「仕事が全然うまくいかない」ときに、考えられる6つの原因

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脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾粼裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

人がエラーを起こしてしまう原因とは?

何が人に間違いを起こさせるのか。

なぜミスは発生するのか…(画像はイメージです/PIXTA)

その疑問を解くヒントとなるのが、ヒューマンエラーの発生を視覚的に示した[図表1]の“m-SHELモデル” です。このモデルは、人がエラーを引き起こす原因を、人と人の活動に関連するいくつかの要素との関わりから探り出すために開発されました。

[図表1]m-SHELモデル

当初はmの関わらない形で、中心の人と周囲を取り巻く4つの要素からなる“SHELモデル” として航空業界で採用されました。その後、ヒューマンエラーを考慮するには「管理(Management)」の要素も必要だとの考え方から、現在のm-SHELモデルに進化したのです。

m-SHELモデル誕生の経緯は他書などに詳しく記載されているので、ここでは割愛させていただき、m-SHELモデルがどのようにヒューマンエラー防止に関わるのかを説明したいと思います。

このモデルの中心には人(L)がいます。最初に述べた通り、ヒューマンエラーとは“人の脳が間違いを起こす”ことです。従ってヒューマンエラーを解析するためには、人を中心に据えて考える必要があります。[図表1]に示されている、中心の人の周りにある積み木状の図形が、人の活動に関係するS・H・E・Lの4つの要素です。かなり大雑把ではありますが、人の活動に関わる全てのものを、この4つで表しています。

それぞれの図形は、周辺が波線で表現されています。この波線の意味は、人とそれぞれの要素との関係が変動することを表しています。つまり、中心の人(L)とその周りの各要素との関係において整合性が良ければ、両者はぴったりと噛み合います。

しかし、一旦整合性が悪くなり両者の“噛み合わせがズレル”と、人と周りの要素との間には当然隙間が発生してしまいます。この隙間の空いた状態が、人の生活でいうところの“相互間の行き違い”や“問題”、“ちょっとした不具合”などを表します。

このように噛み合う部分は、常に同じ状態ではなく状況が常に変化します。そして、隙間の間隔も、ほんの少しの場合もありますが、ときに非常に大きくなることもあるのです。

[図表1]中に「m:management=マネジメント」が各要素を取り巻くように回っています。この“マネジメント”とは一体何でしょうか。普段の生活に例えるなら、“社会活動の仕組み”もしくは“ルール”みたいなものと言い換えても間違いではありません。例としてm-SHELモデルが人間社会を表したものと考えるのであれば、ここでのmを“法律”や“世の中の常識”と考えれば判りやすいでしょう。

mは“人とその周りの要素とをうまく調和させ、お互いの関係をより良い状態にする、そんな目的で作られた決め事”と解釈できます。その意味から、中心で活動する人の快適性を求める時、マネジメントがうまく機能しているか否かは、非常に重要なポイントになります。

組織においては、[図表1]に示す図形の意味を次に挙げた例で説明できます。

S:Software=マニュアル、手順書、基準書、教育用資材など
H:Hardware=機械、器具、装置の設計、掲示板、それぞれの設備の配置など
E:Environment=作業環境、作業特性、作業を行う場の雰囲気など
L:Liveware=関係する人、職場の上司、職場の同僚・仲間など
L:Liveware=中心で活動を行う人(本人)
m:management=マネジメント

それでは、中心の人と周囲の各要素との関係について、“うまく噛み合わない状態”とはどういうことなのでしょうか。作業現場を例に説明します。

L-S間の関係例:softとは、“マニュアル”や“手順書”、“ルール”などです。ここで“うまく噛み合わない”とは、中心の人がマニュアルや手順書の意味を充分に理解できていないということです。

更に、マニュアル側の不具合である“作業が煩雑であること”や、逆に“注意力を持続できないほど作業が単純すぎる”などの作業難易度の不一致も“うまく噛み合わない” 状態だと言えます。注意が必要なのは、“手順書そのものがない”、又は用意された“作業標準・作業基準そのものが順守できる条件でない”、“文書が稚拙” などのソフト側に問題がある場合も含むことです。

L-H間の関係例:工場を例に挙げると、“監視機器などの性能が悪い”ことや“管理する設備の機能自体が適切でない(機能がマッチしない)”など、機器側に問題がある場合です。現場の掲示において“表示が見にくい”、“基準値の表示がなく、決められていることが分からない(規定された数値の表示がない)”などについても該当します。

L-E間の関係例:気温、照明、騒音などの作業環境が悪い場合です。

更に、職場の安全性や生産性を高める目的で行う、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)の4つの活動、つまり4Sが不充分な状況や、無駄に邪魔物・障害物がある場合もこの関係での不整合と言えます。

L-L間の関係例:本人以外に仕事をしている人との関係について、職場の雰囲気が悪い、人間関係自体が悪い、コミュニケーションが不充分、上司のリーダーシップが悪く仕事がスムーズに進まないなどが該当します。

L(中心の人):本人が活動するうえで問題となる状態を指します。例えば、“健康状態が優れない”、“疲労が溜まっている”、“ 精神的な悩みを抱えている”、“本人の力量が、業務をこなす域に達していない”などです。

m(マネジメントの問題):組織のトップが、自分たちの目指す方向(企業理念や企業目標など)を示していない。設備や環境、活動に必要な人員の確保すらできていないなど、活動の環境を整えられない状態も含みます。

上記,らΔ良埓姐腓領磴[図表2]にまとめました。

[図表2]m-SHEL各要素がうまく噛み合わない具体例(不整合)

※本記事は連載『ヒューマンエラー防止対策』を再構成したものです。