※この記事は2011年09月05日にBLOGOSで公開されたものです

フランスの高級紙「ル・モンド」ウェブ版が8月21日にお台場で行われたフジテレビへの反韓流デモを「Nationalisme et télévision au Japon」(日本のナショナリズムとテレビ: (2011年9月2日)という記事で報じている。

高岡蒼甫氏のツイートから解雇、"ネット右翼"の動きを解説し、「韓流ブーム」は韓国・金大中政権に始まる国策としてのエンターテイメント輸出が功を奏した結果で、日本は「国産エンターテイメント」の空洞化が起きていると指摘した。【意訳:清水泰輔(BLOGOS編集部)】

「彼(高岡蒼甫氏)の解雇は"ネット右翼"と呼ばれるインターネット上の極右過激派の活動に火をつけた」



今回の「反韓流デモ」の発端について、

以下のツイートは映画バトルロワイアルにも出演した俳優である高岡蒼甫氏によって呟かれたものである。


「8は今マジで見ない。韓国のTV局かと思う事もしばしば。うちら日本人は日本の伝統番組求めてますけど。取り合えず韓国ネタでてきたら消してます」


彼の解雇は"ネット右翼"と 呼ばれるインターネット上の極右過激派の活動に火をつけた。高岡氏のツイートには保守系政治家で元横浜市長の中田宏氏が「フジテレビって一体どこの国のテレビ」と高岡氏の発言に賛同したり、高岡氏のツイッターに来て韓国の日本メディアの乗っ取りについてフジテレビの外国資本比率を引用したりして議論した。 しかし、フジテレビはいくつかのアングロ・サクソン系の銀行と日本の企業によって構成されている。

と、解説。日本の報道体制に対しても
このイベントは数える程のメディアしか報道しなかったが、多くの日本人はソーシャル・ネットワークなどを通じて知った。

大手マスコミがスルーするも、ネットから情報が広まったことを伝えている。

「韓流ブーム」は国策



日本での「韓流ブーム」は韓国のエンタテイメント輸出政策の成功で、日本のTVがつまらなくなった「空洞化」を埋めているのだと解説。水戸黄門の放送終了にも触れ、番組予算カットの余波で、低予算で数字が稼げる韓流ドラマに頼っているとした。

これらの韓国のポップカルチャーにおける成功はキム・デジュン大統領による韓国のエンターテイメントを海外に宣伝していくという国家的な前向きな政策に起因する。キム・デジュン大統領は1997年のアジア危機の後、イニシアティブを握り、初めに現在のSMエンターテイメント社などの企業が関連する韓国映画のプロモーションに集中した。そのプロモーションは、韓国の作品をターゲットであるマーケットに適応させるといったクオリティーのあるケアをしており、とてもプロフェッショナルなものだった。

この戦略は2005年から功を奏し、韓国のエンテーテイメントの輸出は国内を飛び出した。日本と中国に続き、韓流はアジア全土にまでマーケットを広げ、南アメリカでファン層を 発掘したことでヨーロッパ進出への足がかりにもなるだろう。韓国政府はエンターテイメント輸出へのサポートを引き続き実施し、2013年までにこの分野の輸出の支援に3100億ウォンを投じると2010年に発表した。

日本では、日本産のエンターテイメントの空洞化を韓国産の作品が埋めている。それ故に日本経済新聞は8月23日の誌面で"高品質なテレビ番組の不足"と題して日本のテレビ業界の現状を嘆いている。テレビシリーズの問題は例えば使用する音楽で、作曲にかかる高額なコストと広告収入の落ち込みに起因する。この問題は人気なテレビ番組にも影響を与えている。水戸黄門という1969年から放送されている長寿テレビシリーズは番組のメインスポンサーであるパナソニック撤退を表明した為、今年の12月で終了する。放送局は番組スケジュールを埋める為に、番組のクオリティー、多くの資金を必要としないが人気な韓国ドラマに頼るというのが実情だ。


リーマンショック以降、番組制作費は大幅カットで視聴率が取れない。視聴率が悪いから、広告が売れず、制作費が上がらないという負のスパイラルが続くTV業界の現状で、国産コンテンツを世界に売っていくという夢は、だいぶ韓国にリードされているようだ。