日本で一番売れているホンダN-BOXを一例に比較してみた

 スーパーハイトワゴンやハイトワゴンといった軽自動車を買う際、「安価なNAにするか、ちょっと高いターボにするのか」というのはなかなか難しいテーマである。ここでは新車から5年5万km走行で処分するという長い目で見た出費を中心にどちらが得かを、軽スーパーハイトワゴン一番人気のホンダN-BOXを例に考えてみた。

■購入のコスト

 グレードを標準車のG L ホンダセンシング(2WD/FF)で揃えた際の価格はNA:154万3000円、ターボ:173万8000円と、約19万5000円差である。しかしターボはNAに対しサイド&カーテンエアバッグ、運転席側パワースライドドア、革巻きハンドルといった装備が加わる点も考慮すると、実質的な価格差は12万5000円といったところで、12万5000円の価格差は販売諸経費を含めた総支払額でもほとんど変わらない。なお、軽自動車のNAとターボの実質的な価格差は10万から15万円が相場だ。

■維持費

 車検代やタイヤ代は変わらないとすると、おもに異なるのは燃費の違いによるガソリン代とオイル交換代となってくる。

●ガソリン代

 カタログに載るWLTCモード燃費はNAが21.8km/L、ターボが20.4km/Lと約7%違いで意外に変わらない。レギュラーガソリン1リットルを130円、実用燃費をNAは16km/L、ターボは15km/Lと仮定すると、5万km走行に必要なガソリン代はNA:12万5000円、ターボ:15万円と、ターボは2万5000円高い。

●オイル交換代

 オイル交換のサイクルはNA:1年もしくは1万5000kmの早いほうとなるため4回、ターボ:6カ月もしくは5000kmの早いほうなので9回必要だ。オイル交換1回の費用を5000円とすると、NA:2万円、ターボ:4万5000円と、ここでもターボは2万5000円高く付く。

試算ではターボとNAでは大きな差はなくなった

■処分するときの査定

 某自動車メーカーの下取り査定試算を見ると5年落ちの標準的なN-BOXの査定はNA:新車の33%、ターボ:新車の35%と、若干ながらやはりターボのほうが高い。そのため予想されるN-BOXの5年後の査定はNA:51万円、ターボ:61万円と、ターボは10万円高い。

■結論

 ここまで記したターボが合計17万5000円高かった分は処分する際に10万円縮まるので、5年5万km走行での総合的な出費はターボが7万5000円高いことになる。

 経済性だけで言えば長い目で見てもNAの方が得なのは事実だ。しかし長期的な差額が7万5000円で済むのなら、軽自動車の場合排気量が大きくなったような余裕ある動力性能という魅力が「このくらいで手に入るターボを選びたい」と思う人も少なくないだろう。

 このあたりを総合すると、

・軽スーパーハイトワゴン
走行距離が極端に少ない、街乗りがほとんどという人以外はターボを基本に考える

・軽ハイトワゴン
軽スーパーハイトワゴンより車重が軽い分、動力性能は有利なので予算に合わせて選べばいいが、高速道路や峠道を走ることが多いならターボ

 という選び方を勧める。