

電話をきっかけに教育委員会の幹部らが赤飯の廃棄を決定したことが明らかになると、「もったいない」などの批判が市に多数寄せられたという。

●ハレの日にだけ食べるものなのか

15年前の震災で、多くの人が悲しみを経験したことは重く受け止める必要がある。一方で、若者の新たな門出を祝うことまで否定されるべきだろうか。

そもそも、赤飯は「ハレの日」にだけ食べる料理なのだろうか。

赤飯の由来や今回の出来事についての受け止めを、米や豆の卸業者などで構成される「一般社団法人赤飯文化啓発協会」に聞いた。

●「祝い事だけでなく、仏事や縁起直しでも食べられてきた」

「赤飯は一般的に『祝い事の料理』として広く知られていますが、日本の食文化の中ではそれだけではなく、地域によっては仏事や法事、あるいは災厄を祓い福へと転じる『縁起直し』の意味合いで食べられてきた歴史があります。

そのため、赤飯は必ずしも『お祝いの場面に限定される料理』ではなく、人々が節目や祈りの気持ちを込めて食べてきた、日本の生活文化の一つといえます」(同協会)

協会によれば、赤飯は祝い事に限らず、仏事などさまざまな場面で、人々の思いを込めて食べてきたという。

●「食べ物を大切にするという価値観も日本文化の一側面」

「今回の出来事については、東日本大震災でご家族を亡くされた方のお気持ちそして思いが背景にあったものと受け止めております。

一方で、赤飯の文化的背景を踏まえると、祝い事に限られない受け止め方や食習慣もあると考えております。また、食文化の観点から申し上げれば、食べ物を大切にするという価値観も日本文化の重要な一側面です」(協会)

震災の犠牲や教訓を忘れてはならない。しかし、食べ物を粗末にしないという価値観も軽視できない。

「今回の出来事が、赤飯という料理が持つ多様な意味や、日本の食文化について改めて考える機会となることを願っております。

当協会としては、赤飯の歴史や文化的背景を丁寧に正しく伝え、日本の食文化への理解が深まるよう、今後も情報発信に努めてまいります」(協会)