日本シリーズ第3戦の放映権はフジにあった

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 NPB(日本野球機構)主催の「SMBC日本シリーズ2024」で、フジテレビが取材パスを没収され、事実上の“出禁処分”がくだされていた騒動に大きな進展があった。

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 11月11日、セ・パ両リーグの理事会が行なわれ、NPBの井原敦事務局長が騒動に初めて口を開いた。他局が日本シリーズを中継するなか、フジは自局で午前に放送したドジャースとヤンキースのワールドシリーズのダイジェスト版を放送。この番組編成にNPBはフジの取材パスを没収したことを認め、「信頼関係が著しく毀損されたという認識」と厳しい言葉を口にした。

 今後については「制裁、抗議というものではなく、フジテレビさんともそういう協力体制を改めて築き上げていきたい」として、話し合いを予定しているとし、近日中にフジ側に文書で意向が伝えられる見込みだ。

 プロ野球取材において、メディアが“出禁処分”を受けることは珍しいわけではないという。ある現役スポーツ紙記者に聞くと、「球団にとって不都合なことを報じてしまったり、選手を怒らせてしまったりなどで球団が当該メディアを一定期間“出禁”にした、という話は年に1〜2回ほど聞く」とのこと。

NPB側の「怒り」は相当なもの

 だが、今回の騒動は、当初から現場記者のあいだで「NPBの怒りは相当だ」ともっぱらだった。

「番組の編成を決めるのは上層部なので、フジの現場記者やカメラマンに責任はありまん。ですが、現場ではあるNPB関係者がフジの記者を呼び出し、猛抗議したそうです。その記者も頭を下げるしかなかったと聞いています。

 他局である私たちに対しても、あるNPB関係者は”こんな扱いされてスポンサーが良い顔するわけないだろ、スポンサーが辞退したら日本シリーズも開催できなくなることをわかってるのか?”と強い口調で注意を促してきたほどでした」(キー局スポーツ担当)

『FRIDAYデジタル』は、日本シリーズ開催球場の関係者入り口に置かれるスポンサーやテレビ局からの祝い花において、フジが送った花だけ撤去され、目につかない場所に置かれていたと写真付きで報じている(10月31日)。

 こうした“出禁処分”の期間は「大抵、担当者の怒りが収まるかどうか次第」(同前)という不透明なもの。そのためフジの出方も早かった。

「パス剥奪直後から局の役員・幹部がNPB側に繰り返し謝罪を入れていたと聞いています。フジは第3戦(10月29日)の放映権を持っていたのですが、剥奪直後には“放送局を変える”なんて話も出回ったほど。謝罪のおかげか、なんとか最低限の記者、カメラの取材が許されましたが、他局が放映する時の半分ほどの人数だった。よくトラブルなく放送できたなという感想です」(日本シリーズを現地取材をしたスポーツ紙記者)

NPBがトライアウト放送を認めたワケ

 日本シリーズ終了後もNPBはフジへの強硬な姿勢を崩さなかった。実際に11月9〜10日に行なわれた侍ジャパンの強化試合もNPB主催のため、同局は取材を拒否されている。

 フジが頭を抱えていたのが、11月14日に開催予定のプロ野球12球団合同トライアウトだ。同局はCS放送「フジテレビONE」で長年、生中継している。NPB主催のトライアウトは今秋で一区切りとなっているため、関心も高く、局としては何としてでも放送したいところだったはずだ。

「フジはトライアウトの放送だけは死守したかったようで、最低人数でいいから取材パスを発行できないかとNPB側と交渉していました。そうした話は現場記者にも随時、伝わってきていました。ある時、公式Xに投稿していた放送予定告知が削除されていたことが記者間で話題になり、”これは交渉が決裂したのでは?”とも話題になりました。

 ただ、今回のトライアウトは生放送がフジの独占だったため、NPBとしても“出禁”にしてしまっては困る。最終的には出場する選手やファンを最優先にして『今後の放送方針についてオフシーズンに協議する』という形で、今回は取材パスの発行が認められることになったのです」(前出・キー局スポーツ担当)