外出自粛も…「職場でコロナ感染」で労災が適用されない悲劇

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新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の再発例は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、緊急事態宣言で「リモートワーク」が推奨されるなか、出勤で「新型コロナウイルス感染」の場合、労災は適用されるのか解説します。

緊急事態宣言発令…「コロナ罹患」は労災扱いになるか

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、1月8日(金)から一都三県に緊急事態宣言が発令されました。

今回は

仝畍8時以降の不要不急の外出の自粛の徹底

飲食店、バー、カラオケなどの営業時間を午後8時までとすること

出勤者の7割削減(テレワーク推奨) ぅぅ戰鵐箸粒催、施設利用の制限(収容率50%)とする

などが主な内容です。

テレワーク推奨とされていますが、これを押して出勤し、新型コロナウイルスに感染した場合、労災は適用になるのでしょうか?

業務上コロナに感染し、労災が適用になる場合とは

これについては、かつての緊急事態宣言の際、厚生労働省発令の令和2年4月28日付・基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」に規定されています。

まず、「医療従事者等」については、新型コロナウイルスに感染した場合には、「業務外で感染したことが明らかである場合」を除き、原則として労災保険給付の対象となるとされました。

また、「医療従事者等以外の労働者」については、「感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合」に、業務関連性があるものとして、労災の対象となるとされています。

では、感染経路が特定されない場合はどうでしょうか。

この場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる

(数の感染者が確認された労働環境下での業務

顧客との近接、接触の機会が多い労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高いものとして、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること

とされています。

クラスターが発生した職場はどうなるのか

飲食店において、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認された場合、従業員がPCR検査を受けたところ、新型コロナウイルス感染陽性と判定されました。

そして、同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められました。

このような場合、つまりクラスターが発生した場合は、感染経路が特定されたものと同視できるとして、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断され、労災が下りることになります。

クラスターではないが…ほかの職員が感染した場合

では、クラスターとまではいえないけれど、ほかの職員に感染者がいた場合で、感染したらどうなるのでしょうか。

◆感染者が、私生活で他の方に会ったり、飲食をしたりしている場合

この場合は、感染源が職場とは限らないことになるので、労災の認定は難しくなります。

一方、感染した方は私生活では日用品の買い出しくらいで、家族以外との濃厚接触はなかった場合。この場合は感染源が職場以外である可能性が低いことになるので、労災の認定の可能性があります(厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例」より)。

◆顧客に接する接客業の場合

小売店販売員など、店頭での接客業務をしていた場合において、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された場合はどうでしょうか。

この場合は、発症前14日間において、私生活での外出については、日用品の買い物や散歩程度しかしていなかった場合、私生活における感染のリスクは低いものと考えられる一方、接客中の飛沫感染や接触感染が考えられますので、労災認定がされる可能性があることになります。

一方、私生活でも、友達と会って飲食をするなどの行動があった場合。この場合には私生活における感染のリスクもあることになりますので、労災認定がされるかどうかは難しい問題になりそうです。

「職場と家庭との往復だけ」(画像はイメージです/PIXTA)

こうやって考えてみると、つくづく「日用品の買い出し以外は、職場と家庭との往復だけ」であることが要求されているように思えます。実際のところ、日用品の買い出し以外、職場と家庭の往復だけにすれば感染リスクも下がり、万が一感染したときも労災適用になることになるのです。

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士