路上工事の時間は月別で最少なのに… 「3月は道路工事が多い」と言われるのはなぜ?

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「3月は道路工事が多い」とよく言われます。確かに地域によっては、3月になると道路工事の作業員を見掛ける機会が増えますが、国土交通省が公表中の資料『2019年度 全国の直轄国道における月別の路上工事時間』によると、2020年3月の路上工事の時間は9万6000時間で、2019年度の中で、月別では最も少なくなっていました。なぜ「3月は工事が多い」とよく言われるのでしょうか。また、以前に比べて、道路工事の時間はどのように推移しているのでしょうか。同省の担当者に聞きました。

かつては予算消化で工事の可能性も

Q.「3月は道路工事が多い」とよく言われますが、2020年3月の全国の国道における工事時間は9万6000時間で、2019年度では最も少ない時期でした。なぜ3月は道路工事が多いと言われるのでしょうか。

担当者「どのような事情で、3月は道路工事が多いと言われているのかは分かりません。そもそも、国の予算は、4月から翌年3月までを一年度として決められますが、かつては年度内に予算を消化する目的で、年度末の3月に道路工事が多く行われていた可能性があり、そのことが、『3月に道路工事が多い』という世間的なイメージにつながったのかもしれません。しかし、現在は、少なくとも国道については、路上工事を縮減しています」

Q.では、国が国道の工事を抑制するようになったのは、いつごろからなのでしょうか。

担当者「少なくとも10年以上前からです。工事に伴う渋滞の緩和などを目的に、3月のほか、ゴールデンウイークやお盆、年末年始のような交通量が多い時期を『路上工事抑制期間』と定め、この期間中は、事故対応など緊急を要する工事を除き、工事をできるだけしないようにしています。例えば、東京23区内の国道を管理する『東京国道事務所』では、3月はすべての日を抑制期間の対象にしています」

Q.国道の工事時間を減らすための工夫について、教えてください。

担当者「道路の下には、水道管や下水道管、ガス管、電話線などが埋められており、舗装の補修だけではなく、老朽化した水道管の交換や電線の埋設など、さまざまな目的で工事が行われます。各事業者がバラバラに工事をすると、その都度、工事のために道路を交通規制しなければならず、利用者に迷惑をかけてしまいます。

そこで、全国の国道事務所では、道路管理者や水道会社、ガス会社などを集めた会議を定期的に開催して、道路の工事時期や工事方法などを話し合います。その際、できるだけ複数の事業者が同じ時期に工事をするように調整し、また、一度工事をした道路は、数年は掘り返さないようにしています。会議の頻度は事務所によってそれぞれ異なりますが、都心など交通量が多い国道を管理する事務所の場合、年に数回、開催しているようです」