【京成杯AH/追い切り診断】圧巻の動き披露で「S」の最高評価 負けられない一戦に向け「精神面も言うことなし」

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第69回京成杯AH(8日/GIII、中山芝1600m)には桜花賞、NHKマイルC2着のアスコリピチェーノ、中山マイル巧者・エエヤン、サマーマイルシリーズ2戦連続2着のディオなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「アスコリピチェーノ」を取り上げる。

■アスコリピチェーノ

【中間調整】無傷の3連勝で阪神JFを制した才女だ。年明けはぶっつけで桜花賞に臨み、1番人気に支持されるも2着と初敗北。そして続くNHKマイルCも1番人気2着に終わっている。しかし桜花賞は最高に上手く乗られたステレンボッシュにインを強襲されたものだし、NHKマイルCは最後の直線で激しい接触があったもの。いずれも負けて強しで、世代トップ級のマイラーと言っていいだろう。
秋は豪の1500mGI、ザ・ゴールデンイーグルもしくはマイルCSが目標。牧場での調整が順調なことと、レース間隔がちょうどいいこと、そして与しやすい相手関係になるであろうことからハンデがキツくなるのを承知で秋の初戦を京成杯AHに設定。さらに言えば、カーブがキツいローズヒルガーデンズ競馬場(ゴールデンイーグルの開催地)を意識した部分もあるかもしれない。8月11日に坂路4F55秒2(馬なり)を出したのが初時計。以降、酷暑のなかでも坂路&コース併用のメニューを順調に消化している。1週前のウッド追いでは大きく先行させた2頭を楽に追い詰め、軽い促しだけで鋭く加速。一気に突き抜け最先着を果たした。
【最終追い切り】レース当週もウッドで3頭併せ。北村宏騎手を背に(本番はC.ルメール騎手)2頭を先に行かせて追走すると、直線では最内へ。直線に正対してもまだ2頭との差があったが、そこから気持ちを乗せて一気に加速。スルッと抜け出しあっさり最先着とした。ラスト1Fは圧巻の11秒0(馬なり)。前向きさがありながら、しっかりと脚を溜めることができており精神面はピタッと整っているようだ。
【見解】大目標が先にあるということで、帰厩後ここまで馬なりオンリー。過去のGI2走では中間にある程度負荷を掛ける調整を施しており、今回さすがにメイチではないだろう。とはいえ動きは申し分なく、1週前はウッド5Fの自己ベストにコンマ1秒差まで迫る時計を出している。次のGIまでにある程度の回復期間があると考えれば、9割5分程度までは仕上がっているのでは。とくに気持ちの面は言うことなし。ハンデは確かに他馬との比較で厳しいが、それでも春GIから0.5キロ増で済んでいる。まず負けられない一戦だ。
総合評価「S」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。