民主党、立候補討論会で舌戦 - BLOGOS編集部

2022年3月30日 0時0分

※この記事は2011年08月28日にBLOGOSで公開されたものです

　28日午後2時から、民主党代表選候補者の討論会が都内のホテルで開催された。投票権を持つ党所属国会議員らが参加した。

　前原誠司前外相（49）、馬淵澄夫前国土交通相（51）、海江田万里経済産業相（62）、野田佳彦財務相（54）、鹿野道彦農相（69）が公開討論。翌29日の投開票を控えて、各候補者が舌戦が繰り広げられた。

各候補者のあいさつ

■前原誠司氏

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　私はこの代表選挙に出るかどうか迷いぬきました。外国人からの献金問題で外務大臣の職を辞したばかり。関係者にお詫び申し上げます。被災地には何度も足を運びましたが忸怩たる思いでした。何とかこの国難に私の力を最大限果たさせていただきたい、その思いで立候補しました。2年前の暑い夏の政権交代の選挙で、「今までの自民党の国家戦略なき政治を変えるんだ」と訴えました。確かに変更したこともあります。でも、日本が抱える問題は何も変わっていない。莫大な財政赤字など、日本が持つ宿痾(しゅくあ)であります。政権交代に託して頂いた国民の皆様の期待に応えるべきだと思っています。

　私は4つのことをやりたい。震災復興、原発対応、エネルギー問題の新たなビジョン。そして、経済成長のための国民総動員が必要だと思っています。私は首相になれば、監督役、コーディネーター役に徹したいと思っています。是非、2年前の夏の熱い思いを皆さんで共有してやり遂げたいと思っています。

■馬淵澄夫氏

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　私は奈良の団地に生まれました。高度経済成長の中、その団地には子ども達の声が鳴り響き、「ご飯よ」という母親の声が響き、つつましやかだけどかけがえのない生活を守りたい。それが私が政治を志した原点であります。私自身、ようやく国会に辿りつき、しがらみを断ち切り、政官業の癒着を断ち切るために頑張ってきました。

　311の震災と原発事故の未曾有の災害を受けて、まさにかけがえのない生活が失われつつあります。目に見えない放射能を押さえ込むという任務にいどみ、放射性物質の拡大を防止するために国会議員として唯一、4号機の建屋に入りました。言い知れぬ恐ろしさ。政治は家族を守るために命をかけなければならない。この国を変えるという強い意志を持ち、生活を守り、景気を良くするために努力していきたい。

■海江田万里氏

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　3月11日以降の日本の政治を見ていて、もっと国が前に出るべきだと思いました。アメリカのケネディ大統領は「国が何をしてくれるのかを期待するのではなく、国民一人一人が自分が何をできるのかを考えてほしい」という演説があります。

　『ブラックホーク・ダウン』の映画などを見ますと、国が国民に対してきちんと義務を果たしているわけであります。震災復興については、国があまりにも前に出ていかなかった。震災復興の道というのは、私は国が一歩も二歩も前に行くべきだと確信しております。私は東京都の選挙区の出馬でして地元は大事ですが、これからは日本国民のために頑張っていきたいと思っております。

■野田佳彦氏

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　この国難を救うために出馬を決意しました。東北地方の復旧復興、原発事故を乗り切るためにオールジャパンで世界の叡知も借りて頑張りたいと思っています。福島の再生なくして日本の再生はありません。チルドレンファーストの観点から、妊婦や子どもの皆さんの健康管理が第一。被害を受けて損害を受けた方々に賠償をするのを万全を期す。除染対策の徹底。通学路や公園の除染を進めていますが、明日には2200億円を活用して緊急の予備費を活用する。より広範な除染が必要になってくるので、与党が一体となってこうした施策を進めました。

　私は被災地に行って、ある光景を見て大変感動しました。ガレキの山だらけの現場のあちこちに桜の花が咲いてました。その桜を見て、福島に生まれてよかった、宮城に生まれてよかった、岩手に生まれてよかったと思えるような国づくりが必要だと思います。国民の不安をやわらげる国づくりを進めたい。当面の円高、デフレ対策が必要です。経済の再生、経済の好転に向けて全力を尽くしていきたいと思っています。EUもアメリカも債務の問題で国家不安が出てきました。一国財政主義、一国経済主義になってないか。そこは注意深く行かないといけない。その困難を背負っていく覚悟で立候補させていただきました。

■鹿野道彦氏

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　「立候補して欲しい」という仲間からの要請を受けて、今、日本が置かれている状況がどれくらい大変かということを理解しているものとして、幾分なりとも考えさせて頂きたいとお答えしました。私は東北人であります。東北人としてみたときに、大震災後の大変苦しい状況にどううやって対応するかを考えて、立候補を決めました。

　大震災の復興とデフレの脱却、社会保障と税の一体改革、アメリカとの信頼関係を築く。選挙制度の問題にも。この5つの課題に取り組むのは政治の使命であります。このことを野党とも話し合って進めて行きたい。

