2日のアストン・ビラ戦に0−0で引き分けたチェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督は試合後、補強の必要性を訴えながらも、移籍金の不条理な高騰に不快感を露にした。

 キャプテンのDFジョン・テリーやGKペトル・ツェホといった守備陣の主力選手に戦線離脱が相次ぐチェルシー。アストン・ビラ戦でも、ハリド・ボラルーズが膝を負傷し、故障者リスト入り。さらに、リカルド・カルバリョは、出場停止処分で10日のリーグカップ(ウィコム戦)を欠場する。深刻な人員不足状態のディフェンスラインを立て直すべく、モウリーニョはマンチェスター・シティの若手DFマイカー・リチャーズの獲得に乗り出しているが、チェルシーの興味が伝えられると同時に、移籍金は1800万ポンド(約41億円)にまで高騰。この状況に、モウリーニョは「クレイジーな金額は払わん」と、怒りを込めて語った。

「以前から言っているが、ウチにはDFの補強が必要だ。シーズン開幕当初から、ウチにはセンターバックが3人しかいなかった。そのうち、今プレーしているのはリカルド・カルバリョだけ。そのリカルドにしても、(リーグカップの)ウィコム戦は欠場する。とにかく、補強が必要な状況だ。しかし、イングランドのマーケットを考えると、アシスタントコーチのバルテマル・ブリトをプレーさせた方がマシに思えてくる。彼は55歳だが、現役時代はいいDFだった。クレイジーな金額を支払うくらいなら、彼をプレーさせる。私は本気だよ」

 さらにモウリーニョは、今夏の移籍マーケットで、アーセナルからアシュリー・コールを獲得すべく、ウィリアム・ガラスをトレードで放出した決断が、大きな過ちであったことを認めている。

「守備陣が手薄になった責任は私にもある。ガラスは移籍期限の最終日にチームを離れたから、彼の穴を埋めることは出来なかった。彼の放出を決めたのはクラブであり、私はその一員だ。私も責任の一端は担っている」

 年末年始の4連戦を1勝3分で終えたチェルシー。予想外の躓きで、首位マンチェスター・ユナイテッドとの勝点差は6にまで広がった。13日のウィガン戦では大黒柱のテリーが復帰予定だが、崩壊寸前の守備陣に補強は急務。潤沢な資金が仇となり、移籍マーケットで足元を見られる王者チェルシーが、「クレイジー」な金額を支払わず、いかに優秀なDFを獲得するか。スカウト体制も含めた、チェルシーの総合力が問われている。