安くて簡単、ネギだれが旨い「焼きレバ」家で作る技
作るのが簡単でおいしい「ネギレバ」のレシピを伝授します
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回はネギだれから自作する「ネギレバ」です。
ネギだれを自分で作ってみる
だしじょうゆ、ポン酢、めんつゆ、焼肉のタレ……冷蔵庫や食品棚に既製品のソースやタレはどれくらい並んでいますか?
味付けの基本は「塩」ですが、それだけでは飽きてしまいます。そこに甘みやうま味、香味野菜などを組み合わせると味わいが複雑になり、料理のバリエーションが広がります。
既製品のソース、タレ類もおいしいのですが、1本当たりの容量が多く、持て余しがち。実は基礎調味料から自分で作るのが合理的なのです。今日は基本の「ネギだれ」の作り方をご紹介し、「ネギレバ」という料理を作ります。
●ネギだれの作りやすい分量
ネギ 1本(100g)
ごま油 大さじ2
はちみつ 小さじ1
酢 小さじ1
塩 小さじ1/2
しょうゆ 小さじ1/4
黒こしょう 適量
塩だけではなく少量のしょうゆが入ることでうま味が足されます
ネギだれは冷奴をはじめ、焼いたりゆでたりした肉や魚などどんな食材とも相性がいいです。普段の料理よりも調味料がたくさん入りますが、酢の酸味やはちみつのコクや甘み、しょうゆの香りとうま味などが混じり合うことで、タレとしての味わいが出ます。
ネギのみじん切りにはいくつか方法がありますが、粗みじん切りの方法をご紹介します。根元の硬い部分を切り落とし、青い部分(緑の部分)の重なっているところには土がついているので水でよく洗いましょう。包丁で斜めに半分ほどの深さに切り込みを入れていきます。
ネギは寒くなるとおいしくなる食材です
裏返して反対側からも同じように切り込みを入れます。これで蛇腹に切り込みが入りました。
下まで切らないように注意
半分に切って並べ、端から切っていきます。粗いみじん切りができました。長ネギのみじん切りはチャーハンや麻婆豆腐などさまざまな料理に使います。
ネギを切るときは包丁をよく動かし、細胞を潰さないように心がけましょう
ボウルに入れて調理料を加え、さっくりと混ぜます。
黒こしょうの代わりに粉唐辛子を加えてもOK
ふたができる容器に入れて、冷蔵庫で保存すれば3〜4日は保存できます。とはいえ、保存はオススメしません。ネギを切ることで硫黄系の香りが生成されますが、時間の経過にともなってそれが失われてしまうからです。
つまり、おいしさを優先するならできたてを食べるのが一番ですし、逆に言えばネギだれの風味は市販品では味わえないということ。ここに自分で作る意味があるのです。
長ネギの青い部分が入ることで色合いもよくなります
さて、いよいよ「ネギレバ」を作っていきましょう。
スーパーで売られている豚レバーは手に取りづらい食材かもしれません。しかし、安価で栄養豊富、食べるとおいしいので、扱い方を覚えておきましょう。まず、レバーは鮮度が命。パックにドリップが出ているものは避けましょう。
100gぐらいで2〜3人前といったところ
スーパーで売られている豚レバーはたいてい下処理がされています。牛レバーと違って豚レバーは薄皮がついても気になりませんが、脂肪の固まりや白い膜があれば切り落とします。
これはすでに下処理がされていました
端からお刺身を切るように薄く切っていきます。切った断面に血の固まりがあれば取り除きます。通常、レバーの下処理には牛乳に浸けたり、冷水で洗ったり、というような臭み消しの工程が入りますが、味も抜けてしまうので焼く場合はそのまま使います。
レバーを切ったまな板と包丁は洗剤でよく洗いましょう
下処理よりも重要なのは下味です。ごま油小さじ2としょうゆ小さじ1を回しかけ、こしょうを振りました。あらかじめしょうゆをまぶしておくと臭みがマスキングされるので食べやすくなります。好みに応じて下味にうま味調味料を少量振ってもいいでしょう。
豚レバーを切ってごま油としょうゆを絡めたら時間を置かずに加熱しましょう
中火に熱したフライパンにサラダ油小さじ1をひき、豚レバーを焼いていきます。肉汁が浮いてきて、周りが白くなったら裏返すサインです。
フッ素樹脂加工のフライパンを使っています
レバーは安全性の問題から十分な加熱が必要な食品ですが、幸いなことに豚レバーはしっかり火を通したほうがおいしいもの。火の通しすぎは気にせず、しっかりと加熱しましょう。
焦げ目の部分がおいしいです
お皿に並べ、ネギだれをかけていきます。
ネギだれはたっぷりと
出来上がり。安価で作れて、ビールによく合うおつまみです。同様に鶏胸肉を薄く切って焼き、ネギだれをかけてもいいですし、豚の薄切り肉をさっと炒め、同様にタレをかける手もあります。ベジタリアン向けにはフライパンで焼いた椎茸や舞茸などに添えるのもオススメです。
冷めるとレバーが硬くなるので早めに食べるのがオススメです
(写真はすべて筆者撮影)
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(樋口 直哉 : 作家・料理家)