栗原はるみさんに聞く、レシピに込めたメッセージとは?

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料理のレシピは、簡潔に書かれているほど、簡単そうでつくりやすそう、と感じますよね。そんなシンプルに見えるレシピにも、実は料理家の深い思いが込められています。『きょうの料理 わたしのいつものごはん』の人気レシピに込められたメッセージを、栗原さんにうかがいました。
メッセージを受けて、人気ベスト1レシピの「豚肉とれんこんの炒め煮」を営業担当がつくってみた様子もご覧ください。

人気レシピベスト1 豚肉とれんこんの炒め煮

日々のおかずにも、カジュアルなおもてなしにも大好評の一品

撮影/工藤雅夫(「きょうの料理」2004年4月号より)

材料 4人分

豚肉(肩ロース/しゃぶしゃぶ用) … 200g
れんこん … 450g
A (しょうゆ…大さじ3と1/2 砂糖…大さじ2 みりん…大さじ1)

〇 サラダ油

1 れんこんは皮をむき、3cm厚さのいちょう形、または半月形に切って水にさらし、水けをよく拭く。豚肉は食べやすい大きさに切る。

2 フライパンにサラダ油大さじ1/2を熱し、豚肉をほぐしながら炒め、取り出す。サラダ油大さじ1/2を足し、れんこんを炒める。透き通ってきたら豚肉を戻し入れ、Aを加えて汁けが少なくなるぐらいまで煮る。

◎230kcal ◎15分

栗原さんがレシピに込めたメッセージ

――『わたしのいつものごはん』の編集担当:もう8年以上前にご一緒に作った本ですが、おかげさまで今でも売れ続けています。

栗原はるみさん:うれしいですね。わたしが繰り返しつくり続けてきた料理やおやつを、ギュッと1冊にまとめた本です。

――営業担当者E(一人暮らし男性・20代・自炊はぼちぼち)も、「豚肉とれんこんの炒め煮」をつくってみて、簡単でおいしかった、と言っています。

材料が豚肉とれんこんだけで、調味料も少なめなので、料理はこれから、という方にも「これならすぐつくれそう」と思ってもらえたのでしょう。

――確かに、調味料はしょうゆと砂糖とみりんだけだし、分量もそんなに多くない…。これだけで、ご飯にもお酒にも合う甘辛味になるのだから、「きょうの料理」で紹介した栗原さんのレシピの中で人気No.1になるのも納得です。
 
豚肉は、しゃぶしゃぶ用のごく薄切りを使うので、味がすぐに入るし誰でも柔らかく仕上がります。そして、れんこんは切り方が大事。「3㎝厚さのいちょう形、または半月形」と書いてあるでしょう。

――はい、案外厚みがあって、コロッとした形ですよね。これが小気味よい食感を生むのでしょうか。
 
食べごたえが出るし、この切り方が、火の通し方や調味料の量の少なさにも関係してくるのです。

――というと?

厚みがあるれんこんは、ある程度火を通すことで、味が入りやすくなります。その目安が、レシピの「れんこんを炒める。透き通ってきたら…」というところです。れんこんが透き通ってきたところで調味料を入れると、厚みがあってもちょうどよく味がしみるの。それより前に調味料を入れてしまうと、れんこんがまだ硬いし、味もしみにくい。炒めすぎると少し柔らかくなって、ほどよい食感でなくなるし、水けが出てきて味が薄くなってしまうから「透き通ってきたら」に注目してほしいのです。

――なるほど! この本を編集していたときは、「3㎝厚さ」も「透き通ってきたら」も、すうっと読んでいましたが、おいしく仕上げるための大切なことが書かれていたんですね。

れんこんを薄切りにすると早く火が通るけれど、水けがたくさん出てくるので、調味料の量は少し増やしたほうがいいかもしれません。少なめでもちょうどいいのは、この厚さだから。もし薄切りにするなら、調味料の分量を変えるとか、出てきた水けを吸ってくれるような食材をプラスするとか、違うことを考えるかも。そうすると、また違う料理が生まれます。

――考えるうちに、発想がどんどん膨らんでいく。おもしろいですね!

