『あーぶくたった、にいたった』21年12月  (左から)山森大輔、浅野令子

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新国立劇場は、2022年5月20日(金)より1か月間、2021年12月に上演した演劇『あーぶくたった、にいたった』を「新国デジタルシアター」にて無料配信することを発表した。

「新国デジタルシアター」は、より多くの幅広い世代の方に、時や場所を選ばずに新国立劇場の舞台芸術を鑑賞してもらえるよう、2021年11月に開設した映像配信プラットフォーム。今回、新国立劇場2021/2022 シーズン演劇『あーぶくたった、にいたった』が配信されることとなった。

『あーぶくたった、にいたった』21年12月  (左から)山森大輔、浅野令子  撮影:宮川舞子

一年間かけて試演を重ね、その都度、演出家と芸術監督、制作スタッフが協議し、上演作品がどの方向に育っていくのか、またその方向性が妥当なのか、そしてその先の展望にどのような可能性が待っているのかを見極めていく「こつこつプロジェクト」。本作は小川絵梨子芸術監督就任のシーズンから始まったこの企画から上演へとなった。

第一期(2019年3月~20年3月)参加の演出家・西沢栄治は、プロジェクトがスタートした「令和」という新たな時代に、「昭和」という時代とそこに生きた名もなき人々について思いをはせ、別役実がさまざまなかたちで描き続けた「小市民」シリーズ、なかでもこの『あーぶくたった、にいたった』に惹かれた。現代において、もはや絶滅危惧種となったともいえる「小市民」の有り様を見つめ捉えなおすことで、生活者レベルの日本人論にたどり着きたいという西沢。別役戯曲を鮮やかに立体化し、次世代にその魅力を伝える。

『あーぶくたった、にいたった』21年12月  (右から)浅野令子、山森大輔、龍 昇、稲川実代子  撮影:宮川舞子

今回の配信では、演出を手がけた西沢の撮り下ろしインタビュー映像もあわせておくる。

【あらすじ】
ある婚礼で幕が上がる。新郎新婦は、まだ生まれぬ子どもとの将来を想像している。会話の中で彼らの子どもはどんどん成人し、仰天な顛末を迎えてしまう。楽しい新婚時代から子どもも生まれ落ち着いた結婚生活、そして老夫婦へ。幾千万の名もなき人間が出会う最終景、彼らの上に雪がチラチラと舞いはじめる……