町田啓太、30代ありのままの素顔。疲れない体と心を手に入れるトレーニングとは
コンディショニングには、体を鍛えるだけでなく、栄養面や精神面など幅広い観点からのアプローチが重要となります。プロのアスリートはもちろんですが、誰にとってもコンディショニングがもたらしてくれる効果は大きく、多種多様です。そこで今回は、体と心のコンディショニングについて、町田啓太さんと日本医師会認定産業医である宮脇大先生に対談していただきます。
インタビュー:
町田 啓太(俳優)
劇団EXILEのメンバー。2010年「第3回劇団EXILEオーディション」に合格したことをきっかけに俳優デビュー。主な出演作は、連蔵テレビ小説「花子とアン」、大河ドラマ「西郷どん」、「青天を衝け」、ドラマ「テッパチ!」(フジテレビ系)、「unknown」(テレビ朝日系)など。趣味はスポーツ全般。
監修医師:
宮脇 大(日本スポーツ協会公認ドクター / 日本医師会認定産業医)
2011年大阪大学医学部医学科卒業。大阪大学医学部附属病院の循環器内科医として研鑽を積み、2021年にDoctor’s Fitness診療所を開業。「治療だけではなく、未病のための取り組みを広げたい」という想いのもと、直営するジムではフィットネスコーチや管理栄養士を含めた専門家が連携をとり、運動・食事・睡眠を総合的にサポートしている。
町田さん
体のコンディショニングにおいて、重要なことは何ですか?
宮脇先生
できるだけ疲れない体を目指すために、体を鍛える「トレーニング」と、体を休める「リカバリー」が重要です。
町田さん
疲れない体を目指す方法は気になりますね。
宮脇先生
忙しいとは思うのですが、休む時間は確保できていますか?
町田さん
30歳の手前から体のケアについて考えるようになり、睡眠時間は確保するようにしています。
宮脇先生
休む時間が不足すると怪我にも繋がるので、長い間活躍するための体づくりが大切ですね。トレーニングをする時間はありますか?
町田さん
週に1回トレーニングをするようにしています。最近は仕事の合間をみて、体のメンテナンスにも行くようになりましたね。「トレーニング」や「リカバリー」のほかに、何かおすすめの方法はありますか?
宮脇先生
朝食や就寝前にストレッチをするなど、セルフケアを習慣化することがおすすめです。追加で整体などに通うのも、ひとつの方法ですね。
町田さん
日々のケアやメンテナンスを習慣化すると、体のパフォーマンスにも影響するのでしょうか?
宮脇先生
影響しますね。メンテナンスの習慣化は、怪我や疲れを予防し、パフォーマンスの向上に繋がると思います。
町田さん
日々のケアを習慣化することが大事ですね。アクションシーンの撮影では、急に動かなければならない場面もあり、身体が痛むこともあるのですが、それも日々のケアで解消できますか?
宮脇先生
日々のケアや有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチに加えて「バランス運動」をすることが大切だと思います。
町田さん
バランス運動が大切なのですね。
宮脇先生
はい。なぜなら、日頃からバランス運動をトレーニングに取り入れておくと、急に体を動かした時でもバランスが取れるようになるからです。体も少し楽になると思います。
町田さん
年齢によって、コンディショニングの方法を変えていく必要はあるのでしょうか?
宮脇先生
トレーニング内容を大きく変える必要はないと思います。ただし、年齢を重ねるとともにリカバリーが特に重要となるので、休息や睡眠時間を意識して確保することが大切ですね。町田さんは、睡眠時間の確保はできていますか?
町田さん
しっかり眠るようにしています。ただ、仕事によって目が冴えてしまい、夜中まで眠れないこともありますね。
宮脇先生
そういう時は、就寝の90~120分前にお風呂へ入るようにしてください。
町田さん
それ、聞いたことあります。
宮脇先生
入浴で上昇した体温が、下がっていく時に眠気が引き起こされると考えられているので、しっかりと体温を上げるためにも湯船に浸かることが大切です。
町田さん
忙しいとシャワーだけ浴びることが多いのですが、短い時間でも湯船に浸かった方がいいですね。
宮脇先生
そうですね。町田さんは、毎日起きる時間は一緒ですか?
町田さん
起きる時間は不規則ですね。夜通し撮影をすることもあるので、同じ時間に起きるのはなかなかできません。まれに夜通しの撮影が続くこともあるので、時差ボケのような感じになることもあります。
宮脇先生
その時差ボケが疲れの原因になるので、可能な範囲で同じ時間に起きることを意識してみてください。
町田さん
意識してみます。食事についても教えていただけますか?
宮脇先生
食事も非常に重要ですね。町田さんが食生活で工夫していることは、何かありますか?
町田さん
脂質・糖質・タンパク質のバランスは大事にしていますね。ロケ弁などで調整が難しい場合は、サプリメントで代用しています。
宮脇先生
とてもいいと思います。食べる量は腹八分目にして、朝食をしっかり食べるといった日々の積み重ねが、コンディショニングには大切ですね。役柄によって体型管理が必要になる場合もあると思うのですが、どうですか?
町田さん
去年の夏に役作りで増量が必要だった時は、筋肉だけで10kgほど増やしました。体質的に減量するのは得意なのですが、増量は苦手なので、その時は大変でしたね。
宮脇先生
トレーニングと食事以外に手段はないですからね。
町田さん
そうですね。食べるのも大変だったし、すごく眠くなりましたね。
宮脇先生
トレーニングするだけでも疲れますよね。そういった時にも、食事や休息のバランスをとることが大切だと思います。
町田さん
体のコンディショニングには、運動と睡眠、食事のバランスを考えることが重要ですね。
町田さん
心と体のバランスは繋がっていると思うのですが、いかがですか?
