投手との向き合い方、野球の楽しみ方…SB甲斐捕手が谷繁に抱えた悩みを告白
球界のレジェンドにして2つのギネス世界記録を持つ谷繁元信氏のYoutube「谷繁ベースボールチャンネル」に福岡ソフトバンクホークス・甲斐拓也捕手を迎え、現役捕手の悩みを谷繁氏が過去の経験を踏まえアドバイスをしていく。
この記事はYouTube配信「【現役対談】奥が深い捕手というポジション。甲斐拓也が打ち明ける悩みとは?」から、ライブドア社の自動書き起こしツールによって生成されています。
谷繁: それがピッチャーを成長させることになるし、自分も成長できると思うと僕は思うんですよね。
谷繁: あのね…
現役捕手が語る、投手との向き合い方
甲斐: 自分がもう30歳になって、どちらかというとピッチャーが年下になってきたじゃないですか、そこの難しさがすごく感じたりするんですよね。
僕は自分が引っ張って、やはりもっと引き出していかないといけなくなるところにはなっているんですけど、今まではピッチャーの先輩たちが助けてくれていた部分が凄くあったので、そこがこうコロっと変わったときに難しさを凄く感じてます。
谷繁: ピッチャーが下であろうと上であろうと、そのピッチャーを全て把握するっていうことですね、まず。それがピッチャーを成長させることになるし、自分も成長できるところだと僕は思うんですよ。それはなぜかというと、ピッチャーをそこまで知るということは、常にそのピッチャーを観察しないといけないわけでしょ?
その「ゲームの中でどういう風なのか」とか、極端に言えば私生活であったり練習の態度であったり、どういう練習をしているかとか、そういうものをすべて観察しないとアドバイスできないわけじゃないですか? そうやってアドバイスができるように常に準備をしておくっていう。これが僕は一番必要だと思うしね。
甲斐: 結構、プライベートでもピッチャーと出てました?
谷繁: 出てないです、ほとんど僕は出てないです。僕は練習とか練習の時に発するその人たちのコミュニケーション「どういう会話をしているのか」とか。あとは、練習の態度だったり、ブルペンでの投げ方、ゲームで受けた時の投げ方であったり、ボールであったり。そういうところで俺は判断していたかな。
甲斐: あまり食事に行ったりとかっていうのは?
谷繁: 俺はなかったね、あんまり。ほぼなかった。もう俺結構、歳いってたからその頃って、ある程度。
そういう風に考えを持って出来るようになっていったのは、いい歳いってたから食事に行ったら行ったで年下の選手と行くと、どうしても気使うじゃん?みんなが。
甲斐: あぁ、そうですね。
谷繁: だから、本音が出てこないの。本音が出る部分って、ちょっと俺らから離れたところで本音って出てくるのね。そういう姿を見てた方が分かりやすい。どうしても、近づくと向こうも身構えて良いことしか言わないのよ。でも、いざ会話してみると結局違うところが結構あって。
だから、俺はなるべくちょっと距離を置いたところから彼たちを見て自分で診断すると言うかね。それはそれで面白いんですよ。その合ってた時と「あっ、またちょっと違うな」って感じる時って。それによって、例えばゲーム中のコミュニケーションの取り方とか、例えばマウンドに行った時のコミュニケーションの取り方とか、やっぱり人によって違うわけじゃないですか?
みんな同じように接せられるわけじゃないんで、やっぱり「この選手にはこういう接し方、この選手にはこういう接し方」の方が、やっぱり相手もそこはやっぱり感じるわけだから、そうなると「あっ、この人見ていてくれてんじゃん」みたいな。そういうところからやっぱり信頼関係って多少「あっ。ここまで考えてくれてるんだったら、この人の言う通りに投げておけば大丈夫」みたいなね。そういう風に思わせたらこっちの勝ちだよ。
甲斐: そうっすよね。
谷繁: もう、いい歳になったし。今年31歳になったし、その辺はどんどん面白くなっていって欲しいよね。
選手が野球を楽しめるようになってきた時期
甲斐: どこから楽しくなりました? 楽しくなる瞬間ってありました?
谷繁: 経験上で言うと、よく「キャッチャーは経験がものを言う」とかってよく聞くでしょ?
