復讐コミック推し「シーモアコミックス」の1番人気作品

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 コミックシーモアでは現在、独自レーベルである『シーモアコミックス』を軸にした『復讐コミック』を推している感がありありと出ている。そのシーモアコミックスの青年マンガは全部で14作品、未完で配信中なのが9作品。その中で『レンタル・マーダー〜復讐のプロ、お貸しします〜』は、1年以上の掲載期間をもつ最古参作品だ。

●星の平均数が高い



 長い期間配信されているのには、それなりの理由がある。コミックシーモアの総合ランキングの1年近いデータを分析すると、上位200位にならなかった日数が60日程度しかないのだ。女性、男性、少女、少年全てのジャンル、大手出版社を含む作品数50万を超えるコミックシーモアで年間を通してランキング上位を維持し続けている。ほぼ1年間で20位以内が25%、50位以内が46%にも上る。その人気を裏付けるように、レビューは投稿数が371件あり、星の平均数は(4.3/5.0)と高い。

 さらに、データを集計した直近の2カ月間でジャンルを『青年マンガ』の『ミステリー・サスペンス』だけに絞れば、ランキング上位20位から落ちたことがないほどである。

 その人気の高さから、7月に発表された『コミックシーモア上半期ランキング2024【少年・青年編】』( https://www.cmoa.jp/special/feature/240712_fhranking_m/ )で青年マンガ部門で第3位を獲得した。納得の順位である。

 なぜ、これほどまで人気なのか。それを紐解くため、おおまかなあらすじを紹介する。

●あらすじ



 スマホで『いじめ』について検索していると声を掛けられる。声の主に視線を移すと、目の前には日常的にいじめを繰り返すいつもの面々が……

 主人公の淡路真白(あわじましろ)は18歳の高校3年生。同じクラスの3人に執拗ないじめを受け、クラスメイトも教師も見て見ぬふりをする状態。さらに両親はそれぞれ恋人を作り家を出て行っておりバイトで生活費を稼ぐ辛い毎日だが、大切な妹・雪乃(ゆきの)の笑顔に幸せを見出し日々を送っている。しかし、その大事な妹が突然書置きを残し失踪。いじめの首謀者である猪口マリアが関わっていた。

 意を決した真白は「復讐代行サービス レンタルマーダー」へ、いじめグループの社会的制裁を依頼する。

●レンタルマーダーの人気の秘訣



 この作品、いじめに遭っている主人公が復讐を誓うストーリーではあるが、本人は弱く何もできない。時が戻ったり何か力を手に入れたり、そういった要素もない。代行業者にお願いをするのだが、この業者から派遣されたスタッフの聖花(きよか)が一癖も二癖もある。強引に真白を引っ張っていくのだ。

 もちろん、聖花にも何か特別な力があるわけでもない。ブレることのない持論を展開し、真白を動かし、いじめグループと接触し、弱みを探し出し、真白の望みであった社会的制裁を行っていく。

 人気の秘訣は、陰鬱となりがちないじめ問題を「説教くさくなく」共感させてくれるからではないだろうか。

 聖花は現代社会のいじめについて滔々と語るのだが、諭すような言葉ではなく軽い口調で加害者や被害者を軽視する人を非難する。癖のあるキャラクターだからこそ軽い口調に違和感がなく、友達感覚でいじめ問題を語り読者を引き込める。説教臭くならないこの読みやすさが、この作品の人気にもつながっているように思える。

 そして、いじめグループに対する制裁の準備も現代のルールに則った実に現実的な方法で進められていくが、全てが上手くいくわけではなく計画の軌道修正に迫られることもある。そんな紆余曲折もあり、読者である学生が、あるいは社会人が「自分の周りでも、もしかして同じようなことが行われているのでは……?」そんな錯覚に陥りそうなリアルさがある。ファンタジー要素を排除した作品で、この「もしかしたら……」という感情を読者に持たせられたら大成功ではないだろうか。事実、掲載しているコミックシーモアでの人気は高い。

 物語が進むにつれ、どんな手段を使って社会的制裁を果たすのか、計画は成功するのか、真白の成長は、雪乃の行方は。先が楽しみな作品である。(BCN+R コミックランキングリサーチ部)

●作品情報



https://www.cmoa.jp/title/261008/

『レンタル・マーダー〜復讐のプロ、お貸しします〜』

ジャンル:青年マンガ

出版社:シーモアコミックス

雑誌・レーベル:シーモアコミックス

配信開始日:2023年4月28日

16巻配信中

BCN+R コミックランキングリサーチ部

BCN+R コミックランキングリサーチ部は、電子コミックのランキングの推移を元にしたトレンド分析を行っています。