ゼンショーに買収されることで話題の「ロッテリア」。モーニングは個性を感じさせるメニューでした(写真:筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第13回となる今回、訪れたのは「ロッテリア」です。

飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル「モーニング」。午前中の集客が弱い時間帯の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く現れ、どれも魅力にあふれています。

特に力を入れているのがハンバーガー業界。業界第1位のマクドナルド「朝マック」が1985年にはじまったのを筆頭に、「モスバーガー」「フレッシュネスバーガー」など、多くの店舗で朝限定メニューを販売しています。

今回ご紹介するのは「ロッテリア」のモーニング。「ロッテリアホールディングス」が親会社の中価格帯のハンバーガーチェーンで、日本人の味覚や食生活を積極的に取り入れた、独自路線のメニュー展開が特徴です。朝限定のメニューも、個性豊かで「ロッテリア」らしさを感じさせるものでした。

朝限定メニュー「ロッテリア モーニング」

「ロッテリア」の朝限定メニュー「ロッテリア モーニング」の提供時間は開店から朝10時30分まで。公式サイトによると「店頭価格は店舗によって異なる場合がございます」とのことで、店頭価格は店舗によって違うこともあるようです。ということで、今回は筆者が訪れた店舗の価格でお送りします。


TKG風ごはんバーガー、トマトチーズリゾット、ホットサンド、ハッシュポテトは朝限定メニュー。そのほかは10:30以降も販売しています(写真:筆者撮影)

取り扱い商品は以下の10種類。

・パンケーキ 税込290円
・TKG風ごはんバーガー 税込390円
・彩り野菜のトマトチーズリゾット 税込320円
・チキンチーズバーガー 税込290円
・ホットサンド(チーズ&ベーコン) 税込310円
・ハッシュポテト 税込190円
・コーンサラダ 税込190円
・絶品チーズバーガー 税込460円
・エビバーガー 税込390円
・トマトと彩り野菜チキンバーガー 税込440円


ドリンクはロッテリアで取り扱う全ての商品から選択可能で、価格の幅が140円から350円と広く、シェーキが販売開始する朝10時からはシェーキをセットすることもできます(写真:筆者撮影)

上記メニューにドリンクと「ハッシュポテト」もしくは「コーンサラダ」をつけた「セット」はプラス税込250円、ドリンクをつけた「コンビ」はプラス税込220円でオーダーできます。

ロッテリア モーニング「ホットサンド(チーズ&ベーコン)セット」560円


ロッテリア モーニングのホットサンド(チーズ&ベーコン)セット税込560円(写真:筆者撮影)

310円の「ホットサンド(チーズ&ベーコン)」に、250円で「ハッシュポテト」と「宇治抹茶ラテ」をセットして、560円。単品で購入した場合は850円なので290円安くなります。実に34%オフという値引き率です。


ホットサンド(チーズ&ベーコン)をご開帳。ベーコンに玉ねぎを乗せて、スライスチーズとトマトソースでサンド(写真:筆者撮影)

「ホットサンド(チーズ&ベーコン)」は、量もたっぷり味もこってりで、ボリューム満点。ソフトフランスパンにベーコンをはさみ、上にスライスチーズ、下にトマトソース。

ソフトフランスパンはロッテリアオリジナル。全粒粉入りで香ばしく、適度な噛みごたえもありつつ、中はもちもちふんわりな食感です。ベーコンがまるまる1枚、折りたたんで収めてあるのも、ケチってなくて高ポイントです。


ベーコンの下にはたっぷりトマトソース。具だくさんで濃厚な味わい(写真:筆者撮影)

具だくさんで濃厚な味わいのトマトソース

チーズとベーコンの間には、スライスしたしっとり玉ねぎ。トマトソースは、ただのケチャップ的なものかと思っていたら嬉しい大誤算。濃厚な味付けで、玉ねぎやズッキーニ、ピーマンなど具だくさんの深い味わいでした。例えるなら、ミネストローネをじっくり煮込んですっぱさを飛ばし、とろりとさせたという感じです。


ホットサンド(チーズ&ベーコン)断面図。ソフトフランスは歯ごたえもありつつ、もっちりしています(写真:筆者撮影)

ソフトフランスパンと、チーズ、ベーコン、トマトソースの相性も良く、大きめサイズなので食べ応え抜群でお得感がありました。


マクドナルドのハッシュポテトより少し幅広で四角い形をしています(写真:筆者撮影)

ハンバーガーチェーンでは、朝のサイドメニューの定番となっている「ハッシュポテト」。手を汚さずに片手で食べられるので、朝の慌ただしい時間帯にぴったりです。サクッとした軽い口当たりで、スナック感覚で手軽に食べられます。


