2024年2月2日にアメリカで発売されたApple Vision Proを装着し、ハンドルから手を離してテスラ車を走行させていた男性の動画がX(旧Twitter)に投稿され、話題となったことが報じられました。

Don't worry, that Tesla driver only wore the Apple Vision Pro for '30-40 seconds' | Popular Science

https://www.popsci.com/technology/apple-vision-pro-tesla-video/

以下が、今回話題になった問題の動画です。Xユーザーのダンテ・レンティーニ氏は、Apple Vision Proの発売日当日に、Appleの広告スローガンである「Think different.」というコメントともに、Apple Vision Proを装着してテスラ車を運転している様子をXで投稿しました。



この男性がレンティーニ氏で、助手席で撮影しているのはレンティーニ氏の友人とのこと。



レンティーニ氏はApple Vision Proの仮想キーボードで何か入力しているような手つきをしており、ハンドルには触れていません。



次のシーンでは左手をハンドルに置いていますが、右手は引き続きスワイプ操作のような動作をしています。



場面がすぐに切り替わり、警察の車両が複数台接近してくる模様を収めたところで動画は終了します。



アメリカの交通法で規定されている違法な脇見運転の定義は州によって異なり、この動画の撮影場所は特定されていませんが、レンティーニ氏が在住するカリフォルニア州では「テレビ受像機、ビデオモニター、またはテレビやビデオ画面が作動していて、運転者の目に見える状態で車両を運転することは違法である」と規定されており、車両情報表示器など限られた例外を除くディスプレイの注視が禁止されています。また、ヘッドセットの着用を禁止する条文もあるため、Apple Vision Proの着用がこれに抵触する可能性もあります。

さらに、AppleはApple Vision Proの装着中に自動車を運転することを明示的に禁止しており、Apple Vision Proのユーザーガイドには「走行中の車両、自転車、重機の操作中、その他安全に注意を要する状況では、絶対に本デバイスを使用しないでください」と記載されています。

同様に、テスラ車には「オートパイロット」「エンハンスドオートパイロット」「完全自動運転(フルセルフドライビング)の3つの運転支援機能が搭載されていますが、いずれも常にハンドルの上に手を置いておくことが要件とされています。

レンティーニ氏がXに投稿した動画は記事作成時点で2432万回以上も再生され、「あなたがこの件で逮捕されることを心から願っています」といった返信が多数寄せられました。



記事作成時点では、レンティーニ氏は逮捕されていないとのこと。レンティーニ氏は複数のメディアに対し、問題の動画は友だちと作った「寸劇」であり、逮捕されたり切符を切られたりはしていないと述べました。レンティーニ氏によると、動画に映っているのはたまたまそこに居合わせた警察車両とのことで、自分たちが通報されたり警察に停車を指示されたりしたわけではないとレンティーニ氏は主張しています。

レンティーニ氏は、この一件を取り上げたアメリカの大衆向け科学誌・Popular Scienceに対して「動画を見て腹を立ててしまう人がいるのはわかりますが、私の視界を妨げるものは何もありませんでした。個人的には、テキストを打ったり食事をしたりしながら運転する方が危険だと思います」とコメントしました。

Apple Vision Proがアメリカで発売されて以来、SNSにはさっそくApple Vision Proを着用して街頭や路上で「今日手に入る未来のテクノロジー」を体験している人の様子が多数投稿されています。その中には、テスラのCybertruckを運転しながらApple Vision Proを装着している動画もあり、こちらも記事作成時点で1739万回も再生されるなど話題となっています。