9回、投手交代を告げベンチに戻る岡田監督(撮影・山口登)

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 「阪神1−5広島」(10日、京セラドーム大阪)

 異例の事態が敗戦の持つ意味の大きさを物語っていた。阪神・岡田彰布監督(66)が取材後の囲み取材に応じることなく球場を後にした。

 必勝を期したはずの一戦は誤算だらけだった。満を持して送り出した大竹が二回1死二、三塁から堂林に適時打を浴びて2点を献上した。指揮官が何度も指摘していた初球がやや甘く入って痛打された。

 直後の攻撃では2死二、三塁から大竹の適時打で1点を返し、近本の四球で2死満塁と好機を広げたが、中野が力なく遊飛に倒れ、森下を打ち崩す最大のチャンスを逸した。

 打線は三回以降、淡泊な攻撃に終始し、岡田監督が采配を振る局面はほぼ皆無だった。五回1死から近本が中前打で出塁したのが、チームとして放ったこの日最後の安打だったが、続く中野が二ゴロ併殺に倒れ、反撃の芽は一瞬にして摘まれた。

 9日の試合後は今季最短となる約30秒で会見を打ち切ったが、この日はひと言も発することがなかった。首位広島とは今季最大タイとなる4差まで広がり、11日に引き分け以下で自力優勝が消滅する。岡田阪神が崖っぷちに立たされた。