国内の注文住宅業界ではいま、オーナーがなにを求めていて、どんなトレンドが吹いているか―――。

いま、世界が認めた注文住宅デザイナーのひとりが、埼玉県にいる。

山田英彰―――ネバタ州立大学を卒業し、ポラテック設計室に所属するデザイナーで、手がけた「I House」(アイ ハウス)が、アメリカ有数のデザインアワード「INTERNATIONAL ​DESIGN AWARDS」建築部門2020年度で、日本作品で唯一の金賞を受賞した。

また、彼が手がけた「Blending(ブレンディング)」と「O House(オー ハウス)」が、海外の 2 つのデザインアワード『Muse Design Awards』の建築カテゴリーで「Silver Prize(シルバー プライズ)」、『DNA Paris Design Awards 2021』の建築部門の住宅カテゴリーにて「Honorable Mention(佳作)」をそれぞれ受賞した。

そんな新進気鋭デザイナーと、ポラスグループの高い技術力、そしてオーナーのイマジネーションでつくりあげた注文住宅として注目を集める物件が、東京都練馬区にある。

物件名「Blending」。敷地面積95.27平米、延床面積142.00m平米、3階建ての住宅で、オーナーは都内に勤める40代夫婦という。

最大の特長は、外部空間と室内を一体化させる中庭

「都内の狭小地にありながらも、プライベートスペースをしっかりと確保した3階建ての家。自然と人間の共存をめざし、家の内外に厳密な境界がないように設計」

「それらの空間に向かって開口部をつくることで、家は実際の床面積よりもはるかに広々と感じられる。中央の空間に設けた木と植物が、連続した空間に自然の恵みを与え、家の中でも屋外にいるかのような雰囲気を醸し出している」

建物はロの字構造で、外部空間と室内を一体化させる中庭が最大の特長。中庭には高さ5mのイヌシデの木、3.8mのアオダモの木が植えられ、そこから吹き抜けを見上げると、青空がのぞける。

外観の特長は、「歩行者や近所の公共スペースからもプライバシーを守る、シンプルモダンなつくり」。

「アトリウムのイメージで、外にいるか中にいるかわからないような空間づくりをめざした。狭小地だからこそのつくり方で、内包してしまったほうが、中庭の利用制限が広がる。かつ、視覚的な広がりは伸びやか」

また、LDKの一角の小上がりスペースは、中庭を見通すことができる和の空間に。畳の上でゆっくり寛ぐことはもちろん、ワークスペースとしても活用できる。

言葉にできないようなその人の個性・感性もつかむ

ポウハウス 山田英彰 デザイナーは今回、自分を注文住宅デザイナーとして指名してくれたオーナーと毎日のようにコミュニケーションをとり、「出会いから竣工まで1年半。密な打ち合わせを行う」と。

「対面してのヒアリングで、オーナーがどういう暮らし方をしているか、家でなにをしてるか、どんな空間によく行くか、外出先はどんなところか、インドアではどう過ごしているか、緑や自然に対してどう向き合って暮らしているか、といった、言葉にできないようなその人の個性・感性も、つかもうとしています」

オーナーが理想とする居住空間をつくっていく

「たとえば主寝室もそう」と山田英彰デザイナーはこう続ける。

「主寝室は何畳必要か、ではなくて、主寝室でなにをしたいかをしっかり把握していくと、部屋のサイズというこれまでの概念ではないところに行き着く」

「子ども部屋もそう。一般的な6畳でいいか。時間軸のなかで、どこで勉強するか。おうちに呼んで友だちと遊ぶときはどこで過ごすか。子ども部屋で自立性を育ませるか」

「そうした家族や友だちとの相関関係によって、子ども部屋は変わってくる。点ではなく面・空間でとらえるなかで、軸ができれば適正なサイズをプロットできる」

「これまでの住まいづくりのように、つくった箱に人を住まわすのではなくて、オーナーが理想とする居住空間をつくっていくのが、注文住宅デザイナーの仕事。オーナーとデザイナーの想いが重なっていくと、住む人が想像していた以上に長い間、住心地よさを感じて暮らせる」

100年先の家の姿を想いながらデザイン

ポウハウス 山田英彰 デザイナーは最後に、設計・デザイン・施工・アフターメンテナンスまで、ポラスグループで一気通貫・ワンストップで理想の家を実現させるメリットについて、こう話した。

「一般的にいままでの住宅分野では、建物が竣工すれば、あとのことはクライアントが自身でメンテナンスを依頼しない限り、置き去りになっているケースが散見した。われわれポラスグループは、木材をカットするところから、設計・デザイン、プロの大工の選別、アフターメンテナンスまで、オーナーとずっと寄り添っていく」

「そのオーナーの次の代、さらにその次の代へと継承されるような、100年先の家の姿を想いながらデザインしている。この家が50年後はどう想われているかを想像して、空間を描いている

―――ポラスグループのアフターメンテナンスでは、新築初期保証10年のほか、ロングサポート60という、60年保証システムも展開し、30年目まで無償点検、30年目以降は5年ごとに有償点検を行っている。

今回のポウハウスのような注文住宅や、一部の分譲住宅など、高品質な住宅を長期的に維持する取り組みは、環境保全の観点からも、高く評価されているという。

◆注文住宅ポウハウス(ポラスグループ)
https://www.pohaus.com/

◆施工事例「Blending」
https://www.pohaus.com/works/6827/

◆山田英彰
https://www.pohaus.com/designers/hideaki_yamada/
アメリカでインテリアデザインを学び、帰国後は商業施設の設計に携わる。次第に、長い歳月を人に寄り添うデザインに惹かれるようになり、住宅デザインの道へ。ガレージハウスやライトコートなど、遊び心のある提案に定評がある。「アメリカで培ったものは、文化の狭間から見えた家に対する価値観。家という一番身近な環境が、どれほど人に影響を及ぼすかを考える。家は人を育てる器だということ」。