同じれんこんでも、切り方が変われば、組み合わせる食材や火の入れ方、調味料の量まで変わっていき、レシピが広がっていきます。そこに気づいたら、レシピを読むのも、料理をつくるのも、よりおもしろくなってくるでしょう?
レシピって、あまり長いと「難しそう」となるから、紙面ではできるだけ短いほうがよいけれど、シンプルな料理でも、本当は伝えたいことがたくさんあります。その伝えたいことを、短い文章の中に込めているんです。つくる前に、レシピを2、3回読んでみたら、料理家の考えに気づくことがあるかもしれません。

――営業担当Eは、この奥深さに気づいているだろうか……

これを読んでから、もう一度「豚肉とれんこんの炒め煮」をつくってみたら、何か感じてもらえると思います。

撮影/竹内章雄 スタイリング/福泉響子

「豚肉とれんこんの炒め煮」を営業担当がつくってみた

後日談⋯⋯栗原さんとのお話と最後メッセージを営業担当Eに伝えたところ、早速、もう一度つくってみたということで、本人からレポートがありました!!

営業担当Eです。入社してから現在まで、『わたしのいつものごはん』の販売促進を担当しています。以前からつくっている「豚肉とれんこんの炒め煮」は、頻繁に自炊をしない私でも簡単に、かつ楽しんで料理ができるレシピです! 今回は、栗原さんのお話をもとに、2種類の炒め煮にトライしてみました。

1まずは、栗原さんのレシピ通りにつくってみました

実は、私がこの料理をつくる際に毎回不安になるのが、れんこんを切る際の「厚さ」でした。料理ビギナーからすると3cmは想像以上に厚くみえるので「こんな厚さでうまく炒められるのだろうか⋯⋯」と毎回不安になっていました。
しかし、改めてレシピを読み直してみることで、「厚い」れんこんと「薄い」豚肉を使って調理するというバランスが、調味料を程よくしみ渡らせるためのポイントなのだと理解しました。
手順はシンプルでも、こういったバランスを意識し、れんこんが「透き通るまで」炒めるよう食材の変化もよく観察することで、いつもよりもおいしく仕上げることができました! 栗原はるみさん、アドバイスをいただきありがとうございました!!

➁れんこんを薄く(1cm程度で)切ってアレンジ

せっかくなので、今回はれんこんを薄く切った場合のレシピにも挑戦してみました!
これまではレシピの分量・手順を忠実に守ることを最優先に考えて料理をしていましたが、時にはレシピにないアレンジをすることで、料理の幅を広げてみよう、と実践!
薄く切ったれんこんから、栗原さんの言うとおり水けが出るので、「焼き豆腐」を加えてみました。水けを吸ってくれつつ、豆腐の表面がカリッと仕上がり、見栄えも食感も楽しめました。何より、アレンジすることで、レパートリーを広げることができたのがうれしかったです。

「わたしのいつものごはん」の編集担当
焼き豆腐入りもおいしそう! 写真撮影もがんばりましたね。ところで具材を増やしているけれど、レシピ通りの調味料の量のままで大丈夫だった?

営業担当者E
えっ? うーん、とってもおいしかったという記憶しかないんですけれど⋯⋯味が薄いとは感じなかったし、カリカリ食感もよくて、すぐ完食しちゃいましたから⋯⋯

「わたしのいつものごはん」の編集担当
ざっくりとした記憶⋯⋯(笑)。でもさすが人気No.1レシピ、懐が深い。ちょっと具が増えてもおいしさが変わらない、ということですね。あー、れんこん好きなので、食べたくなってきました。今夜のおかずはこれにします!

お話してくれた人

栗原はるみ(くりはら・はるみ)
料理研究家。つくりやすくておいしいレシピ、使いやすいグッズの開発にとどまらず、日々の暮らしを大切にし、楽しむためのさまざまな提案が幅広い世代から熱い支持を得ている。

■『きょうの料理 わたしのいつものごはん』より
■撮影・竹内章雄/スタイリング・福泉響子