小澤雄太×寺坂頼我

劇団EXILEの小澤雄太と寺坂頼我が、7月28日公開の映画『バラシファイト』に出演。小澤は若手舞台監督の主人公・巴川健一、寺坂は巴川と同じ演出部に所属する手賀沼啓之を演じる。本作は、公演後に劇場内を原状復帰する撤収作業「バラシ」にスポットを当てた、撤収作業×アクションの舞台裏バトルエンターテインメント作品。MusicVoiceでは小澤雄太と寺坂頼我の2人にインタビューを実施。撤収作業を主軸とした異色の作品に臨んだ姿勢から、見どころまで話を聞いた。

体が動くのかという不安

――この作品では打ち上げに参加することがストーリーの目的にありますが、本作の打ち上げはどんな感じでした?小澤雄太

撮影時はまだコロナ禍のど真ん中だったので、ちゃんとした打ち上げはできなかったんです。でも、現場の横にコンビニがあったので、そこでお酒を買ってソーシャルディスタンスを保ちながら、乾杯だけしました(笑)。――寺坂さんも参加されました?寺坂頼我

僕は参加はできていなくて、その様子を横目に「お疲れ様でした」と挨拶をして帰りましたが、今度は参加したいです!――どこかのタイミングで、改めてちゃんとした打ち上げができたらいいですね!

さて、本作への作品の出演が決まって、撮影にどんな楽しみがありました?寺坂頼我

僕はオーディションで参加が決まりました。台本を読んだ時から設定が他のアクション作品にはないものを感じて、新鮮さがあり撮影をすごく楽しみにしていました。この作品を通してアクションもどんどん学んでいきたいと思っていました。――いま自分がやりたかったこととマッチして。寺坂頼我

はい。絶対やりたいと思っていた作品だったので、オーディションに受かってすごく嬉しかったです。――小澤さんはいかがですか。小澤雄太

実は本作のプロデューサー浅野(寛介)さんが僕の後輩なんです。約14年前に僕がオーディション受けていた中で、同じように俳優として表舞台に立っていた人で、1つの目標に向かって一緒に切磋琢磨していた仲間が、今は別の道を歩んでいて。その浅野さんが自分の中でやりたいことが決まって、映画を撮りたいと話してくれたのがきっかけです。僕にも気持ちなどを聞いてくれて、「1発目に大きいことをやりたいので、主演でお願いします」と、わざわざ挨拶にきてくれて、二つ返事で引き受けさせていただきました。ただ、僕は年齢的に体が動くのかという不安はありました。どんなことでもやりたいと言っても、できる限界というのがだんだんわかってくる年齢じゃないですか?

体を作り直すのも大変だなと思っていました。今までみたいに「できます。やります」という気持ちだけでできるのか、と考えたのが最初の心境でした。――楽しみの前に考えたことがあったんですね。小澤雄太

映画は短期間で集中して撮影することが多いので、撮影で1日中体を動かし続けて、次の日も同じクオリティのアクションシーンを撮れるかどうか、みたいなところも考えたりするわけです。僕もここで1回身体を作り直して、これが最後だと思うぐらいの気持ちで挑んだ作品になりました。――全然そんなことを感じさせないアクションでした。クランクインする前の準備はどんな感じでした?寺坂頼我

僕は普段、名古屋にいるんですけど、この撮影のために東京でアクション稽古に参加させていただいて、皆さんと同じように入念に準備、練習をして参加しました。そこで痛感したのは僕は経験も少ないし知識も足りないということでした。ですので、アクションも基礎から教えていただきましたし、アクロバットに関してはもともと得意だったので、これをどうにか撮影に生かせないかと考えながら、日々を重ねてました。――小澤さんからアドバイスをもらったりも?寺坂頼我

小澤さんとはスケジュールの関係でなかなかお会いできなくて。――寺坂さん演じる手賀沼啓之の性格の熱さもすごかったです。寺坂頼我

監督からも「愛すべきおバカでいてください」と言われていましたから。――小澤さん演じる巴川健一は過去のこともありつつ、色々な感情の起伏や葛藤がある役ですね。小澤雄太

うなだれているところから始まるお芝居というのはすごく難しいです。僕らは台本を読んで結末がわかっているので、そうじゃないように見せるというのは、お芝居のしどころ、見せどころではあるんですけどね。テンションが上がってきて、バトルに参加してからの表情の変化というのも、楽しんでもらえる点になるのかなと思います。――お2人が思う見どころ、注目ポイントはどこにありますか。寺坂頼我

アクロバットやらせてもらったところ、「うわー!」と叫びながら走るシーンです。全速力で走ってその勢いのまま体をひねるというアクションは、自分の中でもすごく緊張していたので、特に見てほしいシーンです!小澤雄太

見どころはタイトルにも「ファイト」とあるようにアクションなのですが、監督はコメディ部分を推しています。コメディはテンポ感も大事なのですごく難しいです。海外の作品には結構あるのですが、日本のアクション・コメディ作品はあまりないんですよね。――確かにいまパッとは思いつかないです。小澤雄太

