新たなデザインのNintendo Switch Liteも発表された(画像は任天堂公式サイトより)

後継機種に関するアナウンスはなし

任天堂は「Nintendo Direct」でNintendo Switchのソフトに関する新たな情報を2024年6月18日に発表した。公開される前から、「Switchの後継機種に関するアナウンスはありません」と告知されていたように、今回の映像には新作ゲームの情報のみが収録されていた。

Nintendo Switchは発売から約7年経過しており、後継機に関するニュースもよく耳にする状況だ。当然、多くのファンもそちらに注目している。

つまりNintendo Switchはゲーム機としては末期であり、新しい発表もあまり期待できない状態であった。ところが、今回のNintendo Directはサプライズが多く、Nintendo Switchが現役であることを知らしめる内容になっていたのだ。

任天堂をはじめ各ゲーム会社は次のゲーム機に対する準備を進めている時期だろう。ゆえに大きな新作は期待できないと考えられていたし、実際にリメイクやリマスターが多かったのだが、それでも意外といえるほど新作が発表された。


ゼルダ新作の主役はリンクではなく「ゼルダ姫」

昨今は「ゼルダの伝説」シリーズが破竹の勢いを見せているが、さらなる新作『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』が2024年9月に発売されることが明らかになった。


いつもは緑色の少年「リンク」が主人公だが、今回は「ゼルダ姫」が主役となる新作が発表された(画像は任天堂公式サイトより)

発表から発売までの期間が非常に短いうえ、今回はリンクではなく、ゼルダ姫が主役のやや異色のタイトルとなっている。ゲームシステムにも大きな手が入っており、木、ベッド、水の塊などあらゆるものを“借りて”道を切り開く作りになっている。

これは、プレイヤーごとに攻略法が異なる『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を思わせる作りである。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は大ヒットした作品だけあって、ゆえに本作もまた大きな注目を集めている。

このほかにも任天堂の新作タイトルが充実している。『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』は、おなじみマリオとルイージが主役のRPGだ。本シリーズを開発していた会社が解散してしまったため続編は絶望視されていたが、見事に復活を遂げたわけだ。

Nintendo Directの最後のサプライズとして発表された『メトロイドプライム4 ビヨンド』も印象深い。


今回発表された『メトロイドプライム4 ビヨンド』も注目タイトル。国内ではほどほどだが、海外でかなり人気が高い(画像は任天堂公式サイトより)

本作はなんと発表から7年も経過しており、ほとんど音沙汰のない作品であった。しかも本作は一度開発の仕切り直しをしており、雲行きの怪しい作品だったといえる。ようやく発売日が2025年に決定したということもあり、ファンの喜びもひとしおだろう。

このほかにも『マリオパーティ』の新作など、任天堂から発売されるゲームだけでも盛りだくさんである。

注目を集めたスクウェア・エニックス

もちろん、任天堂以外のサードパーティータイトルもいろいろと発表された。特に注目を集めたのはスクウェア・エニックスだろう。

スクウェア・エニックスはリメイク版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の発売日を発表している。もともと非常に人気のあるタイトルだけあってそれだけでも盛り上がるが、同時に『ドラゴンクエストI&II』を急遽発表しているのだ。


古典的な日本のRPGのなかで最も人気が高い一作『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』がついにリメイク。発表から発売日決定までかなり長かっただけに、期待も大きい(画像は任天堂公式サイトより)

さらに、今回のNintendo Directには「ドラゴンクエスト」シリーズ生みの親である堀井雄二氏が出演しており、このリメイク版には「あっ!と驚く展開が待って」いると明らかにした。追加要素によるなんらかのサプライズがあるとも考えられる。

1993年に発売された『ロマンシング サガ2』のフルリメイクも発表されており、これも驚きを呼んだ。「サガ」シリーズのなかでもトップクラスに人気の高い作品が現代風にリメイクされるうえ、3Dグラフィックで見た目が一新されているのだ。

すでにゲームを楽しむ人たちの平均年齢も高くなっており、ゆえにこういったリメイク作品の訴求力は高いと考えられる。

このほかにも、「ダンガンロンパ」チームの新作『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』や、サンリオキャラクターと島で交流できる『Hello Kitty Island Adventure』なども発表されており、サードパーティーのタイトルもかなり充実しているといえよう。

SwitchはPS2の販売台数を上回る可能性も

前述のように、Nintendo Switchは本来であればハードの末期である。にもかかわらず、2024年後半から2025年にかけてのタイトルがいろいろと発表されたわけで、後継機が発売されるまでこのゲーム機を盛り上げていく意識が感じられた。

Nintendo Switchはすでに全世界で1億4132万台を売り上げ、日本国内では3334万台を突破している。国内ではそれまでトップだったニンテンドーDSを超えており、さらに記録を伸ばす可能性が十分にあるわけだ。もしかすると、世界で1億5500万台以上を販売したPlayStation 2に迫るかもしれない。

すでに発表されているようにポケモンシリーズ最新作『Pokémon LEGENDS Z-A』が2025年にNintendo Switchで発売予定である。キラータイトルといえるソフトもあるわけで、まだまだNintendo Switchの伸びは続きそうだ。

(渡邉 卓也 : ゲームライター)