軽量を追求するために生み出された手法だった

 ホイールにはさまざまなタイプがあるが、今や絶滅寸前なのがワイヤーホイール。古いイギリス車などにはマッチするし、バイクでもレトロなものだと雰囲気も出る。サルーン系向けにワイザーやフォルテックスといったブランドが人気だったこともある。

 もともとは、鋳造などで合金ホイールを作るのが難しかったため、軽量ホイールとしてワイヤーホイールが珍重されたということもある。ただ、似合うクルマが限定されるし、じつはデザイン面以外でも敬遠される理由があって、それがお手入れが大変ということだ。

 ワイヤーホイールというのはその名の通り、スポーク部分がワイヤーになっているタイプのことで、簡単に言ってしまえば自転車と同じ。ただ自転車ぐらいの密度ならお手入れも楽だが、クルマ用の場合、大量に使われているので、複雑かつすき間がほとんどなく、ひとつずつ磨いていくのはとても大変。専用のブラシがあるにはあるが、それでも楽ではない。

 素材も鉄にメッキされているだけなので、サビることもある。そうなると交換することになるが、これがまた大変。リムとセンター部分がネジ止めなので、外すのは簡単なのだが、組んでバランスを取るのがひと苦労なのだ。今でも自転車やバイクで行われているが、クルクルと回しながら、均一に締め込んでいくのはノウハウとカンが必要になって、誰でもできるものでもない。

 またハブに対する固定方法はセンターロックが基本で、この点も現在のクルマでは敬遠される理由のひとつだ。さらに手間と製造コストを考えると、現在は難しいように思える。実際、今でも新品は販売されているものの、価格を見ても相当高いのも事実だ。雰囲気は独特で繊細な感じがあるが、なくなっていく運命なのは確かだろう。