アクション・コメディというジャンルは、日本ではそこまで主流ではないと言いますか、得意分野ではないと思います。コメディと言ってもお笑いではなく、物語を通してクスッと笑えたり、その流れの中で笑えるもの、どう笑わせてくれるんだろう、ということがあります。『バラシファイト』は、これはもう根底からおかしいでしょ、みたいなものを僕らが冷静に演じながらも面白さを出せた作品だと思うので、ぜひストーリー部分にも注目して観ていただきたいです。――すごく真剣だけど、セリフは変ですよね(笑)。手賀沼啓之も熱いけれど、よくよくセリフを聞いていると「あれ?」みたいな(笑)。寺坂頼我

オレは打ち上げに行くためにここに入ってきた、という人物なんですよね(笑)。その夢を叶えるために、演出部に来たんだという。小澤雄太

そういうところで言うと、大御所の方々も普段やらないような芝居をされているというのもみどころです。もう、マジメに書いてあるセリフがほとんどないですから。皆さんにはポップコーンとビール片手に観てほしい作品です。

自分の力というのは1割、残りの9割は周りの人たちのおかげ

――バラシという作業は、お2人の活動にも密接に関係してるものでもあるじゃないですか?

普段はこの作業はどう見えているんですか?寺坂頼我

僕は職人の皆さんが、舞台照明を降ろしたりするところを、外側からしか見たことはなくて、あまり踏み込んで見たことはなかったです。たまにライブ会場とかでバラシの作業を見るタイミングがあると、こういう風にステージは作られていたんだとか、技術の結晶をバラシ作業で改めて確認するみたいな感じでした。小澤雄太

劇団EXILEは約15年前からあるのですが、当時から表舞台に出るだけではなくて、しっかり社会を味わえるようにと、僕が若かりし頃はLDHのごはん屋さんでアルバイトをしたこともありました。劇団EXILEの活動の中でも、お芝居のお話が来て自然と脚本ができて、そこに参加するというだけではなくて、自分たちで話し合って一つの作品を作ったりしていました。さらに僕らは仕込みから入ったり、実際バラシ作業もやったこともありました。舞台監督さんは優しいのですが、バラシの時は気性が荒くなってきます。退館時間が迫っているからなのですが、あと2時間で借りた時の状態を戻してトラックを出発させなければいけないので、すごい罵声が飛び交っていて(笑)。――本作でもその一端が垣間見えます。小澤雄太

僕たち役者の仕事は舞台やカメラの前で演じることが基本ですが、舞台設営の皆さんそれぞれに持ち場の仕事があって、千秋楽では舞台袖で音を立てないように片付け始めてますし、舞台が終わって僕らが楽屋を出る頃にはもう大体セットは崩れてますから、本当にすごいなと思います。寺坂頼我

いつも僕らが無事にパフォーマンスできていることに感謝しかないです。――小澤さんはご自身の経験が反映している作品でもあるわけですね。小澤雄太

今回すごく熱が入っているのもその経験があるからで、俳優業をやってこなかったら、裏側も知ることはなかったかもしれない。そういう部分を自分が演じられることは稀有なことだと思います。この作品を通して僕たちのことも知ってもらえるし、映画や舞台ができるまでにどれだけの人が関わって、どれだけの人が役割分担をして仕事をしているのか、ということがよく分かる作品になっています。――この作品を楽しみにしている方に、一言メッセージをお願いします。寺坂頼我

アクションも笑いも劇場の規模感で体感していただくことが、映画にとって一番だと思っています。観ていただいて、自分の仕事もそうですし、「家族を守るために頑張ろう 」という気持ちになっていただければいいなと思っています。ぜひ『バラシファイト』劇場で楽しんでもらえたら嬉しいです。小澤雄太

最高の作品になってますし、 僕ら表舞台の人間が裏側に回ってエンタテインメントするというのは、ある種の真骨頂みたいな部分があると思います。僕の経験を全て詰め込んだ作品でもあるし、皆さんのおかげでできている作品でもあるので、ぜひ観に来ていただけたらと思います。――最後に小澤さんから次世代を担う寺坂さんにエールを送っていただいてもいいですか。小澤雄太

ないです!寺坂頼我

え〜(笑)。小澤雄太

うそうそ(笑)。自分の力というのは1割ぐらいで、残りの9割は周りの人たちのおかげということです。自分の存在があるからみんながいるのではなくて、みんながいるから自分の存在がある、ということを忘れずにやっていけば、もっと大きな力が動くんじゃないかなと思います。それこそ『バラシファイト』はそれを学ばせてくれる最高の作品だと思うので、それを肝に銘じておけば、絶対いい役者になれると思うので頑張ってほしいです。寺坂頼我

ありがとうございます!

成長を感じてもらえるように頑張ります!!(おわり)