宮脇先生
その通りですね。心と体は密接に繋がっています。
町田さん
心のコンディショニングのために、何か良い方法はありますか?
宮脇先生
疲れを溜めないことですね。
町田さん
そこに繋がっているのですね。
宮脇先生
はい。町田さんは、疲れている時や睡眠不足の時に、人に優しくすることはできますか?
町田さん
自分のことで精一杯になるので、難しいこともありますね。頭も回らないので、良い演技もできないと思います。
宮脇先生
そうですよね。そのため、疲れない体を作ることは、心のコンディショニングにも直接結びつくと考えられています。
町田さん
なるほど。
宮脇先生
町田さんは、本番には強いですか?
町田さん
本番に強いかどうかは、自分ではよく分からないです。
宮脇先生
緊張はしますか?
町田さん
本番に向かうための準備が大切だと思っているので、例え緊張したとしても、準備ができていれば良い緊張だと思うようにしています。
宮脇先生
良い考え方ですね。本番に向けてセリフを覚える準備だけでなく、体や心のコンディションを整えておくといった準備も重要だと思います。
町田さん
準備は大切ですね。その反面、バラエティー番組のように決まったセリフや役柄のない仕事は、準備ができないので緊張しますね。準備をすること以外に、メンタルを鍛える方法は何かあるのでしょうか?
宮脇先生
自分の感情を受け入れることで、メンタルを鍛えることはできると思います。町田さんは、心の状態を保つために意識していることはありますか?
町田さん
眠ることで気持ちをリセットできることが多いので、休息は大事にしています。あとは、感情をコントロールできるよう心がけていますね。
宮脇先生
感情のコントロールも重要ですね。嫌なことやストレスを感じてネガティブな気持ちになった時は、受け入れる姿勢が重要だと思います。
町田さん
ネガティブな気持ちを受け入れるということですか?
宮脇先生
感情を受け入れた上で自分を俯瞰的な目で見ることが、心のゆとりに繋がると思います。
町田さん
心のゆとりは大切ですね。
宮脇先生
町田さんが俳優として仕事をする中で、心理的にきつくなることはありますか?
町田さん
きついことが多いですね。
宮脇先生
どういった時に感じますか?
町田さん
もっと良い演技をしたいという気持ちが常にあるので、やったらやった分だけ正解も無限に広がっていくことを感じて、きつくなることがあります。
宮脇先生
町田さんに求められるレベルも高くなって、それに応えなければいけないという気持ちが強いのですね。
町田さん
最近はそのストレスも、内心では楽しめるようになってきました。
宮脇先生
町田さんにとって、良いストレスになっているということですね。同世代の俳優に、ライバル心を抱くことはありますか?
町田さん
ないです。もともと同世代の人たちがレベルの高いステージやパフォーマンスをしていた時に、僕が任されていた役が「苗字だけの役」や「幽霊」「不良B」だったことが多いので、ライバル視よりも「すごいな」と思う気持ちのほうが強かったですね。
宮脇先生
そういう時代もあったのですね。今では想像もつかないです。
町田さん
作品は、それぞれの個性や感性を集めて作っているし、その人にしかできない表現があるからこそ面白いと思うので、僕は僕なりに、僕が出せるものを出せるようになりたいといった気持ちが強かったですね。
宮脇先生
本当に素晴らしい考え方だと思います。人によっては、人と比べること自体がプラスに働くこともありますが、基本的には、メンタル面にはマイナスに働くことが多いのです。人と比べるのではなく、「自分自身がどうありたいか」といった気持ちが大切だと思いますね。
町田さん
本当にその通りですよね。
宮脇先生
演技を始めた頃と今を比べて、町田さんの心構えやメンタルに変化はあると思いますか?
町田さん
変わったと思います。自分が今どういう状況で、何を考えていて、何を感じ取っているかを整理して言語化できるようになったことですかね。
宮脇先生
とてもいいことですね。メンタルトレーニングには、「守りのメンタルケア」と、「攻めのメンタルケア」が重要だと言われています。感情を言語化することは、「攻めのメンタルケア」に繋がると思いますね。
町田さん
「守りのメンタルケア」とは、どういったケアですか?
宮脇先生
疲れを溜めないように、自分の心を休ませるといったケアですね。
町田さん
「攻めのメンタルケア」について、もう少し詳しく教えてください。
宮脇先生
「今日はこういう一日だったな」とか、「今日はこんなことがあって、自分はこう感じたな」とか、寝る前に一日を振り返って言語化する方法ですね。
町田さん
一日を振り返ることって、大事ですよね。
宮脇先生
その日起こったことや、その日感じたことを振り返ることの積み重ねが、心のトレーニングに繋がると考えられています。
町田さん
なるほど。体と心はバランスだけでなく、考え方も大事だということを改めて感じました。発想を変えるトレーニングや習慣づけができていると、普段から視野が広がって明るい気持ちにもなれそうですよね。今日はありがとうございました。
編集部より
長時間労働や人間関係の問題など原因は様々ですが、日本はストレス大国と言われており、世界の中でも特に「疲労人口」が増えているようです。そのような背景がある中で、今回の対談では、健康で活動的な生活を維持するためのコンディショニングについて、町田さんの心構えも踏まえて、興味深いお話が聞けました。コンディショニングの基本は、運動・食事・睡眠ですが、それ以上に自分自身の体と心の繋がりについて理解しておくことが大切です。この記事が、体と心のコンディショニングについて知り、自身の生活や体と心を見つめ直すきっかけとなることを願います。