※この記事は2011年09月07日にBLOGOSで公開されたものです

福島第1原発の事故に対する批判を背景に、原子力から火力への切り替えを進めている東京電力。この切り替えの過程で発生する燃料費を料金に転嫁するため、東京電力は来春以降15％の値上げを検討している。しかし、そもそもの価格設定の仕方に疑問の声が上がっているという。（BLOGOS編集部・永田）

見積額が常に実績を上回っていた



現在東京電力（以下、東電）は、福島第１原発事故の損害賠償に備え、資産の実態などを調べるため政府の経営・財務調査委員会の調査を受けている。この調査の中で、今までの電気料金に必要以上のコストが掛かっていたことが明らかになったのだ。

電力会社は、燃料費や人件費など発送電にかかる原価を料金に転嫁することができる「統括原価方式」を採用している。これは、1年間に掛かると想定される原価に必要な利益を上乗せして料金を決める方法だ。しかし、この試算が過剰であったという。

この問題について、9月7日付けの毎日新聞が以下のように報じている。
調査委は1998年以降の東電の料金の算出根拠を精査した結果、複数の費用の項目で、予測した価格を実際の価格が下回っている項目が見つかったという。下河辺委員長は会見で「こんなものまで原価に計上すべきなのか、というものもないわけではない」と述べ、東電の料金が高止まりしている可能性を指摘
また朝日新聞の報道において下河辺委員長は、以下のように発言している
見積もったコストより実際にかかっていないものが多い。10年間分を累積すれば（その差は）看過できないものになっている
調査委は原価計算が妥当だったか、さらに検証を進める予定だという。

値上げについては政府内からも不快感



7日付けの読売新聞によると、東電の値上げについて、玄葉外相は6日に行われた会見で以下のように述べている。
政府は電力不足も電力料金引き上げも起こさせないという大方針を明確にしている。（値上げを）認可することがあってはならない
上記のように、東電の値上げについて不快感を示し、鉢呂経産相と古川国家戦略相に、値上げ申請を認めないよう働きかけたことも明らかにしている。東電については、民事再生法の適用など厳しい措置を求める声も根強い。もし、不当に高い電気料金を設定していることが明らかになれば、今後の補償問題などにも影響が及びそうだ。