左から錦鯉・長谷川雅紀、スタミナパン・麻婆、スタミナパン・トシダタカヒデ、錦鯉・渡辺隆

 自らも“遅咲き”で人気を獲得した、実力派芸人たち。苦労を知る彼らだからこそわかる、次の“大器晩成芸人”は誰だ?

 2021年の『M-1』王者、錦鯉。“中年の星”とも呼ばれた彼らが推薦するのが、スタミナパンだ。

 スタミナパンは2023年の『M-1』で、準決勝進出。惜しくも決勝進出は逃し、敗者復活戦では「ほんとにうんちしてま〜す!」と叫ぶ“珍ネタ”を繰り出すも、敗退した。

「スタミナパンは、前からおもしろかったです。でも俺、まだ漫才を見たことない(笑)」

 こう笑う渡辺だが、スタミナパンはコントと漫才の“二刀流コンビ”だ。結成は2014年だが、トシダは学生漫才の賞レースで優勝するなど、2人とも芸歴は長い。

麻婆「『M-1』敗者復活もあり、12月はけっこう忙しくさせてもらって。バイトに入れないのがキツかったです」

トシダ「僕は学童で、子どもに勉強教えたりしてるんです。それこそ子どもが錦鯉さんのまねをすごいしてて。『こーんにちはー!』とか、ずっと言ってますよ。『こっちは知り合いだよ』とか言いながら(笑)」

麻婆「僕はカルチャー教室の設営と、新大久保のホテルのフロントをやってます。いまは2人とも収入のメインはバイトなので、芸人の仕事が少し増えても収入激減なんです」

トシダ「僕は借金が200万円あって……。もうすぐ返し終わりますが、奨学金もあるんで」

渡辺「じゃあ、雅紀さんに借りたらいいじゃん」

トシダ「え、いいんですか!?」

長谷川「……うん」

一同 (爆笑)

長谷川「いや、なんぼでも貸すよ! 俺もさんざんみんなに借りてたから!」

 金策もできたところで、錦鯉の2人にスタミナパンのおすすめポイントを聞いた。

渡辺「いまの芸人って、けっこう緻密なネタを作りますけど、その緻密さでネタを作ってないところですかね。とがった発想一発で逃げ切ろうとして、ちゃんと逃げ切ってる」

麻婆「僕ら、伏線回収とかできないんで……」

トシダ「無理無理(笑)」

渡辺「そんなんしなくても、伏線回収とかいらねえくらい、笑いは取ってますんで。たとえるなら、『格闘技なんにも習ってない、村でいちばん強いやつ』みたいな感じ(笑)」

 こう絶賛する渡辺だが、ひとつ、後輩に釘を刺した。

渡辺「売れてもネタ作りは一生終わんないからね。ネタ作りって呪いだから。活躍してる人も、ネタ作ってるからね」

麻婆「そうですね……」

トシダ「がんばります!」

渡辺「ネタ、作ってください。さあ、今日飲み行くか!」

麻婆&トシダ「ありがとうございます!」

スタミナパン
2014年に結成し、2017年からSMAに所属。ネタは、ボケ担当の麻婆が設定を発案し、その後2人で話し合いながら作っていくという。麻婆は高卒で就職後に養成所に入所、ツッコミ担当のトシダは、10代からコンビを組んでネタを披露していたという経歴を持つ