地下トンネル方式の道路が増えてきた一方で、トンネル上部が地上に向かってあいていて、光が差し込む「半地下」方式も、最近増えています。なぜわざわざ穴をあけるのでしょうか。

トンネルなのに光が差す、雨に当たる……

 新しい道路は、環境などへの配慮から地下トンネル方式で建設されることが多いですが、一方でその地下トンネル上部に「穴」が開いた、「半地下」と呼ばれる構造も、比較的新しい道路で増えています。

 たとえば2018年に開通した外環道の千葉区間(松戸IC〜高谷JCT)が、この方式です。完全な地下トンネルではなく、道路の中央部が地上に向かって開いた構造で、その開いた部分に2.5m間隔で柱が立てられ、あたかもトンネルに「スリット」(切れ込み)を入れたようになっています。なお、国土交通省やNEXCO東日本はこれを、「トンネル」とは呼ばず「掘割スリット構造」と呼称しています。


半地下トンネル(掘割スリット構造)の外環道 千葉区間(2018年5月、中島洋平撮影)。

 同様の半地下トンネルは、東京では一般道の環八通り(環状8号線)練馬トンネル、名古屋では名古屋高速2号東山線、名二環(名古屋第二環状道路)、大阪では阪神高速2号淀川左岸線など、主に2000年代以降に開通した区間で見られます。

 こうした半地下区間はトンネル内に光が差し込みますが、ドライバーの目には光、影、光、影……というふうに映ります。外環道の場合はスリットの上部に幕上の屋根を設けて直射日光をやわらげ、過度な明暗の違いが生じるのを抑えているのだとか。もちろん雨風もトンネル内に入り込んできます。

 なぜトンネルに穴をあけるのでしょうか。

半地下は安全・安心、しかし「高い」?

 外環道 千葉区間の報道公開時、NEXCO東日本の担当者が半地下のメリットとして挙げていたのが、換気ができる点でした。

 通常、地下トンネルは換気のために一定の間隔で外気を取り入れる換気塔を設ける必要があるほか、火災時を想定した避難や消火のための設備も、かなり大がかりになります。半地下であれば、火災時の煙を自然に排出できるほか、密閉空間であるトンネルを通るドライバーの心理的な負担も和らげられます。

 外環道の千葉区間は、当初は高架橋で計画されたものの、騒音や日照、景観といった環境への配慮から、半地下の構造に変更されました。


東京・環八通りの練馬トンネル。中央のはしご状に見えるのが半地下のトンネルで、その両側の地上部が側道になっている(画像:国土地理院)。

 一方、名古屋高速で東山線の半地下区間より前にできたC1都心環状線のように、高架構造から半地下および地下構造へと一旦は計画変更されたものの、建設費が高騰することから結局は高架になったという箇所もあります。とりわけ、半地下の場合は地下を構築したうえで、また埋め戻すため、トンネルに比べて費用がかかるといわれるのだとか。

 こうしたこともあり、半地下トンネルの多くは短いものが多く、10km近い外環道の半地下区間は国内で最長だそうです。

【ドラレコ動画】半地下トンネル通ってみた(閲覧注意・強くフラッシュします)