大谷翔平【写真:Getty Images】

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米紙「USAトゥデイ」のナイチンゲール記者が悔恨

 米大リーグ・大谷翔平投手の移籍先に関する情報が錯綜し、世界が注目する騒動が巻き起こった中、米記者が一連の出来事に悔恨を記している。大谷本人がドジャース入りを発表した前日、一時は「ブルージェイズに移籍決定」という報道も。当該記者ではない米紙「USAトゥデイ」のボブ・ナイチンゲール記者は、「私たちは一体何をしているんだ」と記している。

 同紙は「ショウヘイ・オオタニのFA狂乱状態はMLBメディアの最悪(な部分)を浮き彫りにした。我々はもっとよくできる」と題したナイチンゲール記者の長文コラムを掲載。「私たち野球記者は自身の顔に泥を塗り、ジャーナリズム界隈の恥となった」と大谷の去就報道を振り返った。

 現地時間8日早朝、大谷の決断が「差し迫っている」との報道をきっかけに様々な憶測が飛び交った。トロント行きのプライベートジェットに大谷が乗っているという噂が立てば、「ブルージェイズに移籍決定」と報じる米記者も。どれもナイチンゲール記者が報じたものではなかったが、同記者は自責の念を込めてこう記した。

「その夜は何の決断もなされないまま終わった。その日に起こったのは、我々が自分自身を辱め、野球ファンをさらに激怒させただけだった」「私たちは一体何をしているんだ」

沈黙貫く大谷への批判にナイチンゲール記者「横柄で傲慢だった」

 米メディアの中には大谷と代理人の沈黙を批判する声もあった。ナイチンゲール記者は「我々は彼らのFA交渉のやり方を批判するほど横柄で傲慢だった」と懺悔。「オオタニのFAの実施の仕方は批判されるべきものではなく、称賛されるべきものだった」とした。

「誤報は起こる。第一に報じたいという激しい欲望のあるこのソーシャルメディアの時代にそれは付き物だ。何かを聞いたら、すぐにその正確性を自身で判断し、急いでそれを公開する。私も経験がある。やったことがある」

 今回の出来事を当該記者だけの責任とするわけではなく、あくまで自分もその一人だと自戒。米国の野球記者の活動を振り返り、「私たちは十分な損害を、頭痛を引き起こしてきた。そして、ファンの感情に無責任だった」「自分たちをさらに破壊してしまう前に、深呼吸して見つめ直す時だ」「私自身も含めて、我々は全ての信頼を失う前に立ち止まる時だ」などと呼びかけた。

「もしこのオオタニの狂乱から学ぶことがあったとすれば、我々はこの業界に入った時に学んだジャーナリズムの価値と倫理を思い返さないといけないということ、そしてニュースを届ける時にはより慎重に、より注意深く、より正確にならなければいけないということ」

 前代未聞の去就劇で原点回帰したベテラン記者は「我々の価値を取り戻す時だ」「恥ずべき我々のブラックフライデーが、二度と起こらないように確実にしよう」と未来を見据えた。

(THE ANSWER編集部)