日大文理学部で開かれているシルクロード展では、大きな衛星写真が敷かれており、東の終着地の奈良・正倉院からシルクロードを経由して、西の終着地ローマまで“走破”できる(撮影:佐谷恭)

写真拡大

シルクロードの自然環境や生活、文化についての大型展示会「シルクロードの風・水・人 ―日本に至る遥かな道―」(日本大学文理学部主催)が、同学部の百周年記念館で開かれている。25日まで。

 同展では、シルクロードに関する作品で有名な作家の井上靖(1907−91)さんが遺した同地訪問時のメモや写真などの資料のほか、長江中流域の黄土やタクラマカン砂漠の砂、天山山脈の氷河から流れた泥なども並べられている。また、食べ物や民芸品の紹介から同学部の研究者による環境問題の考察まで、幅広い分野のパネル展示があり、さまざまな角度からシルクロードを垣間見ることができる。

 また、会場では縦14メートル、横34メートルのアジア・ヨーロッパ地域の衛星写真が、来場客を圧倒していた。地図上の案内に従って、東の終着地の奈良・正倉院からシルクロードを経由して、西の終着地ローマまで“走破”することもできる。地図を作成した日本地図センターの百成了一さんは「シルクロードの壮大さが実感できますよ」と話していた。

 同学部3年生の女子学生らは、環境問題や国際協力などへの関心から同展に来たといい、「乾燥したイメージしかない未知の土地だが、機会があれば行ってみたい」と夢を語った。会社員の男性(37)は、「数年前に訪れた懐かしの地。井上靖の書籍や沢木耕太郎の『深夜特急』で感じたロマンを味わいに来た」と目を輝かした。また、近所に住むという77歳の男性は、「そんな遠くまで行こうとは思わないが、珍しい景色を見るよい機会だと思って」と話し、展示された写真をじっと見入っていた。

 開場時間は午前10時から午後5時まで。入場無料。【了】

■関連記事
同行者が語る、井上靖の功績
空襲を地図と写真で考える