各候補者の結びの言葉

野田氏：顔は自民党みたいといわれるんですが、（民主党が）大好きなんです。四半世紀にわたって非自民でずっとやってきました。政権交代して良かったと言ってもらえる仕事をしたいと思っています。

前原さんとは私が代表選挙に出たときに応援、彼が出たときは私が応援した。まさか戦うハメになるとは思わなかった。前原さんの高い執権と行動力を尊敬しています。馬淵さんは彼が浪人をしたときから知っています。一緒に温泉に行って背中を洗った弟のような存在でした。まさか戦うことになるとは……。海江田さんは同じ日本新党で初当選しました。鹿野さんは政治改革のエースと言われていた時代から尊敬していました。皆さんと様々な論戦ができたことは幸いです。民主党は崖っぷちです。もう怨念の政治はやめて、心を合わせてやっていくことが、国民の期待に応えることが唯一の方法です。

鹿野氏：私はかつて自民党に所属。政治改革という熱病にかかってしまった。日本が真の民主主義国になるために政権交代可能な国しなければならない。自民党に代わる政党の受け皿を作るために政治改革法案が通った後に離党しました。国民の皆様のご支援によって政権交代が実現しました。いよいよ日本の国を変えていかないといけない。国民の皆さんと一緒に成し遂げないといけない。世界から「日本は本当にいい国だな」と思ってもらうようになるために、この2年間頑張ってきました。

私が一番心配しているのは、400人を超える民主党議員には、若くて優秀な議員がそろっている。政権与党という立場を持続することができれば、日本は変わる。そのためには党が一つにならないといけない。今は野党と話し合いながら、事を進めないといけない。「誰と話せばいいのか分からない」ということがないようにしないといけない。そのために、私のような物が代表選挙に出ることになったんじゃないでしょうか。有為な人材にいかに、大きな政治家として活躍してもらうかに尽力いたしたい。

前原氏：冒頭に私は、3月11日の前に辞任。つい先日まで一緒に働いていた仲間や官僚の皆さんが寝ずに頑張ってるのに対し、無力なのに忸怩たる思いでいたと言いました。その一方で、これまで見れなかった物が見えてきた。地元の被災地にも帰れない議員の方もたくさんいたと思います。地元の代表者として選挙で選ばれたのにも関わらず、主体的に関われない思いをした議員の方がたくさんおられました。そういう人をなくしていかないといけない。各議員が有権者の代表として、与党として政策決定に関わっていけるようにしないといけない。

私が代表になれば、「独善的な人事を行うのではないか」という懸念を電話で伺うこともありました。挙党一致は当たり前。前回の代表選挙でノーサイドといったのに、そうなっていなかったのではないか。もう私が代表になったときの人事は考えております。民主党が政権与党として見放されてしまったら、政権交代可能な2大政党制をつくるという我々の念願が果たせないことになる。野田さんが下足番なら、庭掃除をします。その覚悟です。

馬渕氏：こうして代表選挙の舞台に立てたことに感謝したい。家族の生活を守るために尽力したいといいました。私は4号機の原子炉建屋に入りましたが、水素爆発の直後、「日本の救世主になってください」と奥さんに声をかけられた消防士さんもいました。命をかけて難局に立ち向かうという決意を訴えたい。

残念ながら、メディアでは「内向きの議論だ」といわれ、街角インタビューでは「何度も見た姿だ」と揶揄する声もありました。当選三回、議員経験7年の永田町での若輩ではありますが、しっかりと政権運営をしていきたいと思います。今、問われているのは民主党の本気度です。これを皆さんの力で、しっかりと国民に示していこうじゃありませんか。

海江田氏：私は本日ここに来る前に、有楽町のイトシアというところで、道ゆく方々に街頭演説をしてきました。鳩山さん、小沢鋭仁さんらがマイクを握ってくれました。投票権があるのが議員の方だけですから、国民の皆さんが冷めているのではないか。と思っていました。罵声の一つか二つは浴びせられるのではないかと思って、行ってまいりました。でも、30分強ではありますが、熱心に耳を傾いていただきました。まだ、国民は政治を見放していないと思っています。まだ関心を持っている皆様にメッセージを届ける必要があります。

政策を一つ一つ実行する上で、ストレートな言い方ではありますが、「思いつき」ではいけません。民主党の中でも「熟議」を尽くさないといけません。生煮えのまま方針を打ち出すことがあってはならない。熟議とは党内の議論を政府の議論に結びつける。これが政治主導の核心ではないか。今回の立候補にあたって、何のために政治をしているのかを振り返ると、政治に救いを求める手があるということであります。これは東北の皆様はもちろん、日本全国に「政治に何とかしてほしい」という人がいるということ。そういう政治を求めている人に向けて、政治をしなくてはいけない。そう思っております。