11月5日、6日の2日間、コナミクリエイティブセンター銀座にて「eBASEBALLプロスピAリーグ」2022シーズンが開幕しました。今年の開幕戦は久々の有観客試合でもあり、かなりの盛り上がりをみせています。2節目からのeペナントレースは、オフラインながら無観客試合での開催となるので、今回の開幕戦は貴重な機会となりました。

「eBASEBALLプロスピAリーグ」は、プロ野球12球団対抗のeスポーツリーグ。プロ野球球団がそれぞれ3名のチームを構成し、プロ野球OBや球団関係者が務める「スピリーグ監督」とともに、eペナントレースを戦い、eクライマックスシリーズ、e日本シリーズに勝利しeBASEBALLプロスピAリーグの日本一を目指します。

球団の代表選手は、8月5日から10月2日の間に行われた、オンライン予選、オンライン面接、本戦を経て、選出。前年度から引き続き選ばれたプレイヤーもいれば、今年初めて球団代表選手になったプレイヤーもいます。

5日にはセ・リーグが、6日にはパ・リーグの開幕戦を開催。12月4日までに5節、同リーグのチームとひとまわり対戦するリーグ戦をシングルロビン方式で行います。各節では、1選手1試合ずつ、つまり各チーム1日3試合ずつ実施。同一チームとは1回しか対戦機会がないので、巻き返しがしにくい一発勝負の大会と言えます。

開幕戦の中日ドラゴンズ対阪神タイガース。この組み合わせは1回のみ

試合は3イニング制で行われ、裏の攻撃が終わった時点で5点差が付くとコールドゲーム。裏表関係なく8点差が付くと強制リタイアとなり、試合が終了します。同点の場合、延長戦に入りますが、制限時間20分を越えて延長戦には入りません。延長戦はタイブレーク方式でランナー1・3塁の状態で開始。延長戦でも決着が付かなかった場合は、『プロ野球スピリッツA』のゲーム内スコアにより勝敗が決まります。

東京ヤクルトスワローズ対読売ジャイアンツの一戦では、タイブレークの延長戦が発生。そこで一挙にジャイアンツの平岡選手が8点を取り、強制終了になりました

5日に行われたセ・リーグ開幕戦は、中日ドラゴンズ対阪神タイガース、広島東洋カープ対横浜DeNAベイスターズ、東京ヤクルトスワローズ対読売ジャイアンツの組み合わせでした。

注目すべきは、広島東洋カープ対横浜DeNAベイスターズ。1戦目は昨年MVPを獲得した渡邊太智選手が登場します。昨年はeペナントレース、eクライマックスシリーズ、e日本シリーズとすべての試合で勝利を収め、優勝に貢献した実力の持ち主です。

対戦相手の岡田和畝選手も、昨年のeペナントレースを渡邊選手と同様に無敗で駆け抜けた選手。昨年は直接対決がなかったため、2年越しの対戦です。結果は、3-2と僅差ながら渡邊選手が勝利。今シーズンも無敗記録を継続することとなりました。

セ・リーグの開幕戦結果は以下の通りです。

中日ドラゴンズ 2−1 阪神タイガース

広島東洋カープ 2−1 横浜DeNAベイスターズ

東京ヤクルトスワローズ 2−1 読売ジャイアンツ

今大会屈指の好カードと言える対戦。どちらも昨年のeペナントレースでは無敗でシーズンを終えています

6日に行われたパ・リーグの開幕戦は、西武ライオンズ対福岡ソフトバンクホークス、オリックス・バファローズ対東北楽天ゴールデンイーグルス、千葉ロッテマリーンズ対北海道日本ハムファイターズの3カード。セ・リーグとうってかわって3タテを喰らったチームがあり、第1節から大きな差が生じました。西武ライオンズと千葉ロッテマリーンズが3連敗し、福岡ソフトバンクホークスと北海道日本ハムファイターズが3連勝を決めたのです。

パ・リーグの開幕戦結果は以下の通りです。

西武ライオンズ 0-3 福岡ソフトバンクホークス

オリックス・バファローズ 1−2 東北楽天ゴールデンイーグルス

千葉ロッテマリーンズ 0−3 北海道日本ハムファイターズ

残念ながら西武ライオンズと千葉ロッテマリーンズは3連敗と、スタートダッシュを決めることはできませんでした

開幕スタートダッシュを決められたチーム、いきなり躓いてしまったチームなどさまざまですが、まだ開幕したばかりなので、少ない試合数とはいえ、まだ巻き返しは十分にはかれる状態です。今後の立て直しに期待しましょう。

なお、今大会ではスペシャルサポーターとして、乃木坂46から野球好きでお馴染みのメンバー3人、黒見明香さん、向井葉月さん、柴田柚菜さんが参加しています。黒見明香さんは、プロ野球ファンなだけではなく中学生のころから『プロ野球スピリッツA』をプレイしており、実況、解説陣が息をまくほどの知識と愛情を持っていました。もはや解説枠でも十分に力を発揮できるのではないかと思う程です。

向井葉月さんは、西武ライオンズ一筋ながら野球愛も強さが魅力。柴田柚菜さんは、千葉ロッテマリーンズファンで、小学生のときにチアガールを、高校生のときに売り子のアルバイトをしており、球場に足繁く通っているガチファンです。彼女らの存在は、実況解説と共に試合を大いに盛り上げてくれました。

セ・リーグの試合は、実況に清水久嗣アナウンサー(写真左)、解説に=V.I.P=氏(写真中央左)、CLAY氏(写真中央右)、特別ゲストに黒見明香さんが登壇しました

また、今回はホーム側のチームのボイスチャットが配信されたのも印象的でした。試合中に選手や監督がどんなことを会話しているのか、アドバイスしているのかがわかって観戦のおもしろさも増したことでしょう。

とはいえ、特別ゲストにしても、ボイスチャットにしても、試合を盛り上げるためにいい試みだと思うのですが、いかんせん配信に入る声が多すぎて、どの声も聞きづらくなってしまったのがちょっと残念でした。

YouTubeでは音声の切り替えや副音声の機能がないので、1つのチャンネルで配信するとなると、現状の形となってしまうので、乃木坂46の応援配信、選手のボイチャが中心の配信といくつかの配信を用意し、ウォッチパーティ的に配信すればよかったかもしれません。

今後は、土日にeペナントレースを第5節まで行う予定です。第5節が終了した翌週には、eクライマックスシリーズを行い、その翌週である12月17日には、e日本シリーズが開催されます。

球団ファン応援感謝企画として、各リーグ優勝チームに200万円、e日本シリーズ優勝チームにはさらに300万円の運営費が提供されます。『プロ野球スピリッツA』をプレイしたことがない人、eスポーツに興味がない人も、ひいきのプロ野球団のファン感謝企画の予算が手に入る機会なので、ぜひ、配信を視聴して応援してみてはいかがでしょうか。

著者 : 岡安学 おかやすまなぶ eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas この著者の記事一覧はこちら