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2021年9月3日時点の100歳以上の高齢者が前年比6060人増加し、8万6510人となった。日本の高年齢化は驚異的なスピードで進んでいる。

厚生労働省は9月14日、「老人の日」(2021年9月20日)に合わせ、100歳以上の高齢者の総数などを発表した。

住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の総数は前年比6060人増加し、8万6510人と過去最高を更新した。100歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された1963年には全国に153人だったが、日本人の長寿・高齢化を反映して、年々増加した。

2021年、女性は7万6000人超 男性は初の1万人突破

1981年には1000人を超え、1983年には女性だけで1000人を超えた。1987年に2000人を超えると、わずか2年後の1989年には3000人を超え、その後、増加は加速する。1992年に4000人、1994年に5000人、1995年に6000人、1996年に7000人、1997年に8000人を超え、1998年にはついに1万人を突破する。

その後の増加ペースは、まさに驚異的だ。5年後の2003年に2万人を超えると、4年後の2007年に3万人を突破、2年後の2009年に4万人、以降、2012年に5万人、2015年に6万人、2019年には7万人を超えた=表1参照。

この急激な増加をけん引したのは、女性に長寿化だった。

1983年に1000人を超えた女性の100歳以上高齢者は、17年後の2000年に10倍の1万人を突破する。以降、2005年に2万人、2008年に3万人、2011年に4万人、2014年に5万人、2018年に6万人、2020年に7万人を超え、2021年には100歳以上の高齢者の約88%を占める7万6450人に達している。

一方、男性の100歳以上の高齢者が1000人を超えたのは、女性に遅れること11年、1994年だった。女性の100歳以上高齢者が1万人を超えた2000年に、男性はやっと2000人を超え、女性が3万人を超えた2008年に、男性は5000人を超えた。そして、2021年に男性は初めて1万人を突破した。

医学の進歩に加え、老人介護制度の拡充、政府による健康寿命の延伸が平均寿命を大幅に引き上げたことが、100歳以上の高齢者の増加につながっている。

生活保護受給世帯数の半数超が高齢者世帯

平均寿命は1963年には男性67.21歳、女性72.34歳だったが、1984年には女性の平均寿命が80歳を超え、80.18歳となった。さらに、2002年に女性の平均寿命は85歳を超え、85.23歳に延び、2020年には87.74歳となっている。

これに対して、男性の平均寿命が70歳を超えたのは1971年、80歳を超えたのは女性に遅れること29年後の2013年で、2020年の男性の平均寿命は81.64歳と、女性とは6.1歳の差がある=表2参照。

さて、100歳以上の高齢者が多い都道府県をみると、1位が東京都、2位に神奈川県、3位が大阪府というように、人口の多い大都市を抱える都道府県が上位を占める。一方、これに反比例するように、少ない県は1位が鳥取県、2位に徳島県、3位が福井県と人口減少県や高齢化の進捗が進んでいる県が上位を占めている。

ただ、人口10万人当たりの100歳以上高齢者数(いわゆる長寿県)を見ると、1位が島根県、2位が高知県、3位に鹿児島県と様相は変わってくる。

これらの県も高齢化や過疎化が進んでいる県であり、一概に長寿県と喜んではいられない状況が浮かび上がる。

直近の生活保護の被保護者調査では、21年6月の生活保護受給世帯数は163万1669世帯。このうち半数以上の55.8%にあたる90万9879世帯は高齢者世帯だ。

「長寿=幸せ」という単純な構図ではないのが、日本の高齢化社会の実態なのだ。(鷲尾香一)