【新聞チェック】参院のドンか、日教組のドンか?　幹事長内定の輿石氏とは何者か - BLOGOS編集部

2022年3月30日 0時0分

※この記事は2011年08月31日にBLOGOSで公開されたものです

　31日、新首相に指名ばかりの野田佳彦代表（54）は民主党幹事長に輿石東（こしいし・あずま）参院議員会長（75）を起用することを内定した。同ポストを参院から起用するのは初めてで、自民党でも前例はない。小沢一郎元代表に近い輿石氏の起用で党内融和を計るのが狙いだ。（BLOGOS編集部・安藤）
　

民主党版「参院のドン」の呼び名も

　輿石氏のプロフィールを31日付の新聞各紙はどう見たのかを調べてみよう。読売新聞は輿石氏の与野党に張り巡らしたコネクションを評して、「参院のドン」という表現を使っている。

参院の過半数を握る野党対策という側面も強い。参院自民党幹部は「輿石氏は国会の審議スケジュールなど約束したことを必ず守るので信頼できる男だ」と評価する。特に自民党の参院国対委員長を長く務め、現在参議院運営委員長の鈴木政二氏とは「携帯電話1本で連絡が取れる仲」（民主党中堅）だ。公明党とも一定のパイプを持ち、自民党の青木幹雄元参院議員会長になぞらえて「参院のドン」と呼ぶ声もある。

　朝日新聞も「参院民主のドン」と同様の表現。小沢氏との信頼

押しも押されぬ「参院民主のドン」。小沢一郎元代表からの厚い信頼を背景に存在感を高め、党内融和の象徴として幹事長に迎えられた。新首相が訴える「怨念を超えた政治」を実現できるか。歴代最高齢幹事長の手腕が問われている。（略）

地元が同じ故金丸信らをはじめ、自民党とのパイプも太い。参院の国対委員長や幹事長の時代に「参院自民のドン」だった青木幹雄氏との連携を強め、麻生太郎元首相や鴻池祥肇元防災担当相との交流もある。

　やはり保守政治家とのパイプを強調している。

裏の顔は「日教組のドン」か

　しかし、輿石氏はもともと学校教師。組合活動を経て社会党議員になった過去がある。日教組と密接な関係を持っていることが知られており、04年の衆院選では支援者が略式起訴を受けるなど不祥事も起こしている。朝日新聞は次のように書いた。

小学校教諭として教壇に立った後、山梨県教組委員長など組合畑を歩み、1990年に社会党から衆院議員に初当選。96年に旧民主党の結党に参加したが、同年の小選挙区比例代表並立制で初めて行われた総選挙で苦杯をなめ、2年後に参院議員に転じた。

　再選を目指した04年参院選では、出身母体の県教組の組合員が公務員でありながら選挙資金集めに協力。「山教祖問題」として批判を浴び、現職教員らが懲戒処分などを受けた。

　強烈なのは産経新聞。「日教組のドンとの異名も」という見出しをつけて、次のように書いている。

密接不可分なのは日本教職員組合（日教組）との関係だ。日教組出身の国会議員らでつくる日本民主教育政治連盟の会長を務め、「日教組のドン」の異名も取る。もともと、山梨県の小学校教員出身で、日教組傘下の山梨県教職員組合（山教組）で委員長などを歴任。毎回の選挙では山教組がフル回転する。

　ただ、平成１６年の参院選では、輿石氏を支援するため山梨県の教員から集めた金を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、山教組の財政部長（当時）らが略式起訴、罰金命令を受ける事件があった。

　「君が代不斉唱」を推進するなどイデオロギー色が強いとも言われる日教組の主張と、輿石氏は無縁でいられるのだろうか。