世界最大の半導体ファウンドリであり、Appleともパートナーシップを結んでいるTSMCが、2022年のTSMCテクノロジーシンポジウムで2nmプロセス(N2ノード)の製造技術を正式に発表しました。まったく新しい技術を用いて製造されたN2ノード半導体は、2025年後半に大量生産が開始され、2025年後半〜2026年に市場へ投入されると予想されています。

TSMC Reveals 2nm Node: 30% More Performance by 2025 | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/tsmc-reveals-2nm-fabrication-process

TSMC Readies Five 3nm Process Technologies, Adds FinFlex For Design Flexibility

https://www.anandtech.com/show/17452/tsmc-readies-five-3nm-process-technologies-with-finflex

TSMCは2022年のテクノロジーシンポジウムで、2022年からの3年間で製造を開始する5つのノードについて明らかにしました。以下の画像が、TSMCがシンポジウムで発表した最先端テクノロジーポートフォリオです。3nmプロセスで製造される半導体は「N3」とそれから派生した「N3E」「N3P」「N3S」「N3X」という合計5つのノードとなっており、2025年からは2nmプロセスによる「N2」ノードも製造を開始する予定です。



by TSMC

製造プロセスの複雑化によって研究開発にかかる時間が長くなったため、もはや半導体ファウンドリが2年ごとに完全に新しいノードを発表することは難しくなりました。しかしTSMCは、毎年のように消費電力あたりのパフォーマンスやトランジスタ密度の向上を求める顧客のニーズに、N3ノードの拡張バージョンを提供することで対応するとのこと。

また、N2ノードの製造はナノシートを使用した「ゲートオールアラウンド電界効果トランジスタ(GAA FET)」という新しいテクノロジーに依存しているため、製造コストの上昇や設計方法の変更などが予想されます。最先端チップを求める開発者以外の多くの顧客はN2の登場後も数年以上N3を採用し続けるため、これらの需要を見越してTSMCはN3のノードを複数用意していると、テクノロジー系メディアのAnandTechは述べています。

3nmプロセスで製造されるN3ノードは、N5ノードと比較して消費電力が25〜30%減少し、同じ電力でのパフォーマンスが10〜15%上昇しているとのこと。N3ノードはすでに量産体制に入ったと報じられており、2023年初頭に顧客への納入が始まるとみられています。

TSMCが3nmプロセスによる量産体制に入ったという報道、2nmプロセスは2025年頃に展開か - GIGAZINE



また、N3ノードの拡張バージョンであるN3EノードとN2ノードの性能について、縦軸が総消費電力(Total Power)、横軸がSpeed(計算速度)のグラフで比較したものがこれ。N2ノードはN3Eノードと比較して消費電力が25〜30%減少し、パフォーマンスが10〜15%向上しています。しかし、トランジスタ密度についてはN3Eと比較して10%ほどしか向上していないとのことで、さらにトランジスタ密度に最適化されたN3Sノードと比較するとその差はさらに小さくなるそうです。



by TSMC

TSMCは2025年後半にN2ノード半導体の大量生産を開始する予定であり、市場投入は2025年後半〜2026年になると予想されています。