1日の新規感染者数がイギリスで1万人、フランスで3万人を突破し、ヨーロッパで感染が再拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、14歳の女子中学生が「治療薬につながる可能性のある分子」を特定して学生科学コンテストに優勝。2万5000ドル(260万円)の賞金を獲得しました。

2020 Video Challenge entry | Young Scientist Lab

https://www.youngscientistlab.com/index.php/entry/2397

3M Young Scientist Challenge winner is Anika Chebrolu, who won for a coronavirus discovery - CNN

https://edition.cnn.com/2020/10/18/us/anika-chebrolu-covid-treatment-award-scn-trnd/index.html

America’s Top Young Scientist of 2020: 14-Year-Old Researches Spike Protein of SARS-CoV-2 Virus to Develop Novel Antiviral Drug to Combat Spread of COVID-19 | BioSpace

https://www.biospace.com/article/releases/america-s-top-young-scientist-of-2020-14-year-old-researches-spike-protein-of-sars-cov-2-virus-to-develop-novel-antiviral-drug-to-combat-spread-of-covid-19/

ポスト・イットやスコッチテープなどで知られる世界的化学・電気素材メーカーの3Mとリモート学習などのデジタルな学び方を支援する団体のDiscovery Educationが共催するアメリカの学生科学コンテスト「3M Young ScientistChallenge」で、テキサス州のネルソン中学校に通うアニカ・チェブロルさん(14歳)が優勝し、賞金2万5000ドルを獲得しました。

チェブロルさんの研究は、既存のデータベースを精査することで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に選択的に結合できるリード化合物を特定するというもの。以下のムービーでは、チェブロルさん自身が自らの研究について解説しています。

3MYSC Submission - Molecular Docking Study of Hemagglutinin Protein to Develop Anti- Influenza Drug - YouTube

発表ポスターの前で自身の研究について語っているのが、チェブロルさん。



チェブロルさんは蛋白質構造データバンクからダウンロードしたタンパク質の3次元構造をFTmapでマップ化して、低分子化合物により介入可能な箇所を特定。



続いて、市販薬化合物のデータベースであるZINC 15から薬剤の分子をリピンスキーの法則に基づいて厳選し、ウイルスに有効な分子25万種を選出しました。



そして選出された分子25万種を、タンパク質とリガンドの結合を視覚的に分析できるツールであるCLC Drug Discovery Workbenchで分析し……



FTmapで特定された介入可能な箇所に特に親和性が高かった分子100種を、ADMET特性を評価するツールのadmetSAR 2.0にかけ、6種の最終候補を選出。



この6種の最終候補を創薬用バーチャルスクリーニングソフトウェアのPyRxに入力して、リード化合物を特定しました。



コンテストの審査員を担当したシンディー・モス博士は「チェブロルさんの研究は多数のデータベースを調査するという包括的なもので、チェブロルさん自身もイノベーションに対して理解度が深く、コミュニケーション能力に長けていました。自分自身の時間と才能を使って世界をより良いものにしたいという彼女の意欲は、私たちに希望を与えてくれます」と言及。チェブロルさんは受賞に際して、「私の研究が多くのメディアに取り上げられたことは、COVID-19のパンデミックが終わって欲しいという私たちの希望が反映されたものだと考えています」とコメント。「今回発表したリード分子を実際の創薬に役立てられれば」と語りました。