ロッテリアの宇治抹茶ラテ。店内飲食の飲み物はマグカップやガラスコップで提供される(写真:筆者撮影)

イートインだと、紙コップではなく陶器製のマグカップでホットドリンクを出してくれるのも嬉しい。ロッテリアのロゴマークがあしらわれた、シンプルなマグカップに入っています。

ロッテリア モーニング「TKG風ごはんバーガーセット」640円


ロッテリアモーニングのTKG風ごはんバーガーセット税込640円(写真:筆者撮影)

390円の「TKG風ごはんバーガー」に、250円で「ハッシュポテト」と「LOホットカフェラテ」をセットして、税込640円。単品で購入した場合は930円なので、31%オフの290円値引きです。


TKG風ごはんバーガーを分解。パティはありませんが、目玉焼きの半熟具合は絶妙です(写真:筆者撮影)

ほんのり味がついたライスバンズに目玉焼きをはさんだ、たまごかけごはんをイメージしたライスバーガーです。バーガーはなにかしらの肉が入っているものという先入観があったのですが、パティはなしで目玉焼きのみという潔さ。

表面にはほんのり焼き色がついていて、焼きおにぎりのような香ばしさがあります。お米は国産こしひかりを100%使用しているそう。上にはマヨネーズ、下には照り焼きソースがサンドされ、甘辛いしょうゆ味を、マヨネーズがまろやかにしてくれます。


TKG風ごはんバーガー断面図。黄身がとろけてライスバンズとからみ合います(写真:筆者撮影)

目玉焼きは、とろりとした絶妙な半熟加減で、口の中に入れるとバンズとソースとミックスされて、まさしくTKGな味わい。ライスバンズはしっとりした焼きのりではさみ、磯の香りもアクセントに。


シンプルイズベストなロッテリアのコーンサラダ(写真:筆者撮影)

サイドメニューは、「コーンサラダ」をセレクト。コーンのみが入ったシンプルな商品で、スイートコーンのほんのりとした甘みと、プチプチとした歯ごたえが楽しめます。

ロッテリア モーニング「彩り野菜のトマトチーズリゾットコンビ」540円


ロッテリア モーニングの彩り野菜のトマトチーズリゾットコンビ540円(写真:筆者撮影)

320円の「彩り野菜のトマトチーズリゾット」に、220円で「LOアイスカフェラテ」をセットして、540円。単品で購入した場合は670円なので、19%オフの130円値引きです。

ごはんの上にトマトソースをたっぷりかけてチーズを乗せた、朝食にぴったりなリゾット風メニューです。真っ赤なトマトソースに黄色いチーズのコントラストが食欲をそそります。


トマトソースは具だくさんかつ濃厚で、食べ応えがありました(写真:筆者撮影)

トマトソースが濃厚かつ具だくさんなので、見た目以上にボリュームがあり、腹持ちもよかったです。とろけたチーズをからめて食べると、リゾットの旨みがアップします。

「ロッテリア」という店名は、「ロッテ」と「カフェテリア(軽食堂)」を組み合わせた造語です。その名のごとくホットサンドにライスバーガー、リゾットと、個性的でハンバーガーチェーンの枠にとらわれない、朝メニューを展開していました。

居心地の良さも魅力

私が訪れた「ロッテリア」は、山手線のとある駅から徒歩5分の路面店です。カウンタースタッフの接客も感じが良く、店内にはカウンター席だけでなく、テーブル席もあり、そこには1人掛けのソファも用意されていました。居心地の良さを大切にしているのが伝わってきます。


(写真:筆者撮影)

利用時間は土曜の朝9時頃でしたが、近隣にはオフィス街も住宅街も大学もあるため、店の外ではさまざまな人たちが行き交っていました。しかし私が滞在した30分間に来店したのは、コーヒーを注文しカウンター席に座った青年と、テイクアウトをオーダーした中年女性のみでした。

魅力があるのに、それがうまく伝わっていない、集客につながっていないのではないかと、歯痒さを覚えました。

「ロッテリア」は今年4月に、「すき家」「はま寿司」「ココス」などを運営する飲食業界の最大手「ゼンショーホールディングス」が買収することが決まっています。実は「ゼンショーホールディングス」は、2002年にハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」をダイエーから買収したものの、2009年に撤退という苦い経験をしています。

過去から学び、「ロッテリア」の持つ魅力を活かしつつ、いかに売上を伸ばしていくのか。そして「ロッテリア モーニング」のさらなるブラッシュアップはあるのか、今後の展開が楽しみでなりません。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改訂されている可能性がありますので、最新情報は企業の公式サイトをご覧ください。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー)