まるで米軍の「手足」…!戦後日本「対米従属」の「異常すぎる」歴史に呆然

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知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化していた日本

日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?

政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?

国際情勢が混迷を極める「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。

※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。

自衛隊は「米軍の一部」に

上の図は一見すると、日本と米国が横並びで調整し連携するように見えます。しかし、軍事力においては圧倒的に非対称な関係であることを認識する必要があります。

1970年代後半に自衛隊制服組トップの統合幕僚会議議長を務めた弘臣は、自衛隊と米軍の関係について次のような発言を残しています。

「日本の現在置かれているポジションと自衛力形成の過程を見ますと、陸上自衛隊は米陸軍、海上自衛隊は米海軍、航空自衛隊は米空軍が、それぞれ自分の手足として使う目的で育ててきた」(月刊『Voice』1985年10月号)

すでに述べたように、米国は日本に警察予備隊しかなかった段階で、有事の際は米軍が指揮権を握ることを要求していたわけですから、栗栖の指摘はけっして大げさなものではありません。

「手足」はちょっと言葉が悪いですが、米国は自衛隊に米軍の戦力を補完する役割を求めてきたということです。

戦後日本の再武装「米国のため」

そもそも、戦後米国が日本を再武装させたのも、自らの戦争に日本の戦力を活用するためでした。

日本の再武装の第一歩は、1950年の警察予備隊の創設です。当時はまだ連合国軍の占領下でしたから、警察予備隊もマッカーサー連合国軍総司令官の命令によって創設されました。

警察予備隊発足直後の1950年8月22日に、米軍トップのブラッドレー統合参謀本部議長からジョンソン国防長官に送られた「トップ・シークレット」の覚書には、次のように記されています。

(日本の)軍事的空白というのは異常で、ごく短期間のものである。アメリカは(中略)中立、非武装の日本に存在している真空状態を同時に埋めることをいつまでも続ける立場にはない。反対に、世界戦争(グローバル・ウォー)が起きた時に、アメリカが日本の戦力を活用できることが、アメリカの戦略にとって極めて重要であり、そして、恐らくは世界戦争で最終的にうまくいく結果をもたらすことになろう。(中略)上に述べたこととの関係で、統合参謀本部は次のように考える。A 日本は効果的な自衛力をもつために、実質的に適切な再武装をさせる必要がある。B アメリカが日本についてとる措置は、すべて再武装した友好国・日本むけの暫定的措置であるべきである。C 世界戦争に際しては、日本の戦力がアメリカにとって利用できるものであるべきである。(末浪靖司『機密解禁文書にみる日米同盟──アメリカ国立公文書館からの報告』高文研、2015年)

米国は、日本の防衛を日本自身に担わせるとともに、将来的には自らの戦争で日本の戦力を手足のように活用するビジョンを描いて、日本に警察予備隊の創設を命じたのです。

米軍の要請にいち早く応えてきた海上自衛隊

こうした米国のビジョンの下、早くから米軍と一体化してきたのは、海上自衛隊です。創隊以来、米軍のニーズに応えて対潜水艦戦と対機雷戦に特化した能力を整備してきました。

米ソ冷戦時代の1980年代、海上自衛隊は対潜水艦戦の作戦範囲を日本の領海周辺から「グアム以西、フィリピン以北」まで拡大しました。そのために、米ロッキード社(現・ロッキード・マーティン社)が開発した最新式の対潜哨戒機P3Cを約100機購入しました。

日本政府は国民向けには有事の際にエネルギー資源や食料などを輸入する海上交通路(シーレーン)の防衛が目的だと説明しましたが、当時の米国が日本に要求していたのは西太平洋を航行する米軍艦船をソ連軍潜水艦の脅威から守ることでした。

米国はこれに加えて、北海道とサハリンの間の宗谷海峡、北海道と本州の間の津軽海峡、九州と朝鮮半島の間の対馬海峡を機雷で封鎖し、ウラジオストクを拠点とするソ連太平洋艦隊を日本海に封じ込める作戦も日本に要求しました。日本政府はこうした米国の要求に忠実に応えてきました。

海上幕僚監部が2003年に発刊した『海上自衛隊50年史』も、「西側が必要とする諸機能のうち、対潜水艦・対機雷に特化された部隊を中心に整備し、陣営が期待した役割を効果的に果たしてきた」と記しています。

海上自衛隊の実戦部隊を統括する自衛艦隊の司令部は米海軍第七艦隊の本拠地となっている横須賀に置かれ、早くから米軍と緊密な調整の下で活動してきました。

「第七艦隊」との共同訓練

2019年6月、南シナ海で米海軍第七艦隊と海上自衛隊の共同訓練が行われました。

第七艦隊からは横須賀を母港とする原子力空母「ロナルド・レーガン」が、海上自衛隊からはヘリコプター搭載護衛艦「いずも」などが参加しました。この二つは、第七艦隊と海上自衛隊を代表する艦船です。

特に「いずも」は、日本政府が2018年に空母に改修する方針を決定したことから、注目を集めていた艦船でした。

南シナ海で共同訓練を行ったのは、同海域で威圧的な行動を強める中国を牽制するためだと思われます。

第七艦隊のウェブサイトに掲載された記事に、原子力空母「ロナルド・レーガン」で哨戒長を務める士官のコメントが紹介されていました。

「海上自衛隊と共に行動し続けることで、我々は結束した単一の部隊になります。彼らは我々の空母打撃群にとって、あらゆる状況に対処する能力を倍加させる不可欠なパーツです」

これが現場の米軍幹部の率直な感想だと思います。彼らにとって自衛隊は、巨大な米軍の「パーツ(部品)」になっているという認識なのです。

>>「「米国に見捨てられる…」安倍・岸田の恐怖が生んだ「戦慄すべき」日本の末路「もはや米国のミサイル基地」」からこれまでの内容をおさらいできます。

「米国に見捨てられる…」安倍・岸田の恐怖が生んだ「戦慄すべき」日本の末路「もはや米国のミサイル基地」