甲斐: はい、はい。
谷繁: 分かんないでしょ?今、正直。だって、日本一4回してリーグ優勝2回しても、まだシーズン中に迷うことがいっぱいあるわけでしょ?
甲斐: はい、そうです。
谷繁: ということは「経験がいつ物を言うんだ」って思わない?(笑)
甲斐: それは思います、分かります。
谷繁: 俺もあったのよ(笑)。俺も横浜で優勝して日本一にもなって。その後、ドラゴンズで2004年・2006年と優勝して、2006年の日本シリーズで負けて。その時が2006年で35歳を超えたぐらいかな?
2007年ぐらいから、なんか「あっ、今日のゲームこうなるな」っていうのが物凄い分かり始めた時があったの。それまでは、1年間の中で時期ない?「あっ、これめっちゃ冴えてるな」みたいな。
甲斐: あっ、あります。
谷繁: あるでしょ? これ自分が「こうやって、こうやって、こうやって進めていくと、こうやって抑えれるな」とか。「あっ、ピッチャー。今日この調子か、よしよし…」物凄い周りが見える時ってあるでしょ?
甲斐: たまーに、たまーにというか…
谷繁: あるでしょう? 俺もたまにあったんだよ。それが物凄い長くなってきたの、ちょっとずつ。1年ごとにその時期が長く。で、1年間ある程度で80%ぐらいそういうのが、ここも考えられるようになって面白くなったの。だから、自分が冴えてる時って面白いでしょ? 面白いように事が進むでしょ?
甲斐: 楽しいですし、そこまでこう良い疲れじゃないですけど、はい。
谷繁: でしょ? だから、負けても「あっ、こうだからこういう風になって負けたんだ」みたいなね。物凄いスッキリしてるのよ、負けるにしても勝つにしても。あるでしょ?
甲斐: はい。
谷繁: それが続くの。っていう時期が来たの俺は。
甲斐: それが36〜7歳?
谷繁: そうだね、35歳超えてぐらいからかな。そこから面白くなったっていうかね。キャッチャーが面白くなった。
甲斐: それまでは、どちらかと言うと「ここ、どうしようかな…」みたいな思いがずっと続いてたんですか?
谷繁: そう。「俺、いつ経験が物を言うんだ」と思いながら、ゲーム中に自分で思ってたことあるもん。
甲斐: あるんすね…。
谷繁: あるある。それはやっぱりゲームに長く出たり、続けてないと、なかなかそういうところには、そういう壁に当たらないと思うんだよね。たまにしか出てない人は、そんなこと思わないから多分。だから、これはみんな通る道だと思うよ。
意識していれば、絶対(境地に)近づく
甲斐: あっ、ギネス…あれ(世界記録)ですよね?
谷繁: すいません、ありがとうございます。
甲斐: そこまで出たらですね、逆に。
谷繁: ははは!(笑)
甲斐: それはそうなりますよね、冷静に考えたら(笑)。そこまで試合に出たら…それは。僕、とてもじゃないですけど、そんな何百試合とかって到底分からないでしょうね、僕には。
谷繁: いやいや。でも、そういうのは意識していれば絶対近づくって。だから、俺は多分遅かったんだと思うんだよね。自分が思うのはそういう境地に行くのは「何か遅かったんじゃないかな」っていう思いはする。
だから、みんなにはそういうところに早く何か突入して欲しいなって思うので、俺はウエルカムなんだけども、みんな聞きに来ないんだよね。
甲斐: めっちゃ聞きたいことだらけですけどね。
谷繁: 毎日連絡されると俺もちょっと拒否するかもしれないけど(笑)。
甲斐: ははは(笑)。
谷繁: それはたまに言うんだったらさ、もう全然いつでも俺はウエルカムなんで。僕が経験していることでアドバイスできることであれば。経験してないことはやっぱり下手なこと言えないし。経験している中で、何か必要なことはあれば、気付いたことがあれば、それはもう全然。
甲斐: そうですね。
甲斐: 長くやれた要因ってなんだと思います?
谷繁: 野球をやっぱり好きだったんだよね。勝つって言うのも好きだったし。そのユニフォームを現役で脱いだ時、「当分、野球はいいな」みたいな。
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