母に新NISAで「月5万円」投資していると話したら、「株価が急落してるのに危ない」と言われました。損をすると心配なようですが、変動が大きいなら“貯金”のほうが良いのでしょうか…?
株価が下がったとしても積立投資をやめてしまうのは「悪手」
2024年から始まった新NISAは、個別株にも投資信託にも好きなタイミングで投資できる「成長投資枠」と、厳選された投資信託に積立投資できる「つみたて投資枠」に分かれています。新NISAでは両方に投資できることから、つみたて投資枠で投資信託に投資している人も多いでしょう。
新NISAのつみたて投資枠でコツコツと投資信託に積立投資している場合、株価や投資信託の基準価額が急降下したからといって投資をやめることはNGです。
せっかくコツコツと積み上げてきた投資元本がマイナス、あるいは含み益がほぼない状態で売却してしまうと、損をした状態で投資が終了してしまいます。積立投資に関しては、株価や基準価額が大幅に下落している状態はむしろチャンスといえるのです。
長期積立の「ドルコスト平均法」なら価格の下落はむしろチャンスと考えるべき
株価や基準価額が急落した状態がチャンスといえるのは、新NISAのつみたて投資枠での投資が「ドルコスト平均法」になっているためです。
ドルコスト平均法とは、一定のタイミングで、一定金額を購入する仕組みを指します。つみたて投資枠では月1回など一定のタイミングで定期的に事前に設定した金額分の口数だけ投資信託に投資するため、ドルコスト平均法になっています。
例えば毎月5万円をつみたて投資枠で投資しているとしましょう。投資信託の基準価額が1000円のとき、50口を購入することになります。次に、基準価額が下落して800円になってしまったとき、同じ5万円で62口も購入することが可能です。
価格が下がっているということは、ドルコスト平均法としてはバーゲンセールであると考えることができるのです。
一方、基準価額が1200円まで上昇した場合、購入できる口数は41口と少なくなります。一定金額を投資することで基準価額が下がったときは大量に投資し、基準価額が高いときは購入口数を減らして自然と「高値掴み」を抑えることができます。
ドルコスト平均法を活用して時間を分散して投資することで、安いときに保有口数を大量に増やすことができ、やがて株価が上昇したときに大きな利益につながります。
30年投資した場合と貯金した場合ではどのくらい資産額に差が出る?
新NISAなどの長期投資に恐怖を感じてやめた場合、資産形成の方法としては「貯金」になるでしょう。毎月5万円を貯金した場合、30年では1800万円になる計算です。
一方、新NISAでドルコスト平均法を活用した積立投資を30年続けた場合はどうでしょうか。年率の利回りは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2001年度~2024年度第1四半期まで資産運用した結果の「+4.47%」を参考に、4%と仮定します。
同じ毎月5万円の積立でも、30年後には約3400万円になる計算です。
まとめ
積立投資は老後を見据えて長期でおこなうものです。瞬間的に株価や基準価額が下落したからといって休む・やめるというのは運用方法としては適していません。ドルコスト平均法を活用した積立投資をしているなら、株価の下落はバーゲンセールと捉え、今後も同じタイミングで同じ金額をコツコツと投資し続けましょう。
出典
年金積立金管理運用独立行政法人 2024年度の運用状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー