『ウィキッド 永遠の約束』で『オズの魔法使い』ドロシーの顔が映らない理由「彼女は駒だから」
『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)に続く最終章『ウィキッド 永遠の約束』では、“悪い魔女”エルファバと“善い魔女”グリンダとの感動的な物語が、『オズの魔法使い』へと繋がっていく形で完結する。
悪い魔女として公敵に陥れられたエルファバは、オズの国の真実を人々に知らせようと一人で戦い続ける。親友グリンダは体制側についており、オズの魔法使いやマダム・モリブルとともに、人々を鼓舞するシンボル的存在として活動していた。
やがて、マダム・モリブルの策略によって竜巻が起こると、これが「竜巻に家ごと巻き込まれ、オズの国に飛ばされてしまう」という『オズの魔法使い』の起点につながる。ブリキの木こり、臆病なライオン、カカシが誕生した顛末も明かされると、『オズの魔法使い』主人公のドロシーも登場する。
しかし映画では、ドロシーはその顔までは映らず、身体の一部分や後ろ姿、あるいは影のみで描写される。ここには、ジョン・M・チュウ監督によるこだわりが表れている。
米に語ったところによれば、「皆さんがどんな物語を持って来られたかに関わらず、皆さんが思い描く“ドロシー像”を踏み躙りたくなかったんです」との理由だ。何十年にもわたって世界中で愛されるドロシーの姿を、この映画で自ら視覚的に定義づけたくなかったのであろう。
さらにチュウ監督は、本作についてあくまでも「エルファバとグリンダの物語」なのであり、ドロシーは「その真ん中にいる駒に過ぎない」とも加えている。映画では、ドロシーが悪い魔女エルファバを倒すという『オズの魔法使い』の有名な展開に向かい、ドロシーが物語の装置的に配置される。ドロシーのストーリーアークはあくまでも背景的に扱い、チュウ監督はエルファバとウィキッドの愛と友情を美しく描き上げることに注力したというわけだ。
『ウィキッド 永遠の約束』は公開中。
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