信号待ちで「プッ」と鳴らすのはダメ? 「前見ていない方が悪い?」クラクションの正しい使い方とは

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クラクションを使用できるのは「危険を防止するため」

 信号待ちで並んでいると、前方車両が赤から青の変化に気が付かず、なかなか進まないこともあります。

 そんなとき、クラクションを鳴らそうかなと迷ったことがある人も多いでしょう。

【画像】むしろ使って!「クラクション」を使わなきゃいけない場所(17枚)

 クラクションの使用場所は法律で定められていますが、前述のような場合にクラクションを鳴らすことは問題ないのでしょうか。

「信号をちゃんと見ていない方が悪い?」 それでも信号待ちでのクラクションはやめておいたほうがいい

 クルマを運転していると、前方車両の運転者とコミュニケーションを取る方法は少なく、なかには「クラクションを鳴らそうかな」と迷ったことがある人も少なくないでしょう。

 クラクションを鳴らすことで、周囲の運転者の注意を引くことは十分に考えられますが、クラクションはやみくもに使用して良いものではありません。

 道路交通法第54条には「警音器の使用等」として、クラクションを使用できる状況が以下のように定められています。

「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき」

「山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき」

 また、峠道などの「警笛鳴らせ」の標識が設置されている地点については、クラクションを鳴らすことが義務となっています。

 このように、主に見通しの悪い場所での使用が定められているクラクションですが、54条では「ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」とも明記され、危険を防止するための活用は、場所に限らず違反とはみなされません。

 では、前述のような、信号待ちで前方車両に信号の変化を伝えるクラクションはどうでしょうか。

 首都圏の警察署交通安全課の担当者は「信号待ちでのクラクションは、悪意がないケースが多いものの、法令に則った行為とはいえません」といいます。

 とくに急いでいるときの信号待ちでは、前方車両に青信号とともに速やかに進んでほしいと考える人も多いかもしれません。

 しかし、何も考えずにクラクションを鳴らしてしまうと、こちら側が違反とみなされる可能性があります。

 信号待ちで前方車両がなかなか進まないときには、クラクションは鳴らさず、まずは落ち着いて待ってみることも重要です。

 一方で、信号待ちにおいて前方車両が進まなかった事例のなかには、運転者が気を失っていたり、持病を発症して運転できる状態ではなかったりと、特別な事情があるケースも見られます。

 基本的にはそのままの状態で前方車両を待ち、あまりにも長時間、進み出さない場合には、周囲の安全をしっかりと確認したうえで、前方車両の様子をうかがってみるのも良いかもしれません。

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 なお、前出の担当者は「私は、信号待ちのクラクションで取り締まりをおこなったことはありません」と話しており、信号待ちのクラクションで取り締まりに至ったケースはあまり多くはないようです。

 取り締まりを受けた際には、「警音器使用制限違反」として反則金3000円が科せられることになります。クラクションはむやみに使用せず、適切なときにのみ使用するようにしましょう。

クラクションで相手がヒートアップするケースも

 SNSを見てみると、「信号をちゃんと見ていない方が悪い」「進もうとしてたのにクラクション鳴らされた」など、信号待ちのクラクションについてさまざまな投稿が見られます。

 なかには、「クラクション鳴らしたら怒鳴られたけどこっちが悪いの?」という人も多く、追いかけられたり、あおり運転を受けたりした人もいるようです。

「コンビニの駐車場までついてきて降車後に怒鳴られた」と恐怖体験を語る人もおり、ちょっと注意を促そうと鳴らしたクラクションが、大きなトラブルへと発展するケースも少なくないようです。

クラクションが原因で「あおり運転」に発展したケースもあるという(画像はイメージ)

 また、2021年6月には北海道苫小牧市において、「クラクションを鳴らされたことに腹が立った」として、30代男性が自転車や歩行者、周囲のクルマを故意に巻き込む事件も発生しています。

 このケースに関しては、男性の運転が危険だったことがクラクションの要因ですが、なかにはクラクションを鳴らされたことによって、このように逆上する人がいることもうかがえます。

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 信号待ちでのクラクションは法律に則ったものではないため、そもそも認められるものではありませんが、こうした事例を考慮しても、クラクションはむやみに使用すべきではないといえそうです。