※この記事は2011年09月12日にBLOGOSで公開されたものです

特集・同時多発テロから10年：その６
9.11同時多発テロが起こった当時、テロ実行犯がイスラム原理主義者だったことが原因で、イスラム教の経典である"コーラン"が燃やされたりと、非常に厳しい立場にあった米国人イスラム教徒。あれから10年という歳月が経過した現在、彼らの生活や心境にはどのような変化があったのだろうか。

アメリカに拠点を置くハースト新聞社のWeb版であるchron.comでは、米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センターがアメリカ人イスラム教徒の現状に関する報告書の一部を「アメリカ人のイスラム教徒は9.11をから十年経過した今、心配はしているが前向きだ」と題し、8月31日付けで報じた。【翻訳：清水泰輔（BLOGOS編集部）】

報告書の内容は下記の通りだ。

アメリカ人イスラム教徒は気持ちを前向きに立て直した


あの９月１１日テロ事件、そしてそれに端を発して広がった反イスラム運動から１０年近くが経過した。米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センターの報告によると、アメリカ人のイスラム教徒は気持ちを前向きに立て直したようだ。彼らはあの攻撃は私たちの状況をより困難なものにしたが、彼らは成長し今ではアメリカでの生活に満足感を覚えているという。

今年、研究者たちがアメリカジンのイスラム教徒を対象に行ったアンケートの結果を「疎外感や過激派への支援の兆候はない」と結論付けた。

「反イスラム感情は私たちにわだかまりのようなものを残している」


多数のアメリカ人イスラム教徒（５５％）はこの国でイスラム教徒としていることはより難しくなったと言いつづけている。その要因について25%の人々が、中傷や空港で他の乗客に怪しまれたり、特別なセキュリティーチェックをされる為としている。この結果は前回の調査と似ている。更に、彼らの殆どはアメリカ政府のテロ防止策のターゲットにされていると感じている。

また、25%のアメリカ人イスラム教徒はイスラム・センターを住んでいる地域に作ろうとすることが議論を呼んだり、礼拝をするスペースの存在を破壊するような事件があったと報告している。

いくつかの対立と議論のニュースをよそに、彼らは以前と比べてすごく前向きだ。

「この事実は私たちが一環して主張してきたことを証明した。それはアメリカ人イスラム教徒は互いによく繋がり、幸せだということだ。しかし社会の中で大きくなっている反イスラム感情は私たちにわだかまりのようなものを残している。」とアメリカ人イスラム協会のスポークスマンであるイブラヒム・ホッパー氏はAPに話した。

リベラル思想を持つ政治家、特にバラク・オバマ大統領を支援


82%に登る大多数のアメリカ人イスラム教徒は彼らの生活に満足していると答え、79%の人々が地域のコミュニティーの中で起こっていることに満足しているという。リベラル思想を持つ政治家、特にバラク・オバマ大統領を支援すると答えた人が半数以上で、オバマ大統領の下でこの国が向かう方向性に満足しているという。2007年度の調査と比べてみると、当時はたった38%と大幅に低かった。3人に2人のイスラム教徒はイスラム教が主流な国家での生活より、アメリカでの生活の方がレベルが高いと答えた。

近年、アメリカでは悲劇や悲劇に近い事件がみられた。そして、フード基地であった発砲事件、クリスマスに下着の中に爆発物を隠し持っていた飛行機の乗客、タイムズスクエアで失敗した爆発事件の陰謀、リトル・ロック等の新兵募集事務局への攻撃などのテロリストが国内で活動していることを証明する物証も見つかっている。

イスラム教徒はアメリカ国内の問題として10位に登っており、その原因は差別やイスラムについての無知などだ。
元記事：http://blog.chron.com/believeitornot/2011/08/muslim-americans-concerned-but-optimistic-a-decade-after-911-pew-report-finds/

特集・同時多発テロから10年


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