原辰徳監督は誰を正捕手に選ぶのか(2014年撮影)

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V奪回を狙うプロ野球・巨人で、レギュラー争いが激しいポジションの1つが捕手だ。大城卓三、小林誠司、岸田行倫とそれぞれタイプが違う3選手が正捕手獲りに燃えている。

その中で正捕手に最も近い存在が大城だ。17年にドラフト3位で入団し、順調にステップアップしているかに見えた。

チームV逸でリードに批判も

1年目の18年に83試合に出場し、19年は109試合出場で打率.265、6本塁打マーク。20年は新型コロナウイルス感染で戦線離脱した時期があったが、チームトップの71試合先発マスクをかぶり、打率.270、9本塁打、41打点といずれも自己最高の数字を残した。課題だった守備も盗塁阻止率で前年の.172から.340と改善。リーグ連覇に貢献し、自身初のベストナインを受賞した。

かつての正捕手だった小林誠司の影は薄くなり、大城がこのままレギュラーで地位を固めると思われたが、昨季は試練を味わった。

自身最多の125試合出場したが、打率.231、11本塁打、37打点。自身初の2ケタ本塁打をマークしたが、打率は前年より4分近く落とした。捕手はチームを勝たせてナンボだ。9月に入るとチームが優勝争いから脱落して大失速。大城の配球が批判されることが目立つようになり、6試合連続でスタメンマスクを外れたことも。打撃も精彩を欠いた。

身長187センチ、90キロの恵まれた体格からチーム屈指の飛距離を誇る大城だが、「打てる捕手」であることを証明しているとは言えない。

長年正捕手を務めていた阿部慎之助(現・巨人1軍作戦兼ディフェンスチーフコーチ)は首位打者を獲得し、通算406本塁打を放つなど球史に名を残した「打てる捕手」だけに、大城は物足りなく映ってしまう。

「マイペースに見えて、責任を背負い込んでしまう部分がある」

「阿部コーチと比べるのは酷ですが、打てる捕手であることをアピールするには打率.280、20本塁打はクリアしてほしい。その数字を達成できる潜在能力は持っている。大城はマイペースに見えて、責任を背負い込んでしまう部分がある。
昨年のシーズン終盤は守備面で悩み、打てなくなる悪循環に陥っていたが、点を取られてもバットで取り返すぐらいの気持ちでプレーしてほしい。クリーンアップを担える力はあるだけに覚醒してほしいですね」(スポーツ紙記者)

今年にかける思いが強いのは大城だけではない。小林にも意地があるし、岸田も同学年で「不動の4番」に君臨する岡本和真の存在を刺激に、扇の要を虎視眈々と狙っている。巨人の正捕手争いに要注目だ。(中町顕吾)