声優としても活躍中の鈴村健一(月〜木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。11月25日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」では、元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也(うさみ・のりや)さんに、「『GoToトラベル』札幌市と大阪市を対象から除外」について伺いました。

※写真はイメージです



政府は11月24日(火)、「Go Toトラベルキャンペーン」の対象から、新型コロナウイルスの感染が拡大している札幌市と大阪市を目的地とする旅行を11月24日(火)〜12月15日(火)までの3週間、割引対象から外す決定をしました。予約のキャンセル料は原則、利用者に負担が出ないように国が補償するとしています。

*  *  *

鈴村:まずは「Go Toトラベル」と「Go Toイート」の見直しについて、どのようにご覧になっていますか?

宇佐美:新型コロナウイルスの感染が拡大する状況に引きずられて、なし崩し的に決まってしまったな、という印象です。そもそも、冬は新型コロナウイルスの感染拡大が予想されていて、年末年始などの移動・交流を抑えて、沈静化するタイミングが必要だと言われていました。政府は前もって年末年始の分散休暇の取得などを推進しているので、そのような政策と整合性をとって、「Go To トラベル」「Go Toイート」の運用を控える時期を計画的に設定すべきだったと思います。結果として、なし崩しになってしまいましたね。

鈴村:整合性をとった計画などには、まったく手を付けていなかった感じですか?

宇佐美:報道ベースですが、政府のなかでは何度か「そういうふうにしたほうが良いのでは?」という議論はあったようです。でも、こういう事態が迫ってこないと決断できなかったのではと思います。

鈴村:「Go Toトラベル」のキャンセル料は、政府が補償することが決まりました。こちらはいかがですか?

宇佐美:これは「当然でしょ!」という話です。今回の運用見直しは急に決まったことですし、そもそも「Go Toトラベル」という制度がなかったら発生し得なかったキャンセルなので、そのキャンセル料を政府が補償するのは当然と言えば当然だと思います。

鈴村:そうですよね。そのようななか、「Go Toトラベル」の一時停止を判断する“プロセス”に違和感を示す知事もいます。現状は、まずは都道府県の知事が判断して、国が最終決定することになっています。これについて、東京都の小池百合子都知事は「国の判断で進めるべき」と考えを示しています。国が都道府県の知事に判断をゆだねて、最終決定するのはなぜですか?

宇佐美:新型コロナウイルスの対策の責任というは、基本的には各都道府県の知事にあります。「Go Toトラベル」に関しても、新型コロナウイルスの感染拡大の因果関係は一般的に証明されているわけではないので、基本的には各地域の感染症対策に責任を持つ都道府県知事が判断して、それを尊重することは、筋が通っています。

ちなみに大阪は、「Go Toトラベル」が感染拡大に影響するから止めたというわけではなくて、大阪の病床がいっぱいになってきて、仮に旅行で来た方々が大阪で感染した場合、病床を提供できないかもしれない、という懸念から提示しているわけですよね。

ただ、その都道府県知事の判断を基調とするのはベースとして、先に国が「見直す」と言ってから都道府県知事に判断を迫るのは、ちょっとフェアではないなと思うので、都道府県知事から不満が出るのはわかりますよ。

鈴村:そうですよね。この結論は出ますか? 国と知事が対立することは前にもありましたよね? 常にこういうやり取りをしているイメージがあります。

宇佐美:権限上は、明確に都道府県知事にあります。ただ、予算を出しているのが国で、事業執行も国です。お金を持っているのが国で、権限が知事にあるというバランスの悪さがあるので、これはもう仕方がないことかなと思います。

鈴村:そして、飲食店と観光業界の倒産など深刻さが増しています。(政府は、自治体が時短要請をした場合、協力金の8割を補助する方針を決めています。ほかには)どのような支援が必要で、どういうことができそうですか?

宇佐美:奇策はないので、原点に戻って、休業を支える雇用調整助成金の拡充と、持続化給付金で間を繋ぐしかないですね。ネットショッピング拡大の影響で、倉庫・物流の需要が拡大しているので、そのような業界への転職支援なども必要になるかもしれません。

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック! http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7713
聴取期限 2020年12月3日(木) AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月〜木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/