シャープ参入したミニLEDとはなに? 世界でも大注目される美しい映像を実現する次世代ディスプレイ技術とは

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スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、テレビなどで利用されているディスプレイ技術は日々進化を遂げている。

最近、ミニLEDを採用した液晶ディスプレイが大注目されている。

REPORT OCEANが発表したレポートによると、ミニLEDを採用した液晶ディスプレイの世界市場規模は、2020年に4億8百万ドル。
2027年には188億3千5百万ドルに達し、年平均成長率89.2%を記録すると予測されている。

最近では、シャープの8K/4Kテレビ「AQUOS XLED」やアップルのノートパソコン「MacBook Pro」でミニLEDを採用するなど、着実に広がりをみせている。

そこで今回は、ミニLEDとはいったいどのようなものなのかを見ていこう。


■ミニLEDの特徴
ミニLEDを採用した液晶ディスプレイは、すでに確立されている液晶ディスプレイの技術を基に、輝度やコントラストを向上させたもの。

液晶ディスプレイとは、
電流により光を通したり通さなかったりする液晶の性質を利用している。
赤・緑・青のフィルターを液晶の前に置いて、その後ろに設置されたバックライトの光量を調整することでカラー表示をさせている。

ミニLEDを採用した液晶ディスプレイでは、このバックライトの大きさを従来の10分の1まで細分化している。

バックライトを小型化することで、これまでの液晶ディスプレイよりもエリアごとの点灯を細かく制御できるため、輝度やコントラストを向上できるだけでなく、光の利用効率が高いため色が鮮やかに映し出される。結果、美しい映像が得られるというわけだ。

これに対して最近スマートフォンで採用されている有機ELは、赤・緑・青の有機EL材料が、それぞれ独自で光る性質を利用している。
色のフィルターやバックライトが必要なく、既存の液晶ディスプレイに比べてコントラストが高く、発色が優れている。
反面、コストが高く、消費電力も大きいというデメリットもある。

ミニLEDを採用した液晶ディスプレイは、
既存の液晶ディスプレイの延長上にある技術であることから参入しやすく、今後、需要が増えていくと予想されている。

ミニLEDを採用したシャープの8K/4Kテレビ「AQUOS XLED」の4K対応65V型テレビ「4T-C65DP1」では、同社の従来製品(4T-C65DN1)に比べて、約72倍の数のミニLEDを高密度に配置している。

画面の一部を発光させた最大の明るさをピーク輝度というが、このピーク輝度も4T-C65DP1では、4T-C65DN1に比べて約3倍を実現している。 


左が8K対応テレビ「8T-C85DX1/75DX1/65DX1」、右が4K対応テレビ「4T-C65DP1/55DP1」



■ミニLEDのデメリット
現状でのミニLEDのデメリットとしては、製造コストが高いことだ。

家電量販店での販売価格は、
・液晶 シャープ 4K対応テレビ「4T-C65DL1」 13万3,060円
・有機EL シャープ 4K対応テレビ「4T-C65DQ1」26万250円
・ミニLED採用 シャープ 4K対応65V型テレビ「4T-C65DP1」 42万3,330円
・ミニLED採用 シャープ 8K対応65V型テレビ「8T-C65DX1」 66万円
※2022年1月5日現在。ヨドバシ価格。すべて税込み

4K対応65V型テレビで比較すると、ミニLEDを採用したテレビは、
・液晶テレビの約3.3倍
・有機ELテレビの約1.5倍
これだけの違いがある。


左が4K対応70V型液晶テレビ「4T-C70DN1」、右が4K対応65V型液晶テレビ「4T-C65DL1」


ミニLED採用は、AR/VRデバイスや自動車産業における需要の高まりもあることからも需要が増加すると予想されている。

こうした状況を反映してアジア太平洋地域では、ミニLEDを採用したディスプレイ技術への投資が増加しており、北米とヨーロッパもそれに続く構えを見せている。

ミニLEDは、まだ高価という課題を有しているが、参入メーカーが増えて量産化が進めば、コストは安くなるため、今後、主流になる可能性は高いだろう。




ITライフハック